行政は様々な施策を行っていますが、金銭面でも助成や支援金等で生活のサポートを受けられることがあります。出産前後では、“妊婦健診の助成”、“出産育児一時金”、“出産手当金”などの様々な助成制度があり、度々ご紹介していますが、今回は出産前後や子どもの幼少期以外について、要件を満たした方が申請をすると受け取れるお金について、3点お伝えして参ります。
1.住宅省エネ2023キャンペーン
住宅省エネ2023キャンペーンは、経済産業省・国土交通省・環境省の3省連携による2050年カーボンニュートラルの実現に向け、家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入等の住宅省エネ化を支援する新たに創設された3つの補助事業の総称です。対象となる事業は以下の3種類です。
①こどもエコすまい支援事業
子育て世帯(2023年4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯)・若者夫婦世帯(2023年4月1日時点で夫婦のいずれかが39歳以下である世帯)が高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅を取得する場合や住宅の省エネ改修等をする場合に補助が受けられます。新築分譲住宅の場合は100万円を上限に、リフォームの場合は工事等の状況に応じて5万円~60万円の補助が受けられます。
②先進的窓リノベ事業
窓の断熱のリフォーム(ガラス交換・内窓設置・外窓交換)をすることにより、5万円~200万円の補助が受けられます。
③給湯省エネ事業
新築注文住宅・新築分譲住宅・既存住宅のリフォームで高効率給湯器(エネファーム、エコキュート、ハイブリッド式給湯機)を設置する場合に補助が受けられます。エネファームは15万円を上限に、エコキュートとハイブリッド式給湯機は5万円を上限に補助が受けられます。
なお、手続きは個人ではできず、住宅の建設、リフォーム、設備の販売などを行う登録事業者が行います。詳細は国土交通省のサイトまたは登録事業所に確認をすると良いでしょう。
2.教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は教育と付いていますが、子どもの教育ではなく働く人に向けての教育への給付で、雇用保険から給付が受けられる制度です。この制度は、働く人の能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。対象者は1年以上の雇用保険の加入者ですが、離職後1年以内も対象となる一方で、一度利用すると一定期間は支給対象外となります。給付となる教育訓練はレベル等に応じて3種類あり、内容や給付額が異なります。
①専門実践教育訓練
労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となり、年間上限を40万円に受講費用の50%が訓練受講中6か月ごとに支給されます。資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、年間上限を16万円に受講費用の20%が追加で支給されます。なお、失業状態にある人が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途、教育訓練支援給付金が支給されます。
②特定一般教育訓練
労働者の速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となります。
20万円を上限に受講費用の40%が訓練修了後に支給されます。
③一般教育訓練給付
上記①②を除いた、その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象となります。
上限10万円に受講費用の20%が訓練修了後に支給されます。上限金額や費用に対する割合が上記の①,②と比べて低いのですが、その反面、対象となる講座等は最も幅広くなっています。
詳細はハローワークのサイトまたがハローワークの窓口で確認をすると良いでしょう。
3.高等学校等就学支援金
高等学校等就学支援金は、教育費負担軽減を図るための、国による授業料支援の仕組みです。全国の約8割の生徒が利用しています。受給資格は、高校等(高専、高等専修学校等を含む)に在学する、日本国内に住所を有する人が対象ですが、保護者の収入が一定水準を超えると支給されません。2023年度の支給額は全日制の高校の場合、授業料を上限に年11万8800円~年39万6000円が支給されます。なお、公立高校は年間授業料が11万8800円以下ですので、授業料の実質負担は0になります。また、自治体によっては独自に私立学校の授業料を軽減する制度等を実施している場合もありますので、お住まいの自治体のサイトなどを確認すると良いでしょう。
今回は3種類の制度についてお伝えしましたが、省エネ家電や自転車用ヘルメット、生ごみ処理機の購入などへ助成や生垣の設置や屋上・壁面への緑化への助成など自治体独自の制度もいくつかあります。すべての買い物やサービスに助成があるわけではありませんが、高い買い物やサービスを利用する時などには行政から受け取れるお金がないかを確認すると思わぬ制度の対象になることもあります。税金や社会保険料を原資とする施策ですので、不正利用は当然いけませんが、助成が受けられる場合には有効に活用しましょう。