長男のまさかの行動
息子が5歳、娘が2歳のころ、3人で子育て支援センターのオープンスペースへ遊びに行きました。そのとき、2歳くらいの男の子が「ぼくも! これ!」と娘が遊んでいた車のおもちゃを持っていってしまいます。よくあることですし、男の子のママもすぐに謝ってくれ、私はまったく気にしていません。ところが、泣きのスイッチが入った娘はどんなにあやしても一向に泣き止まず、ほかのママやボランティアさんからも注目をあびはじめました。
私は焦り、もうこの場から退散しようとしたときです。「ぼくにまかせて!」と別の場所で遊んでいた息子が現れて「みんなー! あつまってー!」とおいでおいでのポーズをし、笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねました。娘はぴたりと泣き止み、周りの大人も子どもも息子にくぎづけに。続けて長男が「いっくよー! せーの!」と言ったかと思うと、「大きな栗の木の下で」を振りをつけて歌いはじめました。すると、娘やほかの子どもたちが数人寄っていき、一緒に手拍子やジャンプを始めます。歌い終わると、みんな拍手喝采。娘は機嫌がなおり、別のおもちゃで遊び始めます。ほかのママやボランティアさんに「すごいね! お兄ちゃん、じょうずだったよ」とほめていただき、息子は得意顔。「保育園のお当番さんは、みんなのお手本になるように踊るんだよ。先生がナイススマイルだよ! ってほめてくれたの」と誇らしげです。息子に助けられ、その日はオープンスペースで最後まで遊ぶことができました。
いつもはけんかばかりの2人ですが、ここぞというときに娘のツボを押してくれる息子。何より本人がいちばん楽しそうに踊る光景に、退散しようと焦っていた私も思わず笑顔に。息子の意外な一面を見られてうれしかったのと同時に、母親である私が子どもに助けられることもあるんだと気づいた出来事です。
著者:安藤由美香/30代・ライター。おおらかな10歳の息子と完璧主義の6歳の娘の母。アクティブな夫と黒柴わんこと共に、にぎやかな日々を過ごしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年9月)