夫は主婦をバカにしており、社会で通用しない私には責任のない専業主婦がお似合いだと言います。主婦はお気楽だ、家でゴロゴロしているだけだなどと、好き放題言われています。
「俺が養ってやるから!」と大きな口をたたく夫ですが、一体誰が、そんな夫を支えているのか少しは気付いてほしいものです……。
私の邪魔ばかりする夫
ある日、友人から演劇の脚本を書くボランティアをしないかと誘われた私。いい経験になるので二つ返事で引き受けて、家事のスキマ時間で執筆を開始しました。それを知った夫は、金にならない無駄なことはするなと言い、「そんな時間があるなら、まずは家事を完璧にこなせ」と続けました。
自分では、すべての家事を終わらせているつもりですが、夫はそれで満足しません。床は小さなチリ1つ落ちていない、シンクは1滴も水が残っていない、ワイシャツは1本もシワがない、そんな状態にできたら、執筆を許してやると……。無理難題を吹っかけられ、私はすっかり気落ちしてしまいました。
1週間後、私は自分の大切なものが消えていることに気づきます。
「私のパソコン知らない?」
「中古屋に売った」
「専業主婦がお仕事ごっこしてんじゃねーよ」
「は?」
私は、あ然としました。そして、半ばパニック状態に……。実は、パソコンの中には自作の脚本が保存されていたのです。友人の劇団に脚本を書いてほしいと打診されていて、契約すれば数十万円もの原稿料をいただけるという話になっていました。
劣等感と卑屈の塊、そんな人いらない
原稿料のことを知ると、慌てて中古屋に向かった夫でしたが、パソコンはすでに初期化済み。困った私は先方に掛け合い、時間の猶予をいただき、ホテルに缶詰になってゼロから執筆することに……。夫のおかげで、無駄な手間が増えました。
この一件で、私はついに覚悟を決めました。私の能力を信じるどころか、足を引っ張る夫。日頃から自分をバカにする態度も気になっていました。働くことに反対なようですし、この際お払い箱にしてしまおうと思ったのです。
私が離婚を切り出すと、夫は急に態度を変えました。夫の年収に匹敵するくらいの原稿料に目がくらんだのでしょう。
夫は、自分は働くことに反対しておらず、むしろ心の中で応援していたと言い出しました。その割には邪魔ばかりされました。執筆していると、舌打ちをされたり、無理やりパソコンを閉じられたり……。
私の決意が固いと知った夫は、今度は威圧的な態度に。たまたま幸運に恵まれたくらいでえらそうにするな、こんな奇跡は二度と起こらないのだと侮辱してきたのです。私は、えらそうになんかした覚えはなく、私がそう見えるのは確実に夫自身の問題。夫は、劣等感と卑屈の塊みたいな男なのです。
そもそも夫が私を専業主婦にさせたかったのは、主婦が最底辺だと思っているからです。そばにいる人間が自分より格下だと思えないと安心できない、器の小さい男。その後も夫は、決して私の実力を認めず、劣等感を抱いていることも認めませんでした。
成功した私と成功したい夫の差
結局、私はバカにされたまま夫とは離婚しました。離婚して2年が経ったころ、元夫から急に連絡が。そのころ私は、執筆で食べていけるようになっていました。
元夫は、自分と生活した時期があったからこそ今の私がいると力説。また、当時は劣等感から私の成功をねたみ、素直に祝福できなかったとわびてきました。そして、私が彼との復縁をひそかに願い、自分の連絡先をブロックしていなかったと、私の行動をいいように解釈してきたのです。
それを聞いて、思わず笑ってしまいました。私は、夫が赤の他人となったこと、夫が自分の人生に不要な存在だと気づいたことで、興味を失っただけでした。どうでもいい存在で、ブロックすることさえ忘れていた、それが正解です。
結局、元夫が連絡してきたのはお金の無心のためでした。私を見て自分も何かやってみたくなったと言います。しかし、元夫が挑戦したのは、投資というギャンブル。コツコツ努力することなく、一発逆転をねらったわけです。うまくいくはずがありません。そして、借金を返せなくなり私に連絡してきたのです。
自分の行動を後悔しているようですが、さんざん見下した相手に頼ろうだなんて……。もちろん、私は赤の他人にお金を貸すことも、助けることもしません。連絡先はこのときにブロックして、今は邪魔者がいない快適で充実した毎日を送っています。
◇ ◇ ◇
努力したからといって必ず報われるとも限りませんが、欲を出さず、コツコツと努力することで、成功は引き寄せられるのではないでしょうか。元夫も完全に見捨てられたことをきっかけに、他人を見下さず、自らの努力で、劣等感を克服してほしいものですね。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。