夫は私を見て、「変わっちゃったな〜」と嘆きます。
昔はかっこいいキャリアウーマンだったのに、今では所帯じみておばちゃん感丸出しだと、バカにしてきます。自分の会社の同僚を例に挙げ、「お前は女を捨てたのか? もう少し、おしゃれや美容に気を使ったらどうだ」と、言ってきます。
仕事をしながらのワンオペ育児で、目が回るほど忙しい生活なのに、どこにそんな時間があるというのでしょう。私にきれいにしろと言うのなら、家事や育児に参加して、私にも自由時間を作ってくれたらいいのに……。
上司に付き合って朝まで飲んでいた?
ある日の夜、夫と連絡がつかなくなり、私は眠れぬ夜を過ごしました。
やっと夫が電話に出たのは、翌朝。
離婚して落ち込んでいる上司と飲みに行き、そのまま家に上がって、朝まで話を聞いていたのだそう。そうしているうちに、うっかり寝てしまったと言います。私も面識のある上司と一緒だったと聞いてホッとしましたが、連絡が取れず心配していたと伝えると、夫は素直に謝ってくれました。
その日、私たちは家族で遊園地へ出かける予定だったのですが、二日酔いの夫は自分だけキャンセルしたいと言い出して……。結局、私は娘と2人で出かけることになりました。そして私たちは、遊園地で思いもよらぬ人物と会ったのです。
娘と2人で遊園地に行った日から1カ月後、夫に大事な話があると切り出した私。なんと、夫は部下と不倫していたのです。始めは、すっとぼけていた夫ですが、私が証拠をつかんでいるとわかると、急に慌てだしました。
あの日、遊園地で、私は夫の上司に会ったのです。その日の朝まで、夫が一緒に飲んでいたと言う上司に、です。
二日酔いで具合の悪い夫とは対照的に、とても元気そうな夫の上司。それもそのはず。一緒にいた女性に前日、想いを伝えて交際することになったそう。交際して初めてのデートで、遊園地に来たと話していました。離婚して落ち込んでいると聞いていたので、幸せそうで何より。
しかし、そうなると、夫が上司と飲んでいたというのは、真っ赤なウソだったということになります。夫の上司と会った日、私は急いで不倫調査を依頼。その結果報告を受け、夫を問い詰めにかかったというわけです。
なかなか認めない夫でしたが、私がしつこく追及すると、観念したのか罪を告白した夫。そして、おもしろいことを言ってきました。
「アメリカ栄転が決まってるんだよ!」
「お前と違って才色兼備な彼女と行くから離婚してくれ! 残念だったなw」
「栄転? 左遷じゃなくて?」
「え?」
ふ〜ん、栄転ね…おめでとう♪
アメリカへの転勤が決まり、すっかり浮かれ気分の夫。私が慰謝料を請求すると伝えても、栄転だから給料も上がるし大丈夫だと、余裕の表情です。ほどなくして、離婚が成立、親権は私が持つということでトントン拍子に話がまとまりました。
マウント夫と離れることができて、私はスッキリ! 気分良好♪ 夫は、不倫相手である会社の契約社員だった女性と一緒にアメリカへ。
養育費の支払いは、しばらく続くものの、私たち親子と夫をしっかりつなぐものはなくなりました。
しかし、数カ月後、元夫から思わぬ連絡が。英語が苦手でタクシーに行き先を伝えられず、代わりに話してくれと言うのです。アメリカから日本にいる元妻に、助けを求めて連絡してくるなんて、本当にあきれました。
しかも、行き先は空港。日本へ無理やり帰るためだと言うのですから、驚きです。あれだけ浮かれていたのに、「ここは俺の住むべきところではなかった」と嘆く元夫。例の不倫相手は、さっさと日本へ逃げ帰ってしまったそうで、ひとりで心細いと言いますが、私の知ったことではないので、「自分でどうにかして」と伝えて、その後の連絡は無視しました。
実は、大きな勘違いをしていた元夫。栄転と思い込んでいた辞令は、アメリカの本社勤務ではなく、実際には本社に隣接する工場勤務でした。そして、元夫よりも先にこの事実を知っていた私。元夫の不倫を上司に相談した際、すでに左遷がほぼ決まっていると聞いていました。
上司も元夫の勤務態度や、ミスの多さに前々から悩んでいたと言っていました。さらに、社内で元夫の不倫は噂になっていたことと、取引先から商談をすっぽかされたとクレームが入ったことによって、元夫に対しての内部調査が行なわれたそうです。
調査の結果、打ち合わせや商談と称して、不倫相手と2人で外出し、日常的に仕事をサボっていたことが発覚。大事な取引先の信頼を失い、会社に不利益をもたらしたことなども含めて、左遷が決定。私が元夫の不倫を上司に相談したときには、左遷はほぼ確実だったのです。
辞令を伝えられたときも、勤務態度について注意を受けていたはずですが、元夫は、栄転だ、アメリカだと浮かれていて、話をしっかり聞いていなかったようです。
私を見下すマウント夫に罰
アメリカについてからの元夫は、中学生レベルの英語では生活が困難で、勤務先の工場に行っても、自分が何をしたらいいのかわからず、早々に心が折れてしまったそう。
そんな情けない毎日で、不倫相手にも逃げられ、自分も日本に帰りたくなったと言います。しかし、そこで私を頼ってくるのはお門違い。元夫婦、元家族で、娘の父親でもある自分が、このままどうなってもいいのかと脅されましたが、私としてはどうでもいいです♪
私のありがたみがやっとわかったと、夫は謝罪してきましたが、もう1度やり直そうだなんて無理です。私たちを捨てて、不倫相手とルンルンで出て行ったくせに、困ったら助けてくれだなんて、都合が良すぎです。私のことをどれだけバカにすれば、気が済むのでしょう……。
「お前なら許してくれるだろ?」
私にそんな言葉を投げる元夫。助けを求めるこんなときでも、まだ私を下に見ているのです。怒る気にすらなりませんでした。
元夫はひとりでは空港に辿り着くこともできず、毎日のようにアメリカでの生活がつらいと連絡してきましたが、私はすべて無視。結局、上司に頼み込んで退職、帰国させてもらったと風の便りに聞きました。帰国してからは、どこで何をしているのか知りませんが、きっとどこかで苦しい生活をしているのだと思います。
私のことも娘のことも大事にしてくれなかった元夫。そんな人と別れられたので、離婚に悔いはありません。これからは、娘と2人、幸せに生きていこうと思います。
◇ ◇ ◇
仕事をサボって不倫、上司や会社に迷惑をかけて……。信じられないほどに身勝手な夫でした。それに、辞令が栄転でも左遷でも、少しくらいはそこで努力してほしかったね。すぐに投げ出さず、与えられた場所で堅実に、できることからコツコツと、前向きに生きていけたらよかったでしょう。家族も仕事も失ってしまった今、夫にはこれまでの甘い考えを改めて、この先の人生では、誠実さや努力する姿勢を身につけていってほしいですね。
【取材時期:2025年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。