60代を迎えた方々にとって、老後の生活設計は重要な課題です。定年退職を迎え、これまでの給与収入が途絶える一方で、まだまだ続く長い老後生活を見据えた資産形成が必要となります。
人生100年時代と言われる現代において、60代はまだ人生の折り返し地点を少し過ぎた程度。残りの30年、40年という長期間を豊かに過ごすためには、適切な資産運用と資産形成が欠かせません。
しかし、60代からの資産形成には、若い世代とは異なる注意点があります。リスクを抑えながら着実に資産を増やし、同時に必要な時にすぐに使える流動性も確保する必要があります。
本記事では、60代の方々が安心して取り組める資産形成の方法と、避けるべき落とし穴について詳しく解説します。退職金の運用に悩んでいる方、年金だけでは不安を感じている方、これから本格的に資産運用を始めたいと考えている初心者の方まで、幅広い60代の皆様に役立つ情報をお届けします。
60代の資産形成はハイリスクを避けて減らさないことが重要
60代からの資産形成は、若い世代とは根本的に異なるアプローチが必要です。なぜなら、失敗した時のリカバリー期間が限られているからです。20代、30代であれば、投資で失敗しても働いて資金を取り戻す時間がありますが、60代ではそうはいきません。
60代からの資産形成が重要な理由
まず、60代からの資産形成がなぜ重要なのかを考えてみましょう。
第一に、平均寿命の延伸により、老後期間が長期化していることが挙げられます。現在の60歳の方の平均余命は男性で23.68年、女性で28.91年となっています。つまり、60歳で退職しても、その後20年以上の生活資金が必要になるのです。
第二に、年金だけでは十分な生活水準を維持することが難しくなっています。総務省統計局の「家計調査報告(2024年平均)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、税金等を除いた可処分所得(実収入から非消費支出を引いたもの)が月額約22.2万円であるのに対し、消費支出は約25.7万円です。結果、毎月約3.5万円の不足が生じており、預貯金や退職金で補填しているのが現状です。
第三に、医療・介護費用の増加が見込まれます。年齢とともに健康リスクは高まり、医療費や介護費用の支出が増える可能性があります。これらの予期せぬ出費に備えるためにも、ある程度の資産形成は必要不可欠です。
ハイリスクな資産運用を避けるべき理由
60代からの資産運用では、「増やす」ことよりも「減らさない」ことを重視すべきです。
収入源が限られているため、大きな損失を被った場合の回復が困難です。現役世代であれば、給与収入で損失を補填できますが、年金生活者にはその選択肢がありません。
また、運用期間が限られているため、短期的な市場の変動から回復する時間的余裕がありません。株式市場は長期的には上昇傾向にありますが、短期的には大きく下落することもあります。若い世代なら待つことができますが、60代では生活資金が必要なタイミングで市場が低迷している可能性もあります。
さらに、資産の大幅な減少は、老後の生活不安を増大させ、心身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。安心して老後を過ごすためにも、過度なリスクは避けるべきでしょう。
したがって、60代の資産形成では、元本の保全を最優先に考え、その上で着実なリターンを目指すというバランスの取れたアプローチが重要になります。
60代の初心者が資産形成するときのポイント
60代から資産運用を始める初心者の方は、以下のポイントを押さえることで、安全かつ効果的な資産形成が可能になります。
積立投資は長期・分散を意識する
積立投資は、毎月一定額を投資信託などに投資する方法です。60代からでも積立投資を行うメリットは大きく、特に「長期」と「分散」を意識することが重要です。
60代といっても平均余命を考えれば、まだ20年以上の運用期間があります。短期的な市場の変動に一喜一憂せず、10年、20年という長期スパンで考えることで、安定したリターンが期待できます。
「分散」については、投資対象を複数に分けることでリスクを軽減できます。例えば、国内株式だけでなく、海外株式、債券、不動産投資信託(REIT)などに分散投資することで、特定の資産クラスの下落による影響を最小限に抑えることができます。
積立投資のもう一つの利点は、ドルコスト平均法の効果です。毎月一定額を投資することで、価格が高い時は少なく、安い時は多く購入することになり、平均購入単価を抑えることができます。これは、投資タイミングを考える必要がないため、初心者にも取り組みやすい方法です。
一括投資は安定した商品を選ぶ
退職金などのまとまった資金を運用する場合は、一括投資も選択肢の一つです。ただし、60代の一括投資では、安定性を重視した商品選びが不可欠です。
安定した商品の代表例としては、債券型投資信託やバランス型投資信託があります。債券型投資信託は、国債や社債などの債券に投資するため、株式型に比べて価格変動が小さく、安定した利回りが期待できます。
バランス型投資信託は、株式と債券をバランスよく組み合わせた商品で、リスクとリターンのバランスが取れています。特に、ターゲットイヤー型と呼ばれる商品は、目標年に向けて自動的に安定資産の比率を高めていくため、60代の方に適しています。
