義姉の本性
義姉がキツくあたるのは私にだけ。家族の誰も彼女の正体を知りません。物わかりのいい妻・嫁を演じたいようで、家族の前では本当にいい人なのです。
家族にバラそうと思ったこともありますが、奥手な兄がやっと見つけた結婚相手だと思うと、言えませんでした。みんなに危害が及ばないのなら、私さえ我慢すれば丸くおさまると思ったのです。
ついに義姉は結婚式を欠席するように私に言いました。大切な家族の晴れ舞台なのに、さすがにそれは受け入れられません。
どうにか説得を試みていたところ、ついに義姉は本性を見せました。義両親にいい顔をしていたのは、小さいながらも会社経営をしているから。そしてそれを兄が継いで社長夫人になったら、タワマンに住んで豪華な生活をするのだとニヤついていたのです。
結婚式は、次期社長と結婚することをまわりの友人に知らしめる場。そんな場所に私がいたら世間体が悪く、恥ずかしくて紹介できないと言われて、話は終わりました。
披露宴から帰ろうと思ったワケ
思うところあり、結婚式に出席することにした私。兄にも了承をとりました。しかし義姉は私がいることに激怒。私がひとりで親族控室にいるときを見計らってやってきて、私に帰るように言いました。
しかし途中で母がやってきて話は中断。私は披露宴にもなんとか出席しました。
義姉の対応はひどいもので、各卓に回ってデザートを配る場では私だけスルー。アテンドしていた式場の方も戸惑っていました。それに義姉が私に向ける鋭い目に気づいた人もチラホラいて、このままでは披露宴の雰囲気が悪くなってしまいます。
さすがに帰ったほうがいいような気がして、席を立ちました。
新婦退場!
出口に向かって歩き出したところ「ちょっと待って!帰るのは君だよ」と言う兄の声が聞こえたのです。振り返るとマイクを握った兄と、びっくりした顔の義姉。
兄は義姉の思いをすべて知っていました。それでも、心を入れ替えてくれたら……と思ってここまできたようですが、結婚式当日にまでこんな態度をする人とはやっていけないと決意したようです。
兄が結婚をやめようと思った経緯をしっかり説明すると、義姉の両親は平謝り。退出しようと義姉を説得し始めました。しかし義姉は聞きません。
披露宴の雰囲気は最悪に……。私はとどめをさすべく口を開きました。「両親の会社だけど、継ぐのは私。それでもいいの?」
これが私が義姉の言動に目をつぶっていた理由です。これはもう決定事項で、そのための勉強もしています。義姉が社長夫人になれないことは決まっているのです。
これが決定打になったよう。義姉は捨て台詞を吐いて、出ていきました。
落ち込む兄…
兄は家族やゲストに迷惑をかけたことを謝罪しました。「自分には女性を見る目がない」と落ち込んでいます。
正直それは否定できません。容姿も性格もいいのにここまで結婚できなかったのは、きっとそのせいでしょう。しょんぼりしている兄を見て、すこしかわいそうなことをしたと思いました。とはいえ、このまま結婚しても幸せになれなかったでしょう。
しかし学習能力が高い兄のことなので、これを教訓に次は素敵な女性を見つけると家族一同信じています。
結婚は人生における大きな転換期。新しい家族を迎え入れる・家族の一員になるというのは大きな変化です。新しい家族との関係構築には、お互いを尊重し、理解しようと努める姿勢が求められます。
また、無理に合わせようとせず、適度な距離感を保つことも大切かもしれません。いずれにせよ、打算だけではうまくいかないのではないでしょうか。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。