こんにちは。小児科医の保田典子です。ちょっとした親の言動で子どもの脳が傷つけられるというデータが出てきています。子どもには前向きに、自分の能力や才能をいかんなく発揮してくれる子になってほしいですよね。
子どもたちを褒めることで、自己肯定感を育むことができます。今回はその方法についてお話したいと思います。
そもそも「叱る」と「怒る」は違う
「叱る」というのは、冷静に話して言い聞かせることを言います。「怒鳴る」というのは、「自分は怒っている」という感情を子どもにぶつけている状態のことを指します。
その場の感情をぶつけてしまうと、子どもは怒られた内容(何が悪かったのか)よりも、「怒られた! ママが怖かった!」という気持ちが先にたってしまい、結局言い聞かせたいことがかえって伝わらなかったりします。
感情的になって子どもに怒鳴り続けると、子どもは次第に「何をやってもママは怒る」「自分は何もできない」と覚えてしまいます。何をしても過激に怒鳴られると、常に大人の顔色を見て動くようになり、子どもの自由さ、豊かな発想は潰されてしまいます。
すると自己肯定感は低くなり、子どもにとって悪影響を及ぼすのです。頻繁に怒鳴られると、子どもの脳が傷つくという研究結果もあります。
ポジティブな声掛けや褒めることで、自己肯定感を育てよう
ここ何十年かの研究で、「怒られるから〇〇をする」という、嫌なことを回避するための行動より、「うれしいから、やりたいから〇〇をする」という行動の方が長続きして効果的である、とわかってきています。
前向きに良い行動ができるようになるためのには、ポジティブな声かけがおすすめです。
ポジティブ声掛けのコツ1:スモールステップで褒める
まずは、褒める回数を増やして、たくさん褒めましょう!
親御さんたちは、ついつい「全部できたこと」を褒めがちなのですが、やってほしいことを細分化して、こまめに褒めるのがコツです。
片づけが全部終わった後に「お片付けできてえらいね」ではなく、片付けをするそれまでの過程一つ一つを褒めてみてください。
例えば、お片づけをしてほしい場合、お片づけをしようと動き出したときに1回褒める、実際に片づけの行動をしはじめた時にまた褒める、片づけの方法を自分で試行錯誤してやっていたらまた褒める……などです。1回のタスクで5~10回褒めるのを最終目標にしましょう。
ポジティブ声掛けのコツ2:笑顔で大げさに褒める
マスク時代になってしまって、人前で顔を見せることが少なくなりましたが、子どもにとって大人の表情を見て会話をすることは、発達の上でとても大事です。親が自分の行動で喜んでいるかどうかを表情で敏感に感じます。ぜひ、良いことをしたら笑顔で、大げさに褒めてあげてください。
たくさん褒めてあげましょう!
子育ては、「叱らない」「指導しない」ことが大切なわけではありません。良くない言動は適切に叱って、良い行動はしっかり褒める。これを繰り返していれば、きっとお子さんの良い行動が引き出されるはずです。なかなか地道な作業ですが、コツコツ積み重ねていければいいなと思います。