「突然なに言い出すの!?」「明日入籍なのに……そのあと記念ディナーだって予約してるじゃない!?」と思わず言った私。しかし、彼は「う、うるさい!俺はもうお前に騙されないからな!」と言ってきて……?
幼なじみの入れ知恵
「どうしてそんなこと言い出すわけ!?」と問い詰めると、彼は「婚前契約書のことだよ!普通の夫婦がそんなの作るか!?」「お前、俺の自由を奪おうとしてるんだろ!」と言ってきました。
たしかに、私たちは婚前契約書を交わしました。そこには『家計はすべて私が管理する』『買い物は事前に相談する』などの内容を盛り込んでいました。もちろん、彼も同意してくれていたのですが……。
「幼なじみに言われたんだよ!普通はそんなことしないって!」「目を覚ませって言われたんだからな!」
「なんでこの契約書を作ることになったのか忘れたの?」と聞くと、うっと詰まった彼氏。
婚約してすぐ、私は彼の家で偶然、借金の督促状を見つけていました。彼を問い詰めると、ギャンブルでいくつかの消費者金融から合計500万も借金をしていたことが発覚。それを聞いた私は婚約破棄を考えたのですが、彼に「別れないでくれ」「どんな約束でも守るから」と頼み込まれて、婚前契約書を作ることにしたのです。
「でも、結婚なら愛があるだけで十分だって、幼なじみが……!」「わざわざ契約書なんておかしいって言ってたんだ!」と彼氏。
「俺の幼なじみがおまえとの結婚は絶対やめたほうがいいって言うんだ!」
「そんでもって、俺、幼なじみと結婚することにしたからお前とは別れる」
「え、本当にいいの?」
「え?」
まさか、入籍前日に別れを切り出されるなんて……。しかも、幼なじみと結婚したいと言い出すなんて……。2人は浮気をしていたのでしょう。騙されていたことには怒りが込み上げました。けれども、もともとギャンブルをして借金をしていた彼に不安があった私。不安もあったため、思わず別れることになり、安堵した自分もいたのです。
そして彼に対する感情はただの情だったことに気付きました。さらにその情は一瞬で冷めてしまったのです。
私は、「そういうことならもういいわ」「別れましょう」と続けて、私たちの関係は終わりとなりました。
幼なじみからのマウンティング
翌日――。
私のスマホに、知らない番号から電話がかかってきました。仕事関係かと思って出てみると、「どうも初めまして♡彼に捨てられた、元カノさん♡」と女性の声が。電話の相手は彼の幼なじみでした。
「彼と入籍したから、ご報告の連絡をしました~!」「入籍直前に奪われてブチギレてるところ悪いけど、彼は幼なじみの私と結婚することが昔から決まってたのよ!」
わざわざ連絡をくれるなんて……意外と律儀なんだな、と感心していた私。しかし、彼女は「わざわざ契約書なんて作るなんて、まるで取引相手じゃない!」「愛のない結婚って最低だわ……!」と私のことを詰ってきたのです。
「彼はギャンブルで借金をこしらえたそうだけど、それも若気の至り!」「消費者金融への借金は完済したって聞いたし、今はお金に余裕もありそうだし!」「きっと真面目に働いて返したのね……きっと私の借金も余裕で返してくれるわよね!」
幼なじみも彼同様、借金してるなんて……ある意味お似合いなのかもしれません。
「ちなみに、どのくらい借金あるんですか……?」とおそるおそる聞いてみると、「うん、ざっと400万くらい!」とすぐさま答えてくれた彼女。思わず「うわぁ……」と声を漏らしてしまいました。
「ちょっと!何よその反応!」「彼はもう私のものなんだから、早く未練捨てなさいよ!」となぜか逆ギレしてきた彼女。
「未練なんて全然ありませんから、どうぞお幸せに」「借金持ち同士、とってもお似合いだと思いますよ!」
略奪婚をしたお似合い夫婦の末路
「は?借金持ち同士?」「彼は、消費者金融からの借金は完済したって言ってたわよ!」と彼女。
たしかに、彼の消費者金融からの借金はなくなりました。しかし、それは私が立て替えて返済したからです。彼と結婚するつもりだった私は、利子の分を余計に支払うよりは……と思い、一括で彼の借金を返済。そして、彼は毎月私に8万円ずつ返済することになっていました。もちろん、婚前契約書とは別に、返済についての誓約書も交わしています。
「そうなの!?彼が地道に働いて返したんだと思ってたのに!」と幼なじみ。「えっと、じゃあ、今の彼の仕事は!?年収は!?」と聞いてきたので、私は事実を教えてあげました。
「『自分に合わない』って言って転職を繰り返したから、手取りは20万円くらいのはず」「そこから私への返済分8万円をひいて、残りは12万円……家賃やスマホ代、食費に光熱費でかなりギリギリのはずよ」
「ど、どうしよう……私、今月中には返せるって消費者金融の人に言っちゃった……」「今もなんとか返済を待ってもらってるところなのに……」と言う幼なじみに、「でも、愛があればいいんでしょ?」と言った私。そして、返事が返ってくる前に私は電話を切りました。
その後――。
元婚約者のご両親から、私は謝罪を受けました。お2人によると、幼なじみの本当の借金額は1,000万近くあったそう。すべてギャンブルで作った借金とのことでした。「息子ともその幼なじみとも絶縁した、もうあなたに関わらせない」「本当に申し訳なかった」と謝られ、私の立替分を一括でお支払いいただきました。
私に隠れてギャンブルして、借金をしている時点で、早々に見切りをつけるべきでした。もし今後、結婚を考える相手ができたとしても、「誠実であるかどうか」はしっかり見極めようと思っています。
【取材時期:2025年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。