ぶどうで窒息。経緯は?
給食で出された直径約3cmのぶどう「ピオーネ」を食べていた男児。男児が苦しそうな表情で急に立ち上がり、職員が吐き出させようとしましたが出てこず、119番。
男児は搬送先の病院で間もなく死亡するという事故が過去にありました。男児の喉からは皮がむかれた状態の1粒が病院で見つかったそうです。
離乳食を卒業しても注意が必要!
死亡した男児は4歳。離乳食も卒業し、大人と近い食事も食べられるようになっているころ。とはいえ、まだまだ注意が必要な年齢です。食べ物を与える際には子どもの各時期の口の発達状況を把握しておきましょう。
■5〜6カ月ごろ(離乳食初期)
なめらかにすりつぶした状態の物を、唇を閉じてごっくんと飲み込める。
■7〜8カ月ごろ(離乳食中期)
舌でつぶせる固さの物を、舌と上あごですりつぶすようにして食べられるようになる。
■9〜11カ月ごろ(離乳食後期)
歯ぐきでつぶせる固さの物を舌で片側に寄せ、奥の歯ぐきで噛む動作ができるようになる。
■1歳〜1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)
歯ぐきで噛める固さの物を、前歯を使って噛み切ったり、奥歯で噛んだりするようになる。
■1・2歳児
ひと口で食べられる食べ物の量がわかるようになり、食べ物の固さや大きさに適した食べ方が身についてくる一方、歯の生え方や咀嚼力には個人差がある。
■3・4・5歳児
乳歯が生え揃い、食べ物の固さ・大きさ・粘度などに合わせてしっかり噛み砕いて食べることができる。
誤嚥・窒息に繋がりやすい食べ物とは?
厚生労働省が作成した「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」によると、特に誤嚥・窒息に繋がりやすい食材として以下のような物を挙げています。
■弾力のあるもの:こんにゃく・きのこ・練り製品など
■なめらかなもの:熟した柿やメロン、豆類など
■球形のもの:プチトマト、乾いた豆類など
■粘着性が高いもの:餅、白玉団子、ご飯など
■硬いもの:かたまり肉、えび、いかなど
■唾液を吸うもの:パン、ゆで卵、さつまいもなど
■口の中でばらばらになりやすいもの:ブロッコリー、ひき肉など
また、球形の場合は直径4.5cm以下、球形でないものは直径3.8cm以下の食べ物が危険であるとしており、今回男児の死亡の原因となったぶどうは、給食での使用を避ける食材の1つでした。
子どもに与える時期によって下処理が必要な食材もあります。下処理の方法も確認しておくと安心ですね。
【参考】
「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」
万が一のときはどうしたらいい?
窒息は放置すれば死に至る危険な事故です。窒息時の対応を知っておくことで、いざというとき慌てずに済むかもしれません。
1.まず人を呼ぶ
日頃ワンオペ育児をしている方にはむずかしいかもしれませんが、可能であれば大きな声で人を呼び、ただちに119番への連絡を依頼しましょう。
2.子どもの様子を確認する
窒息が疑われたとき、意識があるか、呼吸はしているかを確認しましょう。
1)意識がなく、呼吸もしていない場合
心肺蘇生(気道確保・胸骨圧迫)をおこないます。
※母子健康手帳に方法が記載されています。
2)意識がある場合
(1)1歳未満
背部叩打法と胸部突き上げ法を、異物が取れるか、反応がなくなるまで繰り返します。
(2)1歳以上
背部叩打法と腹部突き上げ法を、異物が取れるか、反応がなくなるまで繰り返します。
【背部叩打法】
①乳児の場合はうつぶせにし、その下側に救護者の腕を通します。指で乳児の下あごを支えて軽く突き出し、上半身がやや低くなるような姿勢にします。1歳以上の場合は、救護者の膝や椅子の座面に上半身がやや低くなるような姿勢でうつ伏せにし、下あごを支えて軽く突き出します。
②手の付け根で両側の肩甲骨の間を4~5回迅速にたたきます。
【胸部突き上げ法】
1歳未満の場合は中指と薬指を、1歳以上の場合は手の付け根を、子どもの両乳頭を結ぶ線と胸骨が交差する部分より少し足側におき、胸骨圧迫の要領で4~5回圧迫します。
【腹部突き上げ法】
子どもの背後から救護者の両腕を回して、片方の手を握りこぶしにし、子どものみぞおちの下にあてます。もう片方の手をその上にあてて、両手で腹部を上に圧迫します。
※意識・呼吸がなくなったら、直ちに心肺蘇生を開始します。
※異物が出たら、体を横向きにして経過を観察しましょう。
【参考】
STOP!子どもの「窒息・誤飲」 東京消防庁
どんなに大人が注意していても、子どもは思いも寄らない行動をすることがあり、それが事故につながることも。母子健康手帳には、子どもの事故防止や心肺蘇生に関する情報も記載されています。万が一のときに備えて、今一度内容を読み返したり、対応のシミュレーションをしておきましょう。