親子5人で帰省。妹・弟家族と合流
私は38歳の母親です。3人の子どもたちが夏休みに入ったのと同時に仕事の休みを取り、家族で6時間かけ、車で実家に帰省しました。私の父は10年前に急死しており、実家に住むのは母ひとりです。普段は近所に住む妹や弟たちが母の面倒を見てくれており、私だけが遠方に住んでいるため、時々しか帰れないことを申し訳なく思っていました。そのため、帰省したときはなるべく片づけを手伝ったり、庭の草むしりをしたりするようにしています。
今回の帰省は、妹や弟家族も一緒。みんなで父の墓参りに行くことになり、わが家の8人乗りの車に、私と夫、子どもたち3人、母、妹とめいっ子が乗り込み、片道1時間半かけて父が眠る霊園へ向かいました。弟家族は別の車で同行します。気温は36度を超え、エアコンが効いた車内でも汗ばむほどの暑さでした。
墓掃除から庭仕事や食事…何でも私に頼む母
霊園は真夏の太陽がじりじりと照りつけ、アスファルトはゆらゆらと陽炎が立ち上っています。汗がしたたって目に染みるのを感じながら、父の眠る墓へたどり着きました。家族で父の思い出を話しながら掃除を進めますが、なぜか母は私にばかり指示を出すのです。
「あなたが水をくんできて」「ここを掃いて」「側面をたわしでこすって」といった具合。私は「普段、遠くに住んでいる長女だからって、なぜ私ばかり?」と不満が込み上げてきました。妹や弟が楽しそうに子どもたちと遊んでいる姿を見て不満はさらに増していきます。線香をたいて墓前に手を合わせる間も、ずっと母に対する疑問が拭えませんでした。
実家に戻ってからも、母は「車が大きいから不用品をクリーンセンターに持って行って」「夕飯の準備をして」と次から次へと要求。朝早く起こされ「ちょっと大きくなり過ぎた裏の木を切って」と頼まれたときには、内心イライラが爆発しそうでした。夫に相談すると「俺が聞いてみるよ」と言ってくれたのです。
「相続でもめぬように」…母から意外な言葉
草むしりでくたくたになった後、私が昼食の準備をしていると、居間にいた夫が母に「なぜ、ゆうこばかりに言い付けるんですか?」と問うてくれました。私は台所から聞き耳を立てています。母は昔を思い出すように顔をゆがめ、口から出たのは「遺産相続のとき、もめないためよ」との意外な言葉。
私は驚きのあまり居間に慌てて駆け付け、「どういうこと?」と聞き返します。「私たちは仲がいいじゃん。お母さんに何かあっても遺産でもめるなんて考えられないよ」。すると母は、自分の体験を語り始めました。
母は、きょうだい仲が悪くなかったものの、祖父が死んだ後、遠方に住んでいるからという理由で遺産分割の話に入れてもらえず、悲しい思いをしたそうなのです。「お金をくれとは言うつもりもないけど、思い出の品を処分する場にも呼んでくれなかったのは、本当にショックだった……」と話します。母は自身の体験から、ひとり遠方に住む私が、家族のために働いているところを妹や弟に印象付けたかったそうなのです。
まとめ
真意を知り、一連の母の言動が少しはふに落ちました。夫は母に「とはいえ、ちょっとやり過ぎでは?」と取りなしてくれ、私も「こんなにこき使われたら、もう帰省するのやめようかなと思ったわ」と本音を伝えると、母は「ごめんなさい。たしかにやり過ぎたわ」と謝ってくれました。長女だから、と思い込んでいた私は、母の意外な心づかいに驚かされたのです。
しかし、秘められた母の思いがどうであれ、不平等な扱いは新たな争いのもとになるでしょう。年を取って私が母の立場になったときは、子どもたちがお互い分け隔てなく平等に、争いなく遺産分割ができるようきちんと説明をしておきたいと思いました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:田川 ゆうこ/30代・ライター。体型の悩みは出産がきっかけなのか自分がきっかけなのか……悩む三姉妹の母。今年こそダイエットを卒業したい。
イラスト/さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
関連記事:「もう親の言いなりにはなりたくない」36歳になっても口出ししてくる過干渉な母から自由になれた瞬間
関連記事:「墓にも入れないし、葬儀も出さない」親戚から届いた父の訃報。死因すらわからない私の消えない後悔は
ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!