妊娠してから出産するまで、またその後も含めてさまざまな助成制度があります。今回は正社員や契約社員・派遣社員、パートなどの雇用形態を問わず、社会保険にご自身で加入されている人(この記事内ではこれらの人を会社員などとします)を対象とした手続きについて、時系列でまとめましたので、参考にしてください。
なお、専業主婦・パート編と同様の制度については、省略いたしますので、前回お伝えした「妊娠してから出産後までのお金の手続きまとめ【専業主婦・パート編】」をご覧ください。
1.出産育児一時金(本人の健康保険)
子ども1人につき42万円(このうち産科医療補償制度保険金が1.6万円)の出産育児一時金が支給されるのは扶養されている人と同様ですが、ママが勤務先でご自身の健康保険に加入している場合は、ご自身の健康保険組合などで手続きをします。
医療機関の窓口に直接支払われることが原則な点や医療機関が対応していない場合には一度全額出産費用を立て替える点、健康保険組合や共済組合によっては独自の付加給付がプラスされる点などは、扶養されている人と同様です。
2.出産手当金(本人の健康保険)
ママが健康保険に加入している場合で、産前産後休業を取得し、給与の支払いがない期間を対象として出産手当金が支払われます。出産日を含んで産前休業42日(双子以上の場合は98日)から産後休業56日間に会社を休んだ日数分(有給休暇は除く)に対して支給されます。
受け取れる金額は、標準報酬日給(※1)の3分の2相当額×産前産後休業間で休んだ日数です。ママ自身の健康保険で手続きとなるので、勤務先で確認をしてください。出産手当金も健康保険組合や共済組合によっては、独自の付加給付が追加で支給されることもあります。
3.育児休業給付金(勤務先からハローワーク)
ママ(パパが育児休業を取得する場合は産後8週間以内で可能)が雇用保険に加入している場合、育児休業を取得した期間に応じて育児休業給付金が支給されます。支給期間は原則としてお子さんが1歳になるまでの期間ですが、両親ともに育児休業する「パパ・ママ育休プラス」を利用する場合は1歳2カ月まで、子どもが保育所に入所できないなどの特例の場合は1歳6カ月までと例外もありますので、勤務先やハローワークにしっかり状況を伝えることが大切です。
支給金額と期間は、最初の180日は月給の67%、それ以降は50%相当額が支給されます。ただし、勤務先から賃金が支払われた場合は、賃金額により支給額が調整される場合もあります。受け取りは育児休暇開始から2〜5カ月後になり、その後は2カ月おきに受け取れます。手続きは、勤務先を通じてハローワークに書類を提出します。
4.社会保険料の免除(勤務先から日本年金機構)
産前産後休業中、育児休業中の健康保険・厚生年金保険の保険料は、勤務先からの申出により免除されます。
免除期間中も厚生年金保険料は払ったのと同じ取り扱いとなり、将来の年金額を計算する場合には、休業取得直前の標準報酬月額(※2)をベースに保険料を納めたとして扱われます。手続きは、勤務先が日本年金機構へ書類を提出しておこないます。
※1 標準報酬日額……下記の標準報酬月額を30で割った金額
※2 標準報酬月額……原則4~6月の間に給与、諸手当、通勤手当等の会社から支給を受けた金額を3で割り1カ月の月給相当に計算した金額。これを等級ごとに振り分け、社会保険料等を決定する基準として使用します。
※厚生年金保険料や等級の確認は、日本年金機構のホームページ内、厚生年金保険料額表をチェックしてください。