なかなか寝ない息子を背負って夜の公園へ
2月生まれの長男は、生後10カ月ごろから、夜泣きこそなかったものの、なかなか寝つかず、いろいろなことを試しました。たとえば、鬼という字を3つ三角形に書いて、赤ん坊が寝ている場所の天井へ逆さまに貼るというおまじないも試しましたが、効果はありませんでした。
そのうち、3時~4時になれば自然と寝ることがわかり、「寝ないなら寝るまで待とう」作戦に出ました。
しかし、小さな借家住まいで、夫の睡眠時間を邪魔せずに起きているのは難しかったので、外に出ることにしました。真冬なので、息子をおんぶし、ねんねこを着こみ、毛布を持ち、手袋をはめ、週刊誌と温かいお茶を持って、家の目の前にある公園へ行きました。街灯の下にあるベンチに座って、ゆっくり週刊誌を読むことにしたのです。
背中で、「あーうー」と言いながらご機嫌にしている息子も、新聞屋さんが来るころになると自然と眠るので、家に戻って私も寝ました。
お巡りさんに促され……
そんなことを何回か繰り返していた夜、パトカーが公園の横に止まりました。何かあったのかなと思っていると、パトカーから降りた2人のお巡りさんが、まっすぐ私のところへ来て、「何をしているのですか?」と。
「息子が寝ないので……」と説明しましたが、「危険だから家に帰りましょう」と促され、お巡りさんに付き添われて家に帰ったのですが、玄関に入った途端、息子が大声で泣き始めてしまいました。
慌てて玄関の外に出ると、周囲をきょろきょろと眺め泣き止みます。また、玄関に入ると大泣き、出ると泣き止むの繰り返し……。
今までは、寝てから家に戻っていたので、まさかこんな風になるとは予想もしていなかったので、私もビックリでした。この様子を見てお巡りさんも、「家に入って」とは言えず、「お母さんも大変ですね。くれぐれも気をつけて子守りしてくださいね」と言って帰って行きました。
大変さを帳消しにしてくれた
その後も、息子が寝ない夜は、公園の街灯の下で過ごしましたが、ときどきパトカーが通り過ぎることがあったり、新聞屋さんからも「大丈夫ですか?」と声をかけていただいたりと、顔なじみになりました。
「子育ては99%が大変でも、残りの1%の喜びが99%の大変さを帳消しにする」といったことを言われたことがあるのですが、気にとめて声をかけてもらった出来事は、まさに99%を帳消しにしてくれました。
著者:わたこ/女性・主婦。子どもは36歳、32歳、29歳の3人。医療従事者として働きながら子育てをしてきました。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています