学資保険の利回りとは？平均はどのくらい？

2025年6月18日

学資保険は子どもの教育資金を計画的に準備できる保険商品です。しかし、利回りがどの程度なのか、返戻率との違いは何かを理解しておくことが大切です。本記事では、学資保険の利回りと返戻率の定義や違い、平均的な数値、そして利回りが低く元本割れとなるケースについて解説します。

学資保険の利回りと返戻率の違い

利回りとは（定義と計算方法）

利回りとは、元本に対して資金がどれくらい増えたかを示す割合で、通常は1年あたりの平均利回りを指します。学資保険の場合、支払った保険料総額を元本と考え、満期などで受け取る利益を年率に換算したものが利回りです。計算式は以下の通りです：

利回り（％）＝利益 ÷ 総支払保険料 ÷ 払込期間（年数） × 100

たとえば、総支払保険料が382万円、満期受取総額が400万円の学資保険では、利益は18万円となります。このケースの利回りを計算すると 0.5％程度になります。つまり年0.5%程度の運用利率ということです。利回りは銀行預金の金利などと直接比較できる指標であり、学資保険の増え方を年ベースで評価したものといえます。

返戻率とは（定義と計算方法）

返戻率（へんれいりつ）とは、これまで払い込んだ保険料総額に対して、将来受け取る学資金（満期保険金や祝い金など）の総額がどのくらいになるかを示す割合です。計算式は次の通りです：

返戻率（％）＝受取総額 ÷ 総支払保険料 × 100

返戻率が100%を超えれば支払った総額より受取総額が多く、100%を下回れば受取総額が支払総額を下回る元本割れになります。例えば、ソニー生命の学資保険（22歳満期、受取総額400万円）で、契約者30歳・子ども0歳の場合、15年間の総支払保険料が約382万円（月額21,240円×12ヶ月×15年）で、受取総額が400万円になるケースでは返戻率は104.62%となります。このように100%を上回る返戻率であれば「貯蓄性がある」、つまり支払額より多くの学資金を受け取れる学資保険ということです。

返戻率はあくまで支払総額に対する受取総額の割合で、「時間」の要素を考慮していません。一方、利回りは増えた金額を運用期間で割って年率にしたものです。そのため、同じ学資保険でも返戻率で見ると一見高く感じても、長期間にわたる運用効率を考慮した利回りで見るとごく低い数字になる場合があります。先ほどの例でも、返戻率104.62%の学資保険の年利回りは約0.5%に過ぎません。返戻率には運用期間という時間の概念が入っていないため、このような差が生じます。

利回りの平均はどれくらい？

結論からいえば、近年の学資保険の返戻率は概ね103%～105%程度が一つの目安であり、対応する年利回りは0.3～0.5%程度と考えられます。例えば、返戻率104%程度の学資保険の場合、利回りに直すと約0.40%になります。低金利が続く昨今では、以前ほど高い返戻率の学資保険は少なくなりましたが、金利0.001％～0.2%程度の銀行預金よりは有利な運用利率となっています。

実際、大手各社の学資保険の返戻率を比較すると、多くの商品が105%前後に収まっています。例えば日本生命や明治安田生命、ソニー生命などの学資保険では、契約者30歳・子0歳・18歳満期といった条件で概ね返戻率103～107%程度となるケースが多いです。この返戻率水準を年利に換算すると先述の通り0.3～0.5%程度となり、大きなリターンは期待できないものの、堅実に増やせる商品と言えるでしょう。

利回りが低くて元本割れする学資保険もある

学資保険の中には返戻率が100%を下回り、元本割れとなるものも存在します。特に注意すべきなのは「保障型」と呼ばれるタイプや低金利環境下で販売されている商品です。学資保険は大きく分けて貯蓄重視型と保障充実型に分類できますが、保障内容が充実すればするほど返戻率は低下し、場合によっては払込保険料総額より受取額が少なくなることもあります。実際、学資保険の商品によっては返戻率が80～90%台にとどまるものもあり、契約条件次第では満期時に元本割れとなり得ます。

例えば、かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」では、以前は返戻率が100%を下回るプランが指摘されていました。2023年4月の改定で保険料率が見直され、10年短期払込のプランでは返戻率101%程度を実現していますが、払込期間を長くとる（18年払い込む）プランでは依然として返戻率が90～92%程度に留まります。また、アフラックの学資保険ではシミュレーション条件によって返戻率が100%を下回る結果も公表されています。このように、商品設計や払込期間によっては元本割れリスクもあることを認識しておきましょう。

保障型の学資保険は万一に備える保障機能が手厚い反面、貯蓄性はどうしても低くなりがちです。学資保険を選ぶ際は、返戻率ばかりでなく保障とのバランスも考慮し、「元本割れでも保障を重視するのか」「多少保障を削ってでも貯蓄性を優先するのか」を検討することが重要です。

大手保険会社の学資保険の利回り比較

学資保険を提供している主な保険会社ごとの返戻率や利回りを比較してみましょう。ここではかんぽ生命、ソニー生命、明治安田生命、日本生命の4社について、契約者30歳・子ども0歳・18年満期・月払（払込期間は契約プランにより異なる）という条件でシミュレーションした場合の数値を紹介します。比較のため各社とも貯蓄性を重視したプラン（祝い金なし型や短期払プランなど）で算出しています。

以下の表に、各社学資保険の返戻率と、それを年利換算したおおよその利回り（年平均利率）をまとめました。また各商品の簡単な特徴も記載しています。

保険会社・商品名	返戻率（％）【目安】	年利換算利回り（％）【概算】	特徴（プランの概要）
かんぽ生命「はじめのかんぽ」	約101%	約0.1%/年	短期払いプランで100%超を実現。保障充実型だと元本割れ注意。
ソニー生命「学資保険Ⅲ型」	約105.5%	約0.3%/年	貯蓄重視型プラン。契約条件次第で高返戻率を実現。
明治安田生命「つみたて学資」	約105.7%	約0.3%/年	貯蓄性が高いシンプルな学資保険。祝い金なしで返戻率向上。
日本生命「ニッセイ学資保険」	約107.2%	約0.4%/年	高い返戻率が魅力。祝金なし型が人気で貯蓄性に優れる。

※上記返戻率は一例であり、契約者・被保険者の年齢や払込期間・払込方法によって変動します。また利回りは単純計算による概算です。

表を見ると、返戻率では日本生命や明治安田生命、ソニー生命といった民間大手の貯蓄型学資保険はおおむね105%前後であるのに対し、かんぽ生命は短期払いプランでようやく100%を僅かに超える程度となっています。実際、かんぽ生命は2023年の改定で返戻率を改善したものの、それでも他社と比べると貯蓄性の面では見劣りする状況です。一方、ソニー生命は契約内容のカスタマイズ性が高く、契約者年齢や払込期間の設定次第では最大121.5%もの高い返戻率を実現できるプランも存在します。日本生命も「こども祝金なし型」を選択することで返戻率が108～109%近くまで向上し、多くの契約者（約85%）がこのプランを選んでいるとのことです。

それでは、各社の商品ごとの特徴をもう少し詳しく見てみましょう。

かんぽ生命「はじめのかんぽ」

かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」は、郵便局で申し込める昔から馴染みのある学資保険です。特徴として、保険料払込期間を10歳までなど短く設定すれば返戻率100%超を実現できる反面、18歳など長期払いにすると返戻率が100%を下回りやすい点が挙げられます。保障面では、契約者（親）に万一のことがあった場合の払込免除はもちろん、希望により医療特約を付加して子どもの入院保障を付けることも可能です。貯蓄性よりも「保険」としての側面を重視する家庭に向いていますが、現在の低金利下では貯蓄目的で見ると利回りがほぼゼロに近いため、学資保険に確実性以外の大きなリターンを求めない方に検討される商品と言えます。

ソニー生命「学資保険Ⅲ型」

ソニー生命の学資保険（Ⅲ型）は、学資保険の中でもトップクラスの高い返戻率が魅力の人気商品です。祝い金の受取を大学在学中（18歳以降）に集中させるタイプ（Ⅲ型）では、契約条件によっては返戻率121.5%という突出した水準になることが公式にも示されています。日本生命が最大108.9%、フコク生命でも109.5%程度なので他の隠し保険と比較しても群を抜いており、ソニー生命がいかに貯蓄性を高めているかがわかります。ソニー生命の学資保険は契約者の年齢や払込期間を柔軟に設定でき、払込期間を短くするほど返戻率が上がる仕組みです。そのため、月々の負担と返戻率とのバランスを見ながらプランを設計できます。また、満期学資金を据え置いて利息を付けることも可能で、大学入学時ではなく在学中に分割受取することで返戻率をさらに高められます。保障面では他社と同様に契約者死亡時の保険料免除が付いています。高い貯蓄性を最重視する方にとってソニー生命は有力な選択肢でしょう。

