政府の発表により、8月15日17時をもって「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」による特別な注意の呼びかけが終了しました。しかし、大規模地震の発生の可能性がなくなったわけではありません。気象庁は引き続き、「日頃からの地震への備え」を実施するよう呼びかけています。
地震発生時、大切なわが子を守るため、慌てず適切な対応をとれるように知っておきたいことをまとめました。
妊婦さんや乳幼児は災害時要配慮者
災害弱者という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。行政上は、「災害時要配慮者」もしくは「災害時要援護者」と呼んでいます。
災害時要援護者は、「災害から身を守るため、安全な場所に避難するなどの一連の防災行動をとる際に、支援を必要とする人々」のことを指し、
1.心身障害者(肢体不自由者、知的障害者、内部障害者、視覚・聴覚障害者)
2.認知症や体力的に衰えのある高齢者
3.日常的には健常者であっても理解力や判断力の乏しい乳幼児
4.日本語の理解が十分でない外国人
5.一時的な行動支障を負っている妊産婦や傷病者
などが含まれます。
地域によっては、専用の避難所(福祉避難所)が設けられます。備蓄品やスタッフに特別な配慮があり、妊産婦も対象となります。事前に場所の確認をしておくと良いでしょう。
避難のタイミング(警戒レベル)
災害が起きたとき、その場にとどまるのか、避難所に行くのか、判断に迷うことがあるかもしれません。そんなときに指針となるのが、「警戒レベル」です。災害の危険性が高まったときには、住んでいる市町村などから避難情報が出されます。警戒レベルによって避難行動が変わってきますので、今がどの警戒レベルにあたるのか把握し、早め早めに行動することが大切です。避難情報は、テレビやラジオ、インターネットなどのほか、防災行政無線や広報車などで伝達されます。
警戒レベルとは?
警戒レベルは5段階あり、災害発生の危険度が高くなるほど数字が大きくなります。各レベルの状況は以下のようになっています。
警戒レベル1:災害への心構えを高める
災害発生の危険性はまだ低い段階。最新の情報に留意し、災害への心構えを高めておきましょう。
警戒レベル2:ハザードマップなどで避難行動を確認
災害発生に対する注意が高まってきた段階。ハザードマップで災害の危険性のある区域や避難場所、避難経路、避難のタイミングの再確認など、避難に備え、自らの避難行動を確認しておきましょう。
警戒レベル3:高齢者や要介護者等が避難
市町村から「避難準備・高齢者等避難開始情報」が発令された段階。避難に時間を要する人(高齢者、障害のある方、乳幼児など)とその支援者は避難を開始しましょう。その他の人は、避難の準備を整えましょう。
警戒レベル4:対象地域住民の全員避難
市町村から「避難勧告」や「避難指示(緊急)」が発令された段階。速やかに避難場所へ避難をしましょう。外出することでかえって命に危険が及ぶような状況では、近くの安全な場所か、自宅内のより安全な部屋に避難をしましょう。
警戒レベル5:“命を守るための最善の行動を”
市町村から「災害発生情報」が発令された段階。すでに災害が発生している状況のため、命を守る最善の行動をとってください。
警戒レベル5になってからでは、安全な避難が難しい場合があります。空振りをおそれずに、レベル3、レベル4の段階で安全かつ確実に避難を終えましょう。
警戒レベルは、現在内閣府の作業部会より見直しが検討されています。常に最新の情報を確認するようにしましょう。
家族で情報共有・共通認識を!
ハザードマップ・避難所の確認
ご自身が住んでいる市町村が作成しているハザードマップや地域防災計画を見て、自宅や学校(保育園・幼稚園)、職場などにどのような危険があるのか確認しておきましょう。
また、避難場所の確認や経路、移動手段についてもご家族で計画しておきましょう。災害発生時の行動や緊急連絡先などをまとめたものをご家族全員で持っているといざというとき安心ですね。
災害時には、一般の避難所内に母子専用のスペースが用意される場合があるほか、専用の母子避難所が設置される場合もあります。なお、避難場所は災害種別ごとに異なります。
またコロナ禍ということもあり、避難場所や収容人数などが変更されている可能性もあるので注意が必要です。
家族との連絡手段
災害発生時にご家族が別々の場所にいた場合、すみやかに安否・居場所確認ができるよう、事前に緊急時の連絡方法を決めておきましょう。
■伝言ダイヤル171・災害用伝言板(web171)の活用
災害用伝言ダイヤル171・災害用伝言板(web171)は、電話を使用した音声による伝言板システムです。地震、噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合にNTTによって提供が開始されます。
■公衆電話の活用
災害等の緊急事態下において通信規制がかかっても、公衆電話は通信規制の対象外として優先的に取り扱われます。停電時に電話をかけることができ、また、大規模災害時には硬貨を使わずに通話できる場合があります。
■自分のアイコンを変更
LINEやX(旧:Twitter)などのSNSを活用している方も多いかと思います。現在、さまざまなサイトで緊急時のプロフィールアイコンがダウンロードできます。あらかじめこのようなアイコンを準備しておき、災害時に変更すれば、返信をしなくても自分の状況を伝えられるため、スマホや携帯電話のバッテリーを温存できます。またLINEでは、名前欄やステータスメッセージを変更するという方法もあります。ただし、タイムリーに変更できない場合もあるので、あくまでも手段の1つとして知っておくと安心でしょう。
災害はいつ、どのような形で襲ってくるかわかりません。防災グッズを揃えておくことはもちろん、情報を収集して共有することも大切です。災害時要配慮者となる妊婦さんや乳幼児がいるご家庭では、いざというときの備えが一層重要になってきます。今ここでもう一度各自の防災対策を見直してみませんか?