微少血管狭心症とは
更年期女性に多い病気
まず、更年期の女性は女性ホルモンであるエストロゲンの生成が減少していきます。すると、エストロゲンの働きの一つである動脈硬化を抑える保護作用の力も弱くなってしまいます。
そうすることで、心臓病のリスクが高まってしまうのだとか。
「エストロゲンの減少により、心臓の筋肉に血液を送る冠状動脈が狭くなったり塞がったりして、心筋への血液の流れが悪くなり心筋が酸素不足に陥る、虚血性心疾患になる方が増えます。
虚血性心疾患の中に狭心症というものがあり、微小血管狭心症はその中の1種です。
微小血管狭心症は、心臓の病気がまったくない方でも、髪の毛とほぼ同じ細さの冠動脈の働きが悪くなってしまい、心筋が一時的に酸素不足になることで発症する狭心症です」(新田先生)
どのような症状があるのでしょうか?
「まず、胸の痛みが20〜30分と長く続きます。他の狭心症は5〜10分程度の痛みなので、この時点で大きく症状が違います。
胸だけではなく、みぞおちや肩が痛むこともあります。
また、安静にしていても症状が出ることがあるという点も他の狭心症をは違っています。」(新田先生)
なるほど、同じ狭心症でも症状が違うのですね。症状が違うということですが、どのようにして診断するのでしょうか?
「微小血管狭心症は診断がしにくい狭心症です。
造影検査や心電図などさまざまな検査をおこない、あれも違うこれも違うと病気を除外していくことで最後にたどり着くのが微小血管狭心症、ということが多いです。
また、治療的診断といって、治療をしていく中で見つけていくということもあります」(新田先生)
なぜ更年期女性に多いの?
更年期は女性ホルモンが減少する
微小血管狭心症の患者は7割が女性だといわれています。
「好発年齢は、40代後半から50代前半の女性で、60代半ばでも発症する方はいます。
男女比は1:5と女性が多く、特に閉経後の女性に多い疾患です。
エストロゲンの働きが低下することで、Rhoキナーゼ(ローキナーゼ)という酵素の活性が高まることも原因だとされています。
このRhoキナーゼ(ローキナーゼ)は、体内の細胞の収縮や増殖などの整理機能に関する酵素です。
これが増えると、コレステロールが増えてしまい、結果として心臓病につながってしまうということもあります」(新田先生)
では、女性ホルモンを補充すればリスクを軽減したりできるのでしょうか?
「良くなることもあるとは思いますが、微小血管狭心症のためにホルモン補充療法をおこなうのは一般的ではありません。
他に悩んでいる病気や症状があり、医師とよく相談した上でホルモン補充療法をおこなうのであれば治療を受けてみるのも良いかもしれません」(新田先生)
治療法はどんなもの?
ニトログリセリンという薬
「微小血管狭心症は、その名の通り微小な血管なので、命に関わるような病気ではないとされています。
ただし、胸の痛みなどで生活の質は下がってしまうでしょうね。
痛みの質は多種多様なので冷や汗や脂汗が出るようなことがあれば、一度病院へ行ったほうが良いでしょう」(新田先生)
命に関わることはないと言いますが、治療を受けることはできるのでしょうか?
「ニトログリセリンという薬で治療をすることは可能です。スプレーや舌下錠(舌の下で服用する薬)などになっているものを処方します。
他にも胸の痛みに対する薬など、症状に合わせて治療をおこなっていきます」(新田先生)
予防法はありますか?
「やはり、生活習慣の改善は一番大切です。
適度な有酸素運動、バランスの良い食事、7時間前後の睡眠は健康の基礎になります。
それから、口腔ケアも。口は万病の元と言いますので、口腔ケアをしっかりとおこなうことは微小血管狭心症だけではなくさまざまな病気の予防につながります。
あとは自分は病気かもと心配し過ぎないこと。そういった過度な心配はかえってストレスになってしまいますので。
また健康診断などを定期的に受けて、病気を早期発見することが予防になります」(新田先生)
まとめ
更年期女性に多いという微少血管狭心症。更年期は何かと不調を感じることが増え、大変な時期ですよね。適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠など生活習慣に気を付けて、微少血管狭心症だけではなく、不調が少しでも減るようにしていきたいものです。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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