クックパッドベビーをご覧のみなさま、こんにちは。助産師のREIKOです。先日、生後5カ月の赤ちゃんがはちみつの摂取が原因とされ、亡くなった悲しいニュースがありました。このニュースを知って、あらためて専門家として思うことがありましたのでお伝えしたいと思います。
「知ってて当然」は誰しもの当たり前ではないことも
「“1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えてはいけない”ということは、子育てをしている人なら知ってて当然」という声を聞きます。では、この知識は、いつ・どこで・どのように得たものでしょうか?
子どもを持つことをきっかけに、母子手帳や育児本を読んだり、妊娠中の母親教室や地域の離乳食教室で習ったり、あるいはネットの情報で……など、知る機会は少なくありません。「知ってて当然」と思うのもわからなくもありません。
しかし、育児をしていくうえで、相談する人がいないだとか、誰に(どこに)相談していいかわからないというように、そのような情報を得る手段がない、あるいは情報を得る方法を知らなかったという方もいらっしゃいます。
知っているからこその落とし穴
私が病院で働いていたころのある妊婦健診でのできごとです。医療関係のお仕事をしているママが、腰痛のため、ご自身が持っていた痛み止めのお薬を使っているとお話しされました。
お薬の名前を聞いて、スタッフは大あわて!たしかにそのお薬は、痛み止めとして使われるお薬でしたが、おなかの中の赤ちゃんの命にかかわることもある、妊娠中に使ってはいけないお薬だったのです。
その後の検査で、おなかの中の赤ちゃんにはお薬の影響がなかったのでよかったのですが、医療の知識があることで自己判断してしまうケースもあるんです。また、医療関係者なら知っていて当然と思うことも、自分の専門外のことは意外と疎いことも。
伝えることの難しさ
私はこれまで、ママやそのご家族、新人スタッフ、看護学生と、相手は違えど、指導する立場で人とかかわる機会が多くありました。いずれの場合でも、相手にわかりやすく教える・伝えるということは、本当に難しいということを痛感しています。
伝えたつもりでもうまく伝わっていなかったり、相手が覚えていなかったり。実際、この前言ったのに……と思うこともありますが、それ以前に自分の伝え方はどうだったのかと考えます。
伝える内容は同じでも、伝える相手によって、もっとかみ砕いたわかりやすい言葉を使ったり、口頭だけではなく文字に残すなどして伝える方法を工夫していかないと相手には伝わりません。相手が理解していなければ伝わっていないことと同じなんです。
必要なのは、信頼できる情報を提供してくれる存在
「知ってて当然」は誰しもの当たり前ではなく、「知ってて当然」といわれていることを、知らなかったことで自分を責めてしまうケースもあると思います。だからこそ、私たち専門家が、根拠のある正しい知識や情報を責任もって伝えていかなければいけないと改めて思いました。
また、情報を得る機会がない、どのようにして情報を得たらいいかわからない方に対しても、もっと情報発信していけたらとも思いました。
いろいろな情報があふれている現代。なにが正しくてなにが間違っているのか、情報を得る側も、判断が必要になることもあると思います。この人に、この先生に、この助産師に……というふうに、〇〇に聞けば安心!という存在がママにみつかるといいなと思っています。また、クックパッドベビーもそのようなママの強い味方でいられたらと思います。(TEXT:助産師 REIKO)