義実家は長年続く老舗の呉服屋です。義父母と義姉が営んでいました。
義実家の老舗呉服屋と夫の選択
夫は結婚して義実家の呉服屋を継いでほしいと義父に迫られたようですが、別の夢を追い、義父が勧めた縁談も断り、「僕が選びたいのは彼女だけなんだ」と言って私を選んでくれました。
その結果、義姉が店を継ぐことになり、今も切り盛りしています。夫の決断には感謝していますが、どこか後ろめたさを感じていました。
義母のやさしさと距離感
義姉は夫と私に冷たく接することがありましたが、義母だけは違いました。私には「あなたも家族の一員よ」といつもやさしい笑顔を向けてくれました。義母が亡くなる前、「私がいなくなったら、これを皆の前で開けてほしい」と遺言書を託されました。
葬儀後、仏壇に手を合わせていると、義姉が「他人がお線香をあげないで!」と厳しい言葉を投げかけてきました。私は義母から預かった遺言書を差し出し、「他人は帰ります。でも、その前にこれを皆さんの前で開けるように言われていました」と伝えました。
義母の遺言書には……
遺言書には温かいメッセージが記されていました。
義姉には「店を継ぐ決意をしてくれて、本当にありがとう。息子に冷たく接しているように見えたけれど、それは息子夫婦と孫が気後れしないように配慮してくれているからだって、わかっているわ」と感謝の言葉があり、義父には「息子夫婦と孫が本当はかわいくてたまらなかったでしょう?」と心の内を明かしていました。
夫には「家族をしっかり守りなさい」、私には「娘になってくれてありがとう」、娘には「ずっと見守っているよ」とやさしい言葉が添えられていました。
家族全員が涙を流しながら、義母の想いを受け止めました。
義家族の和解、新たな未来へ
遺言書を読み終え、夫は「誤解していてごめん」と義姉に謝り、義姉も「冷たくしてごめんなさい」と涙ながらに謝罪しました。義父も「こうして皆が集まることが、お母さんの願いだったんだろうな」とつぶやき、家族は再び一つにまとまりました。
その後、夫が勤める商社が日本文化を海外へ広める事業を始め、義姉の呉服屋も協力して海外展開に挑むことになりました。義母が大切にしてきたお店は、新たな未来へと羽ばたいていきました。
家族の絆を胸に、それぞれが次の一歩を踏み出しました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。