「ウエカツの目からウロコの魚料理」
魚料理の教科書は、東京書籍から出版されている、元漁師、元水産庁職員と異色の経歴を持つ、魚食普及人・上田勝彦さんの書籍『ウエカツの目からウロコの魚料理』です。
魚をさばくとどうしても生臭さが気になったり、内臓や頭などの処分せねばならない部分のことなど、あれこれ考えて実際に作業する前から、ついつい及び腰になっていました。
この本を読んで、生臭くなる原因と対処法を知り、できるだけその通りにしてみたところ、驚くくらいにすっきり、そして最高のイワシ料理を作ることが出来たのです。
上田勝彦さん「塩イワシ」のレシピ
材料(2人分)
・マイワシ…4尾
・塩…ひとつかみ
どうですか、この潔い材料表(笑)。近所のスーパーでは1パック3尾で安売りしていたので、今回は3尾でやってみます。
作り方①イワシの下処理をする
イワシを選ぶ時には目がきれいで小顔のぷっくりしたタイプを選べばいい、とのことで選ばれた子たちです。ぷっくり。
まずは水洗いをして、表面の粘液を落とします。一旦水気をきちんと拭き取り、頭を落とし、腹の脇から包丁を入れ、刃で内臓をかき出してから腹を切り落とします。
生臭さを取り除くためには、水洗いが命なんだそうです。小さいイワシでも流水と歯ブラシで内側をきれいに洗い、きっちりと水気を拭いておくことが肝心。
ホテルでもらってきた歯ブラシを魚用にしました。
なるほど。ここまできれいにすると、すっきりしますねぇ。
取り除いた内臓や頭は紙にきゅっと包み込んでビニール袋に入れ、冷凍庫でゴミの日まで保管しています。これで匂いに悩まされることはありません。
作り方②塩をする
下処理したイワシをボウルに入れ、ひとつかみの塩をまぶし、30分ほど置いておきます。
10分もすると水分がしみ出してきます。
作り方③流水にさらす
塩粒を洗い流し、5分ほど流水にさらしておきましょう。さらすうちに水が澄んできます。
作り方④水分を拭いて保存する
水を内側までよく拭き取り、キッチンペーパーを敷いた保存容器に腹を下にして並べて冷蔵庫へ。グリルでそのまま焼くほか、ゆでても良いそうです。
塩の脱水効果で冷蔵庫で4-5日は持つとのこと。
焼いただけなのに!!
1尾はすぐにグリルで焼いてみました。1分ほど空焼きしてから強火で乾くくらい焼き、ひっくり返して中火でじっくり、そして火が通ったあたりで表に返して焼き上げます。
焼いただけなのに、濃厚な焼き魚の味にうっとりです。全体に塩が入っているので、何もかけなくても平気。こんなに上手に魚が焼けたことがあっただろうかと思うほど、ほわりと焼けました。
日本酒に合う。白いご飯にも最高に合う。
そして、そのまま保管していたイワシの4日後の姿がこちら。
ほとんど変化なく、匂いもありません。生魚なのに、何だかびっくりです。
クリアでふくよかな魚料理が作れた!
こちらは、せりや菜花、えのきと一緒に蒸してアレンジしてみました。
あろうことか、手前のイワシを落としてしまいまして。見た目は微妙になっちゃいましたが、ふんわりとしたイワシ。ポン酢で野菜と一緒にワシワシいただき、素晴らしいご馳走になりました。
終始生臭さとは無縁の、すっきりした味わいに驚嘆。きちんとした下処理で、ここまで魚料理は格上げされるのかと、本当に勉強になりました。
この塩イワシ、気に入りすぎて実はもう何度かリピートしています。
調味とはなにか、焼くということはどういうことか、そういう基本に関してもびっしりとレクチャーしてある超絶おすすめの本です。
何度も何度も読み返すつもり。そして、これからはもう少し大きな魚や買ったことのない魚とも、付き合っていこうと思っています。
アジやイワシなら、怖がらずに買えるようになりました。安いし身体にいいしおいしいし、いいことづくめの魚料理。
ぜひ皆様にもこの本を一度お手に取ってみていただきたいです。そしていろいろな料理にもトライしてみてくださいね!