【医師監修】乳幼児健康診査(乳幼児健診)の目的とは?健診内容や費用、受ける時期
赤ちゃんが生まれて、乳幼児健康診査(※以下乳幼児健診)を知ったという人も多いのではないでしょうか。乳幼児健診は赤ちゃんの成長に合わせ、いくつかのタイミングでおこなわれます。今回は、乳幼児健診の目的や受診のタイミング、内容や費用についてお話しします。
【目次】
乳幼児健診とは
乳幼児健診は、身長や体重を測るだけの健康診断や病気の診察とは違い、子どもが健康に成長・発達しているかを確認するためにおこなうものです。
<乳幼児健診の目的>
・子どもの発育や発達の状態を明らかにして、子どもに合った健康管理や保健指導をおこなう
・見過ごされがちな疾患や障害を早期に発見する
・発見された疾患や障害に対して、早期治療や療育のサポートをおこなう
・行動発達における問題の早期発見と予防をおこなう
乳幼児健診には、上記の4つのことをベースに子どもの健康を見守り、支援するという目的があります。しかし、支援は当事者である子どもだけでなく、家族を含めた子育てに必要な支援をおこなうという目的もあります。
育児をするうえでさまざまな不安や悩みなどを抱く親に対して、医師や保健師、栄養士といった専門家が相談にのり、状況に応じた支援を紹介してサポートしたり、子どもに合ったアドバイスをしたりする役割も担っています。
乳幼児健診のタイミングと受診場所
乳幼児健診には、母子保健法で義務化されている「1歳6カ月児」と「3歳児」を対象とした定期健診と、義務化されていない任意健診の2種類があります。
一般的には
・「生後1カ月児」
・「生後3~4カ月児」
・「生後6~7カ月児」
・「生後9~10カ月児」
・「1歳6カ月児」
・「3歳児」
を対象としておこなわれるケースが多いです。ただ、地域によっておこなわれている月齢は異なりますので、住んでいる市町村の保健センターのホームページなどで確認してみると良いと思います。
●乳幼児健診の受診場所について
定期健診は「集団健診」、任意健診は主に「個別健診」でおこなわれますが、生後3~4カ月児健診は集団健診でおこなわれることが多いです。
【定期健診】
定期健診の対象は、「1歳6カ月児」と「3歳児」です。母子保健法第12条で満1歳6カ月以上満2歳未満と満3歳以上満4歳未満の幼児を対象とした健診が義務化されているためです。
定期健診は集団健診のため、決められた日に自治体が指定する保健福祉センターや公民館などの施設でおこなわれます。
義務化されていることから、決められた日程の都合が悪い場合、ほかの日程で受けられます。案内の日程の都合が悪い場合は、管轄の行政機関に問い合わせるようにしましょう。
【任意健診】
「生後1カ月児」「生後3~4カ月児」「生後6~7カ月児」「生後9~10カ月児」「1歳児」が任意健診の対象です。いずれも母子保護法で義務化されていない健診のため、任意とされています。
「生後3~4カ月児」は集団健診が多いですが、このほかは個別健診であるケースがほとんどで、自治体が指定している医療機関で受けることができます。各自、医療機関に問い合わせて予約を取ってから受診するのが一般的です。
乳幼児健診の内容
乳幼児健診ではどのような健診がおこなわれるのか、「定期健診」と「任意健診」で分けて説明します。
●定期健診
「身体計測」「小児科診察」「栄養相談」「育児相談」の4つをベースに、1歳6カ月児健診では「歯科健診」と「歯科保健相談」、3歳児健診では「歯科健診」「検尿」「視覚・聴覚検査」といった詳しい検査が追加されます。
【1歳6カ月児健診】
幼児初期である1歳6カ月では、生活習慣の自立や虫歯の予防といった指導など、健康状態をキープすることを目的とした一般健康診査や歯科健康診査などがおこなわれます。
1歳6カ月になると、精神が発達し、歩行や言語の発達がみられ始めます。従って、身体の発育状況に加え、ひとり歩きができるか、鉛筆など持ってなぐり書きができるかといった四肢の運動機能のチェックや、指差しや名前を呼ばれて振り向くなどの反応があるかといった言葉や音への反応の確認をおこなわれるケースが多いです。歩行ができないときは、精査が必要なことがあります。
【3歳児健診】
3歳になると、健康やさまざまな発達において個人差が目立ち始めます。病気によって発達が遅れている場合、その後の成長に大きな影響を与えることから、言語や運動、視覚や聴覚など、社会性や言語、精神、運動面の発達に問題がないかをチェック。発達障害の有無や発育の評価が重要な健診となります。
具体的には、自分の名前が言えるか、同年代の子どもと会話ができるかといったコミュニケーション能力や、衣服の着脱や自分でなんでもやりたがるかといった生活面での自立などです。
●任意健診
任意健診の場合、基本的な健診内容は「身体計測」「小児科診察」「栄養相談」「育児相談」の4つです。時期別にポイントとなる健診内容を見ていきましょう。
【生後1カ月児健診】
赤ちゃんの発育や栄養状態、先天性異常の有無などを診ています。また、この時期はビタミンKが不足しがちで、ビタミンK欠乏性出血が起こりやすいとされています。そのため、ビタミンKの投与がおこなわれます。また、母親に対しても産後うつや育児不安などがみられないかが確認されます。