明治安田生命「つみたて学資」

明治安田生命の「つみたて学資」は、その商品名の通りコツコツ積み立てることに重点を置いた学資保険です。特徴はシンプルで堅実な貯蓄性であり、契約者や子どもの年齢条件にもよりますが返戻率110%以上と比較的高めの水準を確保できます。祝い金（幼稚園入園祝いや高校入学祝い金など）のないシンプル受取タイプのみの商品設計となっており、その分保険料に無駄がなく貯蓄性を高めている点が特徴です。払込期間も選択できますが、多くの場合は18歳まで等長期払い込みとなります。それでも返戻率が100%を超えるよう保険料設定がなされており、元本割れの心配が少ない貯蓄型学資保険と言えます。契約者死亡時の払込免除はもちろん、商品名の「つみたて」の通り契約者貸付などは付帯せず積立貯蓄に徹するシンプル設計です。保障より貯蓄重視で、確実に元本以上を準備したい方に向いています。

日本生命「ニッセイ学資保険」

日本生命の「ニッセイ学資保険」は、国内生保大手である日本生命が提供する安心感と高い貯蓄性で人気の学資保険です。特に返戻率の高さで知られており、「こども祝金なし型」（満期一括受取タイプ）を選択すると返戻率が107～109%程度と非常に良好です。実際、日本生命の公表資料によると契約者の約85%がこの祝金なし型を選んでいるとのことで、それだけ貯蓄性重視の利用者が多いことが窺えます。一方、「こども祝金あり型」を選ぶと、100％は超えるものの返戻率はやや低下します。契約者（親）の年齢が低いほど有利な保険料になり、払い込み方法も年払いにするなど工夫することで返戻率を底上げ可能です。保障面では万一の際の払込免除に加え、契約者が高度障害状態となった場合なども免除対象となる手厚い内容です。大手の信頼感と高い返戻率のバランスが魅力であり、「確実性と貯蓄性の両立」を重視する方に適した商品と言えるでしょう。

学資保険の利回りを高める4つの方法

学資保険の利回り（返戻率）を少しでも高め、効率よく教育資金を貯めるために工夫できるポイントがいくつかあります。主に以下の4つの方法が効果的とされています。それぞれ具体例や数値を交えながら説明します。

1. できるだけ早く加入する

学資保険は加入する時期が早いほど返戻率が高くなる傾向があります。契約者（親）および被保険者（子ども）の年齢が低い方が保険料が割安に設定されるため、その分同じ満期金を受け取る場合でも支払総額が少なく済み、結果として返戻率・利回りが良くなります。

例えば、ある学資保険で「子ども0歳時に加入」した場合と「子ども7歳時に加入」した場合とを比較すると、月々の保険料に大きな差が生じることがあります。この場合、0歳で加入した場合の返戻率が約105.1%であるのに対し、7歳で加入した場合は約102.8%と、加入時期の違いだけで約2.3％もの返戻率差が出るという試算もあります。わずかな差に思えるかもしれませんが、早めに加入できるに越したことはありません。

ポイントとして出産予定日の140日前から加入できる学資保険もあるため、出生後なるべく早くスタートすることで長期の運用期間を確保できます。親御さんの年齢が上がると保険料自体も高くなりやすいため、「思い立った今」がベストな加入時期とも言われます。加入を検討しているなら、できるだけ早いタイミングで動くことで利回り面で有利に働くでしょう。

2. 月払いではなく年払いにする

保険料の支払い方法を工夫することでも返戻率を高められます。一般に、保険料はまとめて支払うほど割引が利くため、月払より年払の方が支払総額が割安になります。保険会社によって割引率は異なりますが、年払いにすると年間保険料の数％分がお得になるケースが多く、この差が積み重なることで最終的な返戻率が上昇します。

例えば、月払いでは月々1万円のところ、年払いにすると年額11万円程度に割引される場合、差額分だけ総支払保険料が減ります。その結果、満期に受け取る金額が同じであれば返戻率は高くなります。

注意点として、年払いにすると一度に大きな金額を支払うため、家計管理上はその資金を確保しておく必要があります。無理なく支払える範囲で、可能な限りまとめて払い込む方法を選ぶと良いでしょう。支払方法の変更が可能な場合は、ボーナス時に半年分まとめ払いに充てる等も一つの方法です。「まとめて払う」ことが返戻率アップにつながる点を覚えておきましょう。

3. 短期払プランを利用する

保険料の払込期間を短く設定すると、返戻率が向上します。学資保険は18歳や22歳満期の商品が多いですが、保険料の払い込みを子どもが10歳や12歳までで終了できる短期払いプランを用意していることがあります。短期払いにすると1回あたりの保険料は高くなりますが、その分トータルの支払額が抑えられるため、結果的に返戻率が上がる仕組みです。

具体例として、フコク生命の学資保険「みらいのつばさJ型」（22歳満期、基準保険金額100万円）の場合で試算すると、払込期間を11歳までにした場合の返戻率は約109.5%、14歳まででは約107.3%、17歳まででは約105.1%と報告されています。同じ契約条件でも払込期間を短縮するだけで返戻率が数％上昇しています。

短期払いのメリットは利回りが良くなる点ですが、一方で家計負担は契約後の前半に集中します。子どもが小さいうちは他の出費が比較的少ない傾向もありますので「小さいうちに頑張って払い終える」ことでトータルでお得にできるとも言えます。ただし無理をして途中解約してしまうと元本割れの損失が出ますので、短期払いを選ぶ際は払込満了まで継続できるか慎重に検討することが大切です。

4. 満期金は一括で受け取る

学資保険の受取方法も利回りに影響します。商品によっては満期金を一括受取せず、進学時期ごとに祝い金として分割受取できるタイプがありますが、一般に一括で受け取る方が返戻率・利回りは高く、途中で受け取ると低くなります。これは途中で資金を受け取ってしまうと、その分保険会社で運用される期間が短くなり、運用益が減るためです。

ソニー生命の学資保険を例にすると、同じ商品でも型（プラン）によって受取時期が異なり、中学・高校入学時にも祝い金を受け取るⅠ型は、途中受取がないⅡ型より返戻率が低めに設定されています。さらに大学在学中まで据え置いて受け取るⅢ型は最も返戻率が高くなります。このように、受取時期を遅らせるほど保険会社が資金を運用できる期間が延びるため、返戻率は有利になるのです。

つまり、「大学入学時に満期金を一括受取するプラン」は、「高校入学時などにも分割受取するプラン」よりも最終的な増え方が良くなります。可能であれば祝い金の前倒し受取は避け、満期まで据え置く方が利回りの面では有利です。仮に途中の教育費が必要な場合でも、それは別途貯蓄や他の方法で準備し、学資保険は満期一括受取型で運用する方が効率的と言えます。

以上のように、「早期加入」「払込期間短縮」「まとめて払う」「一括受取」という4つの方法で、学資保険の利回り（返戻率）を高めることが可能です。無理のない範囲でこれらの工夫を取り入れることで、より有利に教育資金を準備できるでしょう。

