成長とともに進むかもしれない病気が判明
潜在性二分脊椎(※)は、主に排泄機能や下半身に症状が出ます。しかし二分脊椎が原因で生じる症状は個人差が大きく、中には無症状のまま大人になる人もいるとのこと。
MRI検査では鎮静剤を使用することを考慮し、息子が生後半年になるのを待って検査をしました。結果、息子はこの病気であると診断されたものの、これから成長してどの程度症状が出るのかはわからないとのことでした。
(※)本来、脊椎(背骨)によって守られている脊髄が、妊娠初期に何らかの原因で背骨で覆われない状態になっている先天異常を「二分脊椎」と言います。「潜在性二分脊椎」とは、病巣が皮膚で覆われており外見からは明確でない状態を指し、下肢の運動・感覚障害、排尿・排便障害の原因となります。
すべては可能性の話だけれど…
先生からは「この病気は、いったん症状が出てしまうと治療をしても回復が困難なので、症状が出る前に受ける予防的な手術がある」という説明がありました。
しかし、手術には全身麻酔が必要です。また、神経周辺の手術なので、今までなかった症状が現れたり、現状の排泄機能などが悪化したりするリスクもゼロではないとのこと。
私は「手術を受けても将来の症状は変わらないかもしれない。それなのにリスクを背負って手術をする必要はあるのだろうか」と悩んでいました。
病気とうまく付き合っていくこと
すると先生は、「どんな決断をしたっていい。治らない病とうまく付き合っていく方法だってたくさんある」と話してくれました。
「息子の病気を治してあげなくちゃ」と使命感に駆られていた私は、病気と付き合っていくという選択肢があると気づかされ、気持ちがラクになりました。そしてこの先生がいるこの病院でなら、安心してお任せできるという思いもあり、手術を決断したのでした。
息子に病気が見つかったとき、発生頻度は出生1万人に対して5〜6人ほどという確率の低さに驚き、「こんな確立を引き当てるんだから手術もうまくいかないのでは」という不安が私の心にありました。しかし、先生の言葉のおかげで、「手術を受ければ息子の症状はきっと良い方向に向かうはず。もしそうでなくても方法はいくらでもある」と前向きに考えることができるように。子どもだけではなく親の心のサポートもしてくれる小児科の先生たちに、私は日々とても感謝しています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:河原りさ/30代女性。2016年生まれと2018年生まれの女の子2人、2024年生まれの男の子のママ。花屋に勤務。都会のおでかけスポットや植物に関心あり。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年10月)