今思えば、育てにくい子だったのかも……
次男は二卵性の双子で生まれました。発達も順調で、健診でも異常はみられませんでした。しかし1歳を過ぎたころから、激しいかんしゃくと噛みつきが始まったのです。
かんしゃくがひどいときの次男は、朝起きた直後から半日泣き叫んでいたこともあります。長男は次男に何度も噛まれ、内出血や傷だらけ。噛まれないように、腕と足にサポーターをしていました。
次男はまだしゃべることもできない時期。何がそんなに嫌なのかまったくわからず、私は途方にくれる毎日でした。次男のかんしゃくが何時間も続き、私自身ノイローゼになりかけたこともありました。夫も、何をしても泣き叫ぶ次男の接し方に、悩んでいたようでした。
成長するにつれ変わる特徴
気づけば次男は1歳を過ぎて、おしゃべりができるようになりました。かんしゃくも前より少なくなり、落ち着いて遊ぶことも増えてきたのです。次男が長男に噛みつく姿も見なくなりました。
しかし次男は、今度はこだわりが強くなり、突然怒り出すことも多くなったのです。それでも私は思っていました。確かに長男と比べれば気性は激しいけれど、これが次男の個性なのだと。私も初めての育児で神経質になっているから、それが次男の心に影響しているのだと。
発達障害と診断されるまでの道のり
私は次男の情緒のことを、1歳を過ぎたころから義母に相談していました。3歳後半になったころ、義実家で次男がパニックに近いかんしゃくを起こしたことがありました。そのとき、義母に「もしかしたら、発達障害かもしれないね。良い病院があるから、一度相談に行ってみたら?」と言われました。
私はその言葉が衝撃的で涙が溢れました。受け入れ難かったのです。しかし「もし障害なら、周りの理解がないことで苦しむのは次男だよ」という義母の言葉に背中を押され、半月後に次男と病院を受診しました。
問診や知能検査の結果、下された診断名は軽度自閉症スペクトラム(ASD)でした。次男が4歳1カ月のときでした。
本当の次男の姿を見つけられた
診断名を聞いたとき、不思議と自然に受け入れていた自分を覚えています。そして今までよりも、次男を愛おしく感じたのです。
「環境の変化に敏感なこと。周りの子より刺激を多く感じやすいこと。そのせいで心も体も疲れやすいこと」。ずっと知らなかった次男の特徴に気づけたうれしさと、4年間知らずに次男につらい思いをさせてしまった後悔が、一気に溢れ出てきました。
あれから1年が経ち、今では次男も年長です。私も次男もASDの特徴と向き合い、うまく付き合いながら、毎日楽しく暮らしています。
次男の診断を受けて、私は暗く狭い世界から抜け出せたような気持ちになれました。理由は、今まで理解できなかった次男の情緒や行動の意味を見つけられたからです。発達障害の診断を受けることは、その子がその子らしく生きられる切符をもらうことだと、私は思います。「次男を含め切符を手にした子どもたちが、これからもっともっと生きやすい世の中になりますように」と願っています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:桜七瀬/30代女性・主婦。6歳双子の男の子と3歳の男の子、夫の5人家族。看護師資格を持っている。趣味はアンテリア雑貨や住宅公園巡り。読書や英会話の勉強も時間を見つけては続けている。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています