子どもの車酔い…対処法は?
こんにちは。3人の子どもを子育て中の小児科医、保田典子です。今回は車酔いの話です。子どもが車に酔いやすい、遠出すると吐いてしまう……そんな経験、ありませんか?
わが家でも、車に乗ったときに気がついたら子どもが嘔吐していた、ということもありました……! 私もすぐ車酔いをします。今回はつらい車酔いを予防する方法など、車酔い対策についてお話ししたいと思います。
なぜ、車に酔うの?
「車酔い」は、体のバランスをとる耳の奥の「三半規管」が、車の動きに刺激されて脳に信号を送り、脳が情報過多になって混乱を起こすことで自律神経が乱れ、冷や汗や気持ち悪さを起こし、吐いてしまったりします。
三半規管が発達していない赤ちゃんや幼児期は少なく、3歳くらいから車酔いが起こるとされています。
小学生では3割にわたる子が乗り物酔いをするとも言われており、女の子に多いです。大人になると脳の老化により刺激を感じなくなり、乗り物酔いは減っていきますが、まれに大人になっても乗り物酔いをする方もいます。
車酔い対策7つ
では、子どもが車酔いをしないためにしてあげられることは何でしょうか。車酔い対策を7つご紹介します。
薬を使う
車酔いをしやすいとわかっている子は、車に乗る30分くらい前に薬を使うのが一番効果的です。車酔いに対して処方できる薬はないので、市販の薬が使いやすく良いと思います。※必ず使用可能な年齢を確認し適切に使用しましょう
疲れをためない
前日はしっかり睡眠をとるなど、体のコンディションを良くしておくと酔いにくいです。
車の換気をしっかり
においの刺激も加わるとさらに酔いやすくなるので、快適な空気を保つようにしましょう。
空腹にしない、おなかいっぱいにしない
おなかが減りすぎても、おなかがいっぱいでも車酔いしやすくなります。わが家では車に乗るとき、一口で食べられるお菓子やおにぎりを準備しておいて、こまめに食べるようにしていました(あまり食べすぎると吐いてしまったとき大変なので注意です)。
誤嚥の心配がない年齢のお子さんであれば、飴なども効果的なことがあります。(誤嚥が心配な年齢では与えないでください)
楽しいことをする
気持ちが「車に酔う」という方に向かないように、子どもが喜ぶことや楽しいことをして過ごすと車酔いしにくいです。音楽を聴いたり、おしゃべりをするのも良いですよ。
乗る場所に気をつける
乗り物の中でも揺れの少ない場所を選びます。バスなら前から4-5列目、船なら真ん中に乗るようにすることで脳への刺激を減らしましょう。
体が動く遊びで鍛えましょう
体が動くことに慣れると酔いにくくなるので、普段からブランコなどの乗り物に乗る遊びをしてみましょう。
もし車に酔ってしまったら…?
ウエストのゴムなど体を締め付けているものをゆるめ、横になれそうなら横になりましょう。また、車酔いしてからでも効果のある市販薬もあるので、薬を飲むのもよいでしょう。車から降りれば、乗り物酔いは改善していきます。
子どもの特徴を知って、適切な対処を!
私自身、40歳を過ぎてもすぐ車酔いしてしまいます。ブランコもダメです。車酔いがメンタルに影響しやすいとわかっていても、車酔いしやすい人は考えないようにしたりしても酔ってしまうものは酔ってしまいます。
車酔いしやすい子は、事前にきちんと薬を使ってあげることで楽しいお出かけになるようにしましょう。また、もしものときのために市販薬を車に常備しておくと安心です。
車酔いをしたことがない子は、しっかりコンディションを整えてあげることで、車酔い知らずで育つようにできたらいいですね。
作画:はたこ