面接に行くと同級生が!
僕は高校を卒業後、ずっと町工場で職人として働いてきました。しかし、自分の仕事の幅を広げるために、転職することを決めました。
何社かに履歴書を送り、カメラの部品などを扱っているメーカー・A社が面接をしてくれることに。そして面接当日、「面接の時間までこちらでお待ちください」と言われ案内された部屋には、なんと、高校時代の同級生・B男がいたのです。
「久しぶり! お前も面接を受けるのか!」
どうやら、B男もA社の採用面接を受けるために来たよう。会社からは「2人で面接を受けてもらう」と言われていましたが、その1人がB男だったのです。
面接の時間まで2人で会話をしていると、B男は高校卒業後、有名大学に進学し、新卒からつい最近まで大手企業で働いていたとのこと。彼は自信満々の様子で、僕に向かって「お前は高卒で町工場だもんな……。俺が一緒で運が悪かったな」と言ってきました。
自分の経歴をアピールするB男
そして面接の時間になり、僕とB男は面接会場へ。面接官は女性の社長と営業部の社員の2人。自己紹介でもB男は自身がみなぎっており、自分の輝かしい経歴をアピールします。
一方僕は、「僕は高卒で大学には行っていませんが、今まで町工場で真面目に働いてきました。現場のことはすべて把握しています。募集は営業職とのことですが、現場の状況を知っていて損することはないと思います」と話しました。
その後、いろいろと社長から質問をされ、僕とB男はそれぞれ返答。営業部の社員が「それでは、これで面接を終わります」と言ったそのとき、社長が口を開きました。
「わが社は現在人手不足で、今すぐにも人材が欲しい状況です。そのため、ここで採用者を決めさせてもらいます」
採用されたのは…
僕は「A社にはぜひ入社したいけど、B男の経歴には負けている……」とドキドキ。チラッと隣のB男を見ると、既に勝ち誇ったような顔をしています。「やっぱりダメか……」と思っていると、社長が僕の目を見てはっきりと言ったのです。
「わが社は現場第一の会社です。町工場で培ったものを、ぜひ、営業でも活かしてください! 今後の手続きについては追ってご連絡しますね」
そう、面接に合格したのは僕でした。
面接会場から出るとB男は、「チッ、なんでお前なんだよ。見る目ねぇな、この会社」と言いながら先に帰ってしまいました。
入社後もB男とバトル!?
それから2カ月後、僕はA社に入社し、早く仕事に慣れるため奮闘していました。なおB男はその後、A社のライバル社に採用されたよう。
そんなある日、新規開拓のため飛び込みで営業をかけた会社から、「A社さんともうひとつの会社、どちらから部品を仕入れようか迷っている」との連絡が。詳しく話を聞くと、もうひとつの会社とはB男が入社した会社で、さらに担当者はB男だったのです。
僕はA社のためというのはもちろん、「B男には負けたくない!」という思いから、「今から資料を持って御社に向かうので、プレゼンさせてください!」と発言。その後、わが社の部品がどれほど優れているかを現場の視点を入れながら説明し、無事にうちの会社に決めてもらうことができたのでした。
業界内の噂によると、B男は僕に再び負けたことが相当悔しかったようで、頻繁に自社の工場に通い、一から勉強しているよう。違う会社ではありますが、今後もB男と切磋琢磨しながら、この業界を盛り上げていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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