【生後3~4カ月児健診】
子どもの発育や栄養状態の確認に加え、首のすわりのチェックがおこなわれます。また、音への反応(聴覚)や、物を動かしたとき目で追うか(視覚)の確認もあります。
この時期になるとさまざまな予防接種が受けられる時期になっているため、保健面ではワクチンの定期接種が進んでいるかなど確認をされることが多いです。
【生後6~10カ月児健診】
生後6カ月から10カ月くらいになると寝返りやひとり座り、ハイハイやつかまり立ちなどの行動や兆候などがあるかを確認します。
遊びやおもちゃへの関心、人見知りの有無から行動面での発達や社会性に問題がないかも重要なポイントとされています。また、離乳食も開始している時期のため、進行具合の確認や歯磨きの指導などがおこなわれることもあります。
乳幼児健診の費用と持ち物
乳幼児健診の費用や健診時の基本的な持ち物をご紹介します。
●乳幼児健診の費用
乳幼児健診の費用に関しては、3つのケースがあります。
・自費(有料)で受けるケース
・公費(無料)で受けられるケース
・一部の健診費用を助成してくれる(一部有料)ケース
一般的に任意健診が有料で、定期健診は無料というケースが多いです。有料の場合、医療機関によって異なりますが、3,000円~5,000円程度のところが多いです。
ただ、市区町村によっては、任意健診の費用も無料で受けられるケースもあります。里帰り出産などでお住まいの地域外の医療機関を受診したケースでも、自治体によっては申請することで受診にかかった費用を助成してくれる制度があるため、乳幼児健診の費用については、お近くの行政機関に問い合わせましょう。
●健診当日の持ち物
健診の際の基本的な持ち物をご紹介します。
<任意健診>
・母子健康手帳
・診察券
・保険証
・乳幼児等医療費受給者証(こども医療費受給者証)
・助成券(乳幼児健康診査受診票などがある場合)
・問診票(事前にもらっている場合)
・着替え
・飲み物(必要に応じて)
・タオル
・おむつ
・おしりふき
・おもちゃ など
<定期健診>
・母子健康手帳
・定期健診の案内(受付票)
・助成券(乳幼児健康診査受診票などがある場合)
・問診票(事前にもらっている場合)
・着替え
・飲み物(必要に応じて)
・タオル
・おむつ
・おしりふき
・おもちゃ など
基本的な持ち物に加え、子どもの発育で気になることや質問したいことがあれば、メモをして持っていくのもおすすめです。
まとめ
乳幼児健診は、子どもの成長状態や病気の可能性の有無を知るのはもちろん、専門家に相談できてアドバイスしてもらえる貴重な機会です。定期健診と任意健診がありますが、いずれの場合も決められた時期に受診し、しっかりと子どもの健康や成長を見守りましょう。
また、健診時に限らず、心配なときはいつでも市町村やクリニックで相談や受診すると安心です。
※厚生労働省では、新型コロナウイルス対策が気になる保護者に向けて、子どもの健康が気になるときだからこそ、予防接種と乳幼児健診は遅らせずに予定どおり受けるよう情報発信しています。
予防接種のタイミングは感染症にかかりやすい年齢などをもとに決められており、乳幼児健診は子どもの健康状態を定期的に確認して相談する大切な時期なので適切な時期にきちんと受けましょう。予防接種を受けそびれてしまった方はできるだけ早く受けましょう。
体調が悪いときは予防接種や健診に行くのはやめ、元気になったら改めて予定を立てましょう。
乳幼児健診は、感染状況などを踏まえて中止、または実施方法などを変更している場合があります。お住まいの市町村の子育て世代包括支援センターや母子保健窓口にお問い合わせください。
参考:厚生労働省「遅らせないで!子どもの予防接種と乳幼児健診」
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◆生後0~1か月に関するQ&A
- Q.生まれつき耳が小さく、つぶれた形になっています
- Q.呼吸について
- Q.鼻掃除
- Q.うつぶせについて
- Q.おしゃぶり
- Q.顔の湿疹について
- Q.母乳だけでは寝つきが悪く、早く起きてしまいます
- Q.新生児の飛行機搭乗
- Q.熱性けいれんはまず家で様子を見るべきですか?
- Q.お昼寝布団を使用して背骨に影響でますか?
◆産後のサポートの体験談
離乳食は1回食からはじまり、少しずつ色々な食材を食べさせていきました。最初は10倍がゆから始めました。1週間慣れたところで、野菜を少しずつ始めていき、果物も食べさせていきました。食べてくれるととてもうれしいもので明日は何を作ろうかなと考えるのが楽しかったです。だんだん食べる量も増えていきました。口周りや洋服が汚れてしまうので、その後始末がいつも大変でした。
そばかす さん
料理があまり得意でない私は、離乳食が始まって、手作りの1回食、2回食……のあたりでもう限界。3回食になった時点で、3回のうち1回は市販のベビーフードを使おう!と決めたとたん、フッと気持ちが楽になりました。その1食の中で、自分では作りにくい食材(レバーなど)も取れるし、品目も多く取れるので、気分的にもとても助かりました。手を抜いて、その分、ゆっくりと子どもと向き合う時間が取れたと思います。
あっちママ さん