高学歴を優遇する面接官
集団面接には、僕の他に数名の男女がいて、その中にAという男性がいました。彼はどうやら高学歴なようで、「T大学を卒業している人はやはり頭の回転が違うな」と、面接官である部長から注目を受けていました。
この集団面接では自由に発言していいと言われており、部長の質問に僕が答えようとすると
「話す内容はしっかりと選んで。Aくんの出した意見はとてもすばらしいから、彼よりも優秀だと思った人は答えてください」
と部長が言ったのです。僕は何も言えなくなり「わかりました」とだけ返答し、言おうとしていたことを飲み込むと、部長は再びAとの話で盛り上がってしまいました。
誰も話さない面接
盛り上がっていた部長とAの会話が落ち着くと、面接に同席していた社長が「Aくん以外のみんなはどう考える?」と聞いてきました。しかし、僕含め誰も発言せず、静まり返る面接会場。部長は、「どうして社長の質問に誰も答えないんだ!?」と慌てている様子でした。
そんな部長に対して僕は、
「先ほど、Aさんよりも優秀な人は意見をしてくれ、と言いましたよね。僕は彼より優秀な大学を出ていません。それに、僕たちの意見よりも、どんな大学を出ているのかを重視しているのかなと感じてしまって……」
と言いました。そのため、僕は口を挟むことができずに黙ってしまったことを伝えると、他の人も「私も彼のような有名大学を卒業したわけではないし…Aさんとお話したいようにみえたので」と話し出しました。
「そ、そんなことは…」とタジタジする部長に社長が一言。
「君の発言のせいで、みんなが萎縮してしまったみたいだね」
「先ほどの態度を不快に思った人もいるだろう。申し訳なかった」と社長からの謝罪を受けて、面接が再会。そして、無事に終了したのです。
会社での再会
面接から数カ月後、無事に内定をもらった僕は、初出社の日にオフィスへと向かいました。
オフィスには、一緒に面接を受けていたA以外のメンバーが。Aはどうしたのだろう……と思っていると、「皆さん、合格していたんですね」と声をAが声をかけてきました。彼も内定をもらったようです。
どうやらAは、あのときの面接官であった部長に直属の部下として指名されたよう。一方で僕たちは新設の部署に配属されました。
「優秀な成績を残してくれよ。そうしないと新部署はどうなるかわからないから」
「みんな、頑張ってな(笑)」
こうして部長とAは、話しながら歩いて行ってしまいました。
真の実力
入社して半年後、僕たちの新部署は大成功。会社でも重要な役割を担う部署となり、先輩からのフォローもありながら僕たちは会社でも一目置かれる存在に。一方のAはというと……
「またデータを送ってしまったのか!? 私の言っていることはそんなに難しいか?」
「専門用語ばかりで難しいです!」
部長と言い争いをしている姿をよく見るように。そろそろ独り立ちをしても良いころなのに、仕事を全然覚えられないAに焦りを感じているようでした。
結局、部長との言い争う毎日が苦痛になったのか、Aは会社を休みがちに。部長も、自分が信じた部下が休みがちになってしまって気まずいのか、僕たちに突っかかってくることはなくなりました。
これからも僕たちは僕たちなりに、みんなと一緒に仕事を頑張っていくだけだなと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!