大学病院で検査した結果、りんたろうくんは重度の難聴ということが判明しました。病気を疑い、覚悟していたミキさんですが、現実を突きつけられるとショックを隠せません。
医師から症状が重いということで、人工内耳手術をすすめられました。「今まで問題ないって言われたのになんで……」と涙が止まりません。泣きながら夫に電話で報告したミキさんでした。
帰宅し、夫とりんたろうくんの手術について話すことになり……。
息子の耳はどうなるの?
病院が終わってから、実家によって帰宅したミキさん。自宅に着くと、ちょうど夫とタイミングが一緒でした。
りんたろうくんを抱っこするなり、夫は「気づけなかった……本当にごめん……」と涙を流します。ミキさんも「すっとそばにいたのに気づいてあげられなかった……」と自分を責めてしまうのでした。
それからしばらくして、りんたろうくんは人工内耳手術を受けることに。右耳に人工内耳、 左耳に補聴器をつける手術を受け、1週間ほどで退院しました。
耳元の人工内耳や補聴器に違和感を覚えて、機嫌が悪くなってしまうことも。嫌がって外してしまうため、きちんと装用できるまで約1年ほどかかりました。
病名がわかり、ついに治療を受けることになったりんたろうくん。幼いながらも手術、そして術後もよく頑張りました。健診では異常がないと言われましたが、それでもママが感じた異変から病院を受診し、病気を見つけることができました。ミキさんのように、日頃から子どもをよく見て、異変に気づいてあげられるようにしたいですね。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
※難聴の早期発見について
難聴は早期発見し、適切な治療を受けることが望ましいです。早期治療をおこなうことで、聞く・話すの練習も早めに始めることできるからです。治療が遅れると、言語獲得が困難になり、その後の生活にも大きく影響する可能性があります。また、早期発見ができると、補聴器をうまく使えたり、人工内耳により言葉の改善が得られたり、通常学級に通える可能性も高まります。早期から障害を理解・受容することで、十分な親子の絆が育まれることを期待できます。音声言語または手話言語によりコミュニケーションを学ぶことで、社会参加を促すことができるでしょう。
※補聴器と人工内耳手術について
症状の度合いによって、補聴器と人工内耳手術のどちらを採用するのかが決められます。補聴器を使用しても、十分に聞こえが確保できない場合は、人工内耳手術を採用することが多いです。人工内耳手術では耳の後ろの皮膚を切開し、人工内耳を体内に埋め込みます。
<参考>
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「見逃さないで!子どもの難聴」