利回りが低くても学資保険を利用するメリット

近年の学資保険の利回りは決して高いとは言えませんが、それでもなお学資保険を利用するメリットは存在します。利回り以外の魅力や利点を整理してみましょう。

契約者に万一のことがあっても教育資金を確保できる（保障機能）: 学資保険最大のメリットの一つが、契約者（親）が死亡または高度障害状態などになった場合に、以後の保険料払い込みが免除され、それでも契約時に約束された学資金は満期時に受け取れる点です。親に万一のことが起きても子どもの教育資金を残せる安心感があります。いわば生命保険としての保障と貯蓄を兼ね備えていることが学資保険の大きな利点です。
強制的な貯蓄効果（計画的な積立）：学資保険は契約すると決まった保険料を継続的に支払う必要があり、簡単に引き出すこともできません。銀行預金のように途中で容易にお金を下ろせないため、「つい使ってしまう」心配が少なく、確実に積み立てられる仕組みと言えます。また、保険料の支払いが遅れると督促が来るなど、払い込み完了まで継続させる仕組みが整っているので、貯蓄が苦手な方でも計画的に貯めやすいでしょう。このように半強制的に貯蓄できる効果は、利回りの低さを補って余りあるメリットと感じる方も多いです。
税制上の優遇（生命保険料控除）：学資保険は正式には「子ども保険」として生命保険の一種に分類されるため、支払った保険料は生命保険料控除の対象になります。年末調整や確定申告で保険料控除証明書を提出すれば、所定の金額が所得から控除され、所得税や住民税が軽減されます。控除額にもよりますが、結果的に毎年数千円～数万円程度の節税効果が得られる可能性があります。利回り自体には直接影響しませんが、手元に残る実質利回りを高める要因と言えるでしょう。
他の金融商品にはない安心感と確実性: 学資保険は契約時に将来受け取れる金額が確定しているため、満期まで続ければ確実に「元本＋運用益」を得ることができます。投資信託や株式のような元本変動リスクがなく、銀行預金のように自分で継続意思を持たなくても自動的に積み立てが進む点で、着実に目標金額を用意できる安心感があります。

以上のように、「低利回りでも得られる保障」と「確実に貯められる仕組み」が学資保険のメリットです。実際、FPなど専門家の中には「投資で増やすのも良いが、親に万一のことがあった場合に備えるなら学資保険には替えがたい役割がある」と指摘する声もあります。学資保険は単なる運用商品ではなく、保険としての保障機能込みで評価すべきものと言えるでしょう。

利回り以外の学資保険のデメリット

メリットがある一方で、学資保険には利回りが低いこと以外にも注意すべきデメリットがあります。主な点を挙げると以下の通りです。

中途解約のリスク（流動性の低さ）: 学資保険は基本的に長期間契約を続けて満期で学資金を受け取ることを前提としています。そのため、途中で解約すると解約返戻金が払込保険料総額より大幅に少なくなり、元本割れの損失が発生しやすいです。契約から数年程度で解約した場合、解約返戻金が支払った保険料の半分以下になるケースも珍しくありません。一度契約すると満期まで資金を自由に引き出せず、緊急でお金が必要になっても融通が利きにくい点がデメリットです。
インフレに弱い（将来の貨価目減りリスク）: 学資保険は契約時に将来受け取る金額が固定されています。そのため、加入後に長期間の物価上昇が進むと、満期時に受け取る学資金の実質的な価値が目減りします。例えば契約時には大学4年間の学費相当と思っていた額が、18年後の受取時には学費高騰や物価上昇で不十分になる可能性もあります。預貯金であれば金利の高い商品に預け替えるなどインフレ対策もできますが、学資保険は契約後に利率を変更できない固定金利商品です。その意味で、インフレに対応できない点は学資保険の構造的デメリットといえます。
他の運用手段に比べリターンが低い（機会損失）: 学資保険の利回りが低いこと自体がデメリットですが、特に昨今ではつみたてNISAなどの投資による資産形成と比較するとリターンの差が大きいことが指摘されます。もちろん投資には価格変動リスクが伴いますが、長期で年3～5%程度の利回りを期待できるとされる株式・投資信託に対し、学資保険はせいぜい年0.5%です。18年という長期間にわたり資金を拘束することを考えると、安全の裏返しとして大きな機会損失を抱えるとも言えます。「リターンよりも確実性」を取るか、「多少のリスクを許容して増やす可能性」を取るかは各家庭の方針によりますが、学資保険だけに頼ると将来的な教育費不足をカバーできない恐れもあります。
保険会社の信用リスク: 稀ではありますが、契約期間中に万が一保険会社が破綻するような事態が起こると、契約者保護機構による救済措置がとられます。しかし、生命保険契約者保護機構のルールによると、学資保険の場合元本の90%までしか補償されません。実際には大手保険会社が破綻する可能性は極めて低く、万一破綻しても他社への契約移転などが図られることが多いため過度に心配する必要はありません。しかし銀行預金のように元本全額がペイオフで保護されるわけではないため安心してください

「流動性の低さ」「インフレへの弱さ」「運用効率の低さ」などが学資保険のデメリットとして挙げられます。これらのデメリットを踏まえ、教育資金準備に学資保険だけでなく他の方法（預金や投資など）も組み合わせるのが望ましい場合もあるでしょう。学資保険のメリット・デメリットを理解した上で、家庭の方針に合った手段を選択することが大切です。