しぶしぶ電話に出た瞬間、「いつになったら金を振り込むんだよ!」と怒鳴り声。元夫からの意味不明な要求に、「どうしてあなたにお金を払わなきゃいけないのよ!」と反論し、そのまま私は電話を切りました。
突然の出来事に、なんだか嫌な予感。私は、ひとまず様子見しようと考え、元夫のことは放っておいたのですが、それから一週間後、とんでもない事件が起こりました。
突然現れた元夫と、謎の赤ちゃん
ある日、兄の留守を狙ったかのように、元夫がスーツ姿の見知らぬ男性を連れて、家に押しかけてきました。さらに驚くことに、元夫は赤ちゃんを抱っこしていたのです。
「きっちり養育費を払ってもらうからな!」
元夫は開口一番に、私を怒鳴りつけましたが、私たちの間に子どもはいません。困惑している私に、元夫は「この人は弁護士だ。養育費を払わないなら裁判だ」と言って、スーツ姿の男性を紹介。しかし、なぜかスーツの男性は一瞬、驚いたような表情を見せました。
元夫は弁護士を雇って、養育費の督促に来たと言います。「養育費を払うのは親の義務だろ」と、迫る元夫に、私はきっぱりと言いました。
「お断りです! だって、私の子じゃないでしょ!」
どうして見ず知らずの子の養育費を、別れた私に払えというのか不思議でたまりません……。私の言葉に、また驚いたのか、今度は元夫が弁護士だと言うスーツの男性の顔色がはっきりと変わりました。
そこへ、タイミングよく兄が帰宅。事情を聞いた兄は、私が妊娠・出産していた事実はないと説明し、スーツの男性に「お名刺を頂戴できますでしょうか?」とひと言。
困惑するスーツの男性は、「は、初めまして……あの、自分はただの友人で……何も知らなくて……」と、話し出しました。聞くと、元夫に「ただいるだけでいいからスーツで来てくれ」と呼び出され、突然、弁護士だと紹介されたと言います。
なんと元夫は、友人を騙して、私に弁護士だと紹介し、見ず知らずの子の養育費を請求しに来たのです。あまりに無謀で、私も兄も開いた口が塞がりませんでした。
弁護士バッチもつけておらず、ずっと沈黙していたので変だとは思っていましたが、弁護士でない上に、何も聞かされずこんな修羅場に巻き込まれたなんて、困惑もするはずです……。
結局、赤ちゃんは誰との子ども…?
とんでもない嘘がバレて、これで話は終わるかと思いきや、元夫は「弁護士に頼まなくても養育費を払うのは親の義務だ! 絶対に払ってもらうからな!」と、まだ引き下がらなかったのです。
私は、一刻も早く元夫と別れたかったため、黙って離婚しましたが、離婚の理由は元夫の不倫でした。そこで私は、知っていることをすべて暴露することに。
「その赤ちゃんは、不倫相手との子でしょ? 全部知っています」と言って、ひとまず不倫に気づいていたことを告げました。離婚前に調査機関に依頼して、不倫の事実を突き止めていた私。これで焦るかと思ったのですが、またしても元夫は私の想像を超えた反論を……。
「俺と結婚していた期間に生まれた子どもだから、お前の子でもあるだろうが!」と、なんとも理不尽な主張をしてきたのです。
あろうことか、不倫相手との子どもでも、私と結婚していた期間に生まれたため、法律上は私たちの子どもになると勘違いしていたようでした。信じられませんでしたが、本気でそう思っている様子の元夫。あまりの暴論に、その場にいた全員が絶句しました。
凍りついた空気を察して、ようやく自分の勘違いに気づいたのか、焦り始めた元夫。そして、衝撃の真実はもうひとつ。
私が元夫の不倫に気づいたのは、離婚の1カ月前、つまり今から1カ月半ほど前のことです。調査機関に調べてもらった結果では、元夫の不倫相手は独身女性で、子どもはいませんでした。
つまり、元夫が抱いている赤ちゃんは、私が依頼した調査では判明しなかった別の不倫相手との子どもである可能性が高く、元夫には不倫相手が複数いたということに……。私が事実を確認すると、3人の女性と不倫関係にあったことを白状した元夫。
せっかく慰謝料を請求せず別れてあげたのに、自ら首を絞めるような行動をするとはなんて愚かな……。悲しみや怒りの感情をお通り越して、笑えてきました。
そして「子どもを利用して元妻にお金を要求するなんて、悪質極まりない!」と、兄から非難され、元夫は、ようやく家を出ていきました。
トンデモ不倫夫の悲惨な末路
その後、私は本物の弁護士に依頼し、きっちり慰謝料を請求。時間と労力を惜しんで黙って離婚した結果、逆にとんでもないトラブルに巻き込まれることになってしまい、最初からきっちり別れておけば良かったと後悔しました。
元夫はというと、子どもの母親である不倫相手と再婚しましたが、この大騒動が相手の両親にバレて、絶縁を言い渡されてしまったのだとか。今は、ボロボロの風呂なしアパートに引っ越し、慰謝料と養育費の支払いに追われながら、苦しい毎日を送っているそうです。
一方私は、兄の家を出て一人暮らしをスタート。兄は相変わらず心配性で、私の家によく遊びに来てくれます。やっと穏やかな日常を送ることができて、今はとても幸せです。
◇ ◇ ◇
不倫の末に、支払い義務のない養育費まで請求しようとするとは、その身勝手さにはあきれてしまいますね。元夫には今回のことをしっかり反省し、わが子のことだけは絶対に裏切らず、心を入れ替え、どうか誠実に生きていってほしいものです。この先、赤ちゃんが無事に成長し、幸せに生きていけることを願うばかりです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。