寝正月を決め込む義母
結婚後初めて迎えるお正月。私は、新居への引っ越しを前に実家の荷物を整理したいという夫に連れられて、義実家を訪れました。表口の扉を開けた途端、リビングから聞こえてきたのは義母の声。
「あっはははーーー! この芸人、間抜けねぇ」
義母はテレビ前に寝そべり、お菓子の袋を並べ、食べかすで床を汚しながら大笑いしていたのです。迎えに出てくれた義父は、慌てて私たちに新年のあいさつをしながら、「相変わらずゴロゴロして……いいかげんにしろ!」と義母に苦言を呈します。
しかし義母はあっけらかんとしたもの。「頼まれた仕事はしたわよ、お寿司の注文でしょ!」と開き直っています。電話一本で誰でもできることでは? と思いつつ、私はお礼を言ってその場を取りなそうと頑張りました。
しばらくするとチャイムが鳴り、「高級膳4人前、お待ち!」と出前が届きました。食卓の準備をしていた義父と、2階で荷造りをしていた夫に代わり、私が玄関へ。お支払いも済ませてリビングに戻ると……。床に寝ていた義母がのっそり起き上がり、素早く私のほうへ来てお寿司を奪ったのです。
「あーやっと来た! 言っておくけどこれ、あんたの分はないからね」
頼んでいたのは4人前なのに?
「へ? これ4人前……ですよね?」と私が尋ねると、義母は「4人前だけど、私が2人前食べるのよ!」と当然のように答えます。
そして、「そもそもあんたはよそから来た嫁で、うちの人間じゃないでしょ? 家族以外はのり巻きで十分!」と言いながら、ポケットからコンビニののり巻きを取り出し、私に投げ付けたのです。
私は、あまりの態度にぼう然。何を言われたかを理解するよりも前に、食べ物を床に投げつけるなんてあり得ないと頭が真っ白になりました。
さらに、「どうした、何があった?」と台所からお茶を持って出てきた義父に対して、「あ、嫁のお茶はいらないから。家族じゃないんだし……」と、せせら笑ったのです。
これを見た夫と義父は…
2階から降りてきた夫も、義母と私のやり取りを耳にした様子。「……それなら、これから寿司屋に食べに行こう」と静かに私に言いました。「父さんも一緒に行こうよ!」
義父もお茶を食卓の上に置いて、「そうしよう。ちょっと待ってくれ、上着を取ってくるから」と私に頬笑み、2階へ上がりました。
2人の様子を見た義母は慌てて、「何よ、せっかく出前を取ったのに。お店に食べに行くなら、私も上着取ってくるわよ」と用意をしようとしたのですが……。
俺の車に母さんの席はない!
じっとその姿を見ていた夫は、低い声で宣言。「俺の車に母さんの席はない。父さんと俺たち夫婦が乗ったら、後はこの家から移す荷物でいっぱいさ。父さんの分もあるからね」
「私の席がない? 父さんの分の荷物?」と不思議そうな義母。そこに義父が上着を羽織って戻ったので、夫が言いました。
「そういえば、新居の鍵を渡しておかなくちゃ。3つあるから、俺たちの分と父さんの分だよ」
義母はさらに首をかしげて、それでも話に首を突っ込もうとしました。「なんであんたたちの新居の鍵を父さんに? 私には?」
それを聞いた義父は、白けた顔で断言したのです。「ないよ、必要ないだろう。お前は家族じゃないからな」
義母の末路は
「本当は今晩、最後の正月を済ませたらこれを渡そうと思っていた」。そう言って、義父が義母に突き付けたものは……そう、離婚届だったのです。
「な、何これ!?」
義父は怒りを抑えて語りました。「お前と同じ墓には入らん。そもそも俺たちは会社の都合による政略結婚。それでも仲良くしようと思った俺をお前は見下し続けてきた。今回の件も許せん。息子が選んだすてきな嫁さんに支払いをさせ、ひどい仕打ちをするなんて……」
実は義父、これまで義母から受けたさまざまな嫌がらせの証拠も確保していました。義母は、義父の会社が再建したのは自分のおかげと吹聴し、仕事を手伝うどころか散在し放題。子育てや義父の両親の介護もすべて義父任せで、妻や母親としての愛情や責任感など皆無だったそうです。
逆ギレして話にならない義母を置いて私たちは寿司屋へ。その後義父は弁護士を立て、無事離婚が成立しました。事前にこの話を聞いていた私たちは、予定通り新築の一戸建てに義父を迎え入れ、今では仲良く3人で同居をしています。
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お正月から、とんでもない義母による嫌がらせを受けそうになりましたが、夫と義父のおかげで溜飲が下がりました。義父も無事離婚できて結果オーライだったのではないでしょうか。
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