家計の見直しに固定費の削減は欠かせませんが、生命保険の保険料も固定費の一つです。2016年(平成28年)の生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査」によると2人以上の世帯あたりの年間払込保険料は平均38.2万円とのことでした。この金額は、家計に対して6~9%程度になると考えられます。生命保険そのものは必要ですが、内容は見直すことによって保険料を削減できる可能性もありますので、今回は保険料を下げるためのポイントをお伝えできればと思います。
保険の内容を絞りこみましょう
生命保険は対象者が亡くなった際に保険金が支払われる死亡保険以外に、医療保険、がん保険、学資保険、個人年金、三大疾病保険、介護保険など多くの種類があります。
加入時には説明を聞き、比較検討している方も少なくないと思いますが、時間が経つと、内容や必要性を忘れてしまうことも少なくありません。いくつか分類の方法がありますが、まずは、①お子さんの進学資金やご自身や配偶者の老後資金などを目的に貯蓄性の高いものと、②主に掛け捨てで、死亡や病気などの発生時に保険料が支払われるものを分けましょう。
貯蓄性の高い生命保険
貯蓄性の高いものは、保険というより貯金の側面が高く、また中途解約は元本割れするケースも多いため、継続に無理がないようでしたら継続をすることを前提としましょう。なお、収入が減少したり、借入が増えたりした場合で保険料の支払いが難しい場合はその限りではありません。
保障目的の掛け捨ての保険
保障目的の掛け捨ての保険は、優先順位をつけましょう。基準は、発生した場合に経済的負担が大きくなるものが高い優先順位となります。
子育て世帯を中心に考えると、
死亡保険 > 就業不能保険・所得補償保険(三大疾病・介護含む)> がん保険 > 医療保険の順が一般的な優先順位と思われます。
また、死亡保険の保険料を抑えるには、貯蓄性の高い終身保険や養老保険等より掛け捨ての定期保険や収入保障保険を中心に考えると良いでしょう。医療保険が不要というわけではありませんが、勤務先で加入している健康保険が充実している場合や預貯金で治療費を払っても家計への影響が薄い場合は、医療保険の必要性は他の保険より低いと考えられます。
保険会社の見直しを検討する
生命保険は一度加入すると、満期や払込期限までに本人が解約しないと継続しますので、ご自身で見直しを検討しないと変更できません。これは、光熱費や通信費、住宅ローン等その他の固定費にも当てはまることです。そのためにも、ライフプランに変化がなくても、3〜5年に1度程度は保険の内容を確認することをおすすめします。
例えば、名称や内容が同じ保険でも、全国に支社・営業所を網羅している保険会社とインターネットや保険ショップ・保険代理店を中心としている保険会社では、保険料が1~3割程度異なるケースもあります。
スマートフォンが店舗・窓口を中心とした大手通信会社とインターネットのみの手続き完了できる格安スマホ会社の関係に似ています。保険料の安さを優先するか、担当者や営業所との近さを優先するか、ご自身にあった保険と保険会社を選ぶと良いでしょう。
その他の見直しのポイントは
上記以外にも見直しのポイントはいくつかありますが、主なものを3点挙げます。
【1】2018年3月以前に定期保険・収入保障保険に加入した方は、同じ内容の保険に改めて加入しても割安になることがあります。これは保険料を計算する前提となる標準死亡率が下がったためです。年齢や加入時期、健康状態等によっては加入できない場合や割安にならない場合もありますが、健康状態が良く2016年~2018年3月までに定期保険・収入保障保険に加入した方は見直しを検討してみましょう。
【2】煙草を吸わない場合や健康状態が良い(5年以内の入院・通院等が無い、健康診断結果も再検査や治療の指示がない等の保険会社ことの基準を満たしている)場合に割引となる保険があります。また、保険会社によっては、現在の健康状態より今後の健康状態が良くなった場合に割引が受けられる保険もあります。ご自身の健康状態に応じて保険を選んでみましょう。
【3】貯金ができない人こそ、最低限の保険には加入をしましょう。保険の目的は、大きな経済的損失時にお金が支払われることです。その最たる例が、一家の大黒柱が死亡や病気・事故で収入が得られなくなった時です。お金に余裕がないので、保険の加入を見送るケースも見受けられますが、年齢や保険の内容によっては月2000円程度でも掛け捨ての死亡保険に加入できることがあります。そのため、手元に貯金がない人こそ、最低限の保険に加入することをおすすめします。勤務先でのグループ保険や県民共済(39都道府県で実施)も含めて検討してみましょう。
固定費の削減の中でも、光熱費や通信費より検討の難しい生命保険ですが、こちらも適切な内容・保険料になれば、長期で節約が可能です。このコラムが保険の見直しをするきっかけになればと思います。なお、保険会社の外交員・セールスマンや保険ショップでの相談は、担当者にもよりますが、今の保険を解約して新しい保険に加入する傾向が強い説明であることが多いので、その点は割り引いてお話を聞くことをおすすめします。