「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、生理前のイライラと育児疲れが重なって悩んでいるママさんからの相談です。
Q. 月経前のつらい症状を旦那に分かってもらえなくて悩んでいます
こんにちは。毎日の育児って、ただでさえ疲れるものだと思います…。そして、生理前なんかはいつになく疲れやすかったり、イライラしがちです。その姿を旦那が見ていて「嫌気がさす!」と言われました。まるで、子どもに八つ当たりしてるみたいだ!とケンカになってしまいます。
私だって好きでイライラしているわけではないのですが、やっぱり生理前は特に症状として出やすくなります。毎日の疲れに生理前症状が重なって、さらに旦那とぶつかると疲れます。いいわけをしているみたいに取られてしまうときもあります。やっぱり男性には生理前症状は分かってもらえないな〜と思いますが、月一は必ずあるもの…。昔からあまり分かってくれる旦那ではなかったのですが、育児中の生理前や生理中がいやでたまりません…。どうしたら分かってもらえるのかと悩んでいます。あまり関係のない質問ですみません…。
在本祐子助産師からの回答
ご主人にイライラしてしまう気持ちや、自分の心が不安定で、お子さんに少し厳しくしてしまうこと、どなたにでもある反応だと思います。自己嫌悪に陥り、負のスパイラルになってしまうことも…。
質問者さんの症状は、PMSと言って月経前に心身の不調を強く感じる婦人科疾患の可能性があるように思います。婦人科で治療をされている方がたくさんいらっしゃいます。月経自体は生理現象ですが、随伴する不快症状は、きちんと医師に診てもらいましょう。治療により、症状が一気に好転する患者さんもいらっしゃいますよ。
※参照元:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー〈 https://baby-calendar.jp/talk/category/tree/11/0 〉
PMS(月経前症候群)を知っていましたか?
月経前の不快感、多くの女性が経験していることだと思います。腹痛や頭痛を伴う体調の変化はもちろんですが、小さなことにイライラしてしまったり、気持ちがネガティブ思考になって小さなことにも悩みやすくなってしまったり…。毎月のことながら、いやになりますよね。しかし、これらの症状は、治療によって好転するかもしれないのです。
前述のような月経前の体調の変化、精神的な変化は“PMS(月経前症候群)”の症状に当てはまります。PMSの症状は多岐にわたり、その数は200以上ともいわれています。たとえば、身体的症状としては、頭痛・腹痛・腰痛・むくみ・乳房(胸)の張りや痛み・極度の眠気や不眠・肩こりなど。また、精神的症状としては、イライラする・気持ちが落ち込む・集中力の低下・やる気・意欲の低下・性欲が高まるもしくは減退する・情緒不安定・興奮しやすくなるなどが挙げられます。なかには日常生活に大きな支障を及ぼすものもあり、そのような場合には、医師に相談するといいでしょう。
生理現象だから仕方がない…とあきらめてがまんしていた症状が軽減できるものかもしれないという事実は、女性にとって間違いなく朗報ですね! それでは、その具体的な原因と治療法について改めてご紹介します。
女性ホルモンが関係? PMSの原因とは?
PMSの原因については実際にはよくわかっていません。しかし、月経前症候群という名前にあるように月経となんらかの関係があるというのはみなさんもお気づきでしょう。月経は女性のホルモンバランスに影響を与えるものであり、PMSも女性ホルモンが影響であるというのがひとつの説となっています。では、女性ホルモンはどのようにPMSと関連しているのでしょうか。
排卵が起こった後に女性の体では、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つの女性ホルモンが大きく変動します。エストロゲンは、乳房や子宮を発達させ女性らしくなる自律神経のバランスに影響し、その他、骨や脳、皮膚の働きにも関与するといわれるものです。排卵前に多く分泌され、排卵期にはいったん減少しますが、排卵後に分泌量が増えます。
また、もう一方のプロゲステロンは子宮内膜の厚さを維持して着床しやすい状態にし、妊娠を継続させる役割を持つホルモンです。体内の水分バランス維持、食欲増進、基礎体温を上げる役割も持っていて、こちらも排卵後に分泌量が増えます。この2つの女性ホルモンが排卵後から生理が始まるまでに同時に分泌量が上昇するため、PMSを引き起こしているのではないかといわれています。
また、ほかの外的な因子によりPMSの症状に影響を与えているのではともいわれています。その因子には、以下などが挙げられます。
1)ストレス
2)几帳面・真面目などの性格
3)タバコ・お酒・コーヒーなどの嗜好品や食生活
4)免疫力・体力の低下
症状に波があったり、ひどい月とそうでない月があるのは、このような外的な因子が影響している可能性があるようです。
PMSの治療法について
つらいPMSの症状を和らげるには、どのような治療があるのでしょうか。
まずは、セルフケアから始めましょう。基礎体温と合わせてPMSの症状、その程度について記録してみましょう。これらを記録することで、症状の出現時期が明確になり、診断も確定的なものになります。また、排卵後に先ほどお話した外的因子をできるだけコントロールすることで、症状の軽減も見込めます。外的因子の影響をできるだけ取り除き、適度な運動や規則正しい生活・食事を心がけるなどのセルフケアが大切です。
PMSの症状は月により、また人により異なるため、治療は対症療法が主なものとなります。痛みに対する鎮静剤やむくみに対する利尿剤、漢方薬などが処方されます。それでも症状が軽快しない場合は、排卵抑制療法がおこなわれます。低用量経口避妊薬(ピルなど)やエストロゲン・プロゲスチン合剤などのホルモン剤により、一時的に排卵を止めることで症状が軽快させるというものです。
※参照元:基礎知識(妊娠前)「PMS(月経前症候群)とは?イライラ、眠気などの症状や治療法・対策について」〈 https://baby-calendar.jp/knowledge/prepregnancy/1002 〉
PMSの症状は自分でコントロールすることが難しいため、長年悩まされているという女性は多いと思います。特に、質問者さんのように育児中や仕事が忙しい時期などはつらさが増すことでしょう。そんな悩みのタネを婦人科で治療できるというのもうれしいことですが、何よりセルフケアで軽減させることができるというのは耳寄り情報ですね! 毎月の月経前に苦しい思いをしているという方は、ぜひ自分でできるケアからはじめてみてください!
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