一括投資を行う際の注意点として、全額を一度に投資するのではなく、時間を分散させることも検討しましょう。例えば、退職金1,000万円を運用する場合、3~6カ月に分けて段階的に投資することで、高値掴みのリスクを軽減できます。
貯蓄と資産運用の割合に注意する
60代の資産形成で最も重要なのは、貯蓄と資産運用の適切なバランスです。全資産を運用に回すのは危険ですし、逆に全額を預貯金で持つのも機会損失になります。
一般的な目安として、60代のポートフォリオは以下のような配分が推奨されます:
生活防衛資金(現預金):30~40% 緊急時の医療費や介護費用、家の修繕費など、予期せぬ支出に備えるため、最低でも生活費の1~2年分は現預金として確保しておきましょう。
安定運用資産:40~50% 債券型投資信託、個人向け国債、定期預金など、元本の安全性が高い商品に配分します。これらは大きなリターンは期待できませんが、着実に資産を守りながら、インフレに対応できる程度の利回りを確保できます。
成長運用資産:10~20% 株式型投資信託やREITなど、ある程度のリスクを取って成長を狙う資産です。60代では比率を抑えめにしますが、インフレ対策や資産の実質的な価値維持のためには、一定の成長資産も必要です。
その他の資産:0~10% 不動産小口化商品や外貨建て商品など、分散効果を高めるための資産です。ただし、仕組みが複雑な商品は避け、理解できる範囲で投資することが大切です。
このポートフォリオは個人の状況により調整が必要です。例えば、年金収入が多い方や、住宅ローンが完済している方は、もう少しリスクを取ることも可能です。逆に、健康に不安がある方や、扶養家族がいる方は、より保守的な配分にすることをお勧めします。
できるだけ長く働き続ける
資産運用だけでなく、収入を得続けることも重要な資産形成の一つです。60代でも働き続けることには、経済的なメリットだけでなく、様々な利点があります。
まず、収入面では、たとえパートタイムでも月10万円の収入があれば、年間120万円の資産形成が可能です。これは、1,000万円の資産を年利1.2%で運用するのと同じ効果があります。しかも、労働収入は確実性が高く、市場リスクもありません。
さらに重要なのは、年金額の増加です。65歳以降も厚生年金に加入して働き続けると、70歳まで年金額が増額されます。また、年金の受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選択すれば、1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金額が増額されます。2022年4月の法改正により、受給開始の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられたため、最大で84%(75歳まで繰り下げた場合)も年金額を増やすことが可能です。
働き続けることは、健康維持にも効果的です。規則正しい生活リズムが保たれ、社会との接点も維持できます。認知症予防の観点からも、適度な刺激と人との交流は重要です。
ただし、無理は禁物です。フルタイムでの勤務が難しい場合は、週3日程度のパートタイムや、これまでの経験を活かしたコンサルティング業務など、体力に合わせた働き方を選択しましょう。シルバー人材センターの活用や、地域のボランティア活動なども、収入は少なくても生きがいづくりに役立ちます。
60代の定年後の資産運用におすすめの6つの方法
ここからは、60代の方に適した具体的な資産運用方法を6つご紹介します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った方法を選択することが大切です。
NISAの投資信託
NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益が非課税になる制度です。2024年から始まった新NISAでは、年間投資枠が大幅に拡大され、60代の方にとってより使いやすい制度になりました。
NISAのメリット 最大のメリットは、運用益が非課税になることです。通常、投資信託の売却益や分配金には約20%の税金がかかりますが、NISA口座なら税金がかかりません。例えば、100万円の利益が出た場合、通常なら約20万円の税金がかかりますが、NISAなら全額が手元に残ります。
また、少額から始められるのも魅力です。多くの金融機関では、月1,000円から積立投資が可能です。まずは少額から始めて、慣れてきたら金額を増やすという段階的なアプローチが取れます。
投資信託の選び方 60代の方には、以下のような投資信託がおすすめです。
- バランス型投資信託:株式と債券を組み合わせた商品で、リスクが分散されています
- インデックス型投資信託:市場全体に投資するため、手数料が低く、安定した運用が期待できます
- 分配金重視型投資信託:定期的に分配金が出るため、年金の補完として活用できます
注意点 ただし、投資信託は元本保証ではありません。市場の変動により、一時的に元本を下回ることもあります。また、分配金が出る投資信託は、分配金が元本から支払われる場合もあるため、商品内容をよく確認することが必要です。
債券投資
債券は、国や企業が資金調達のために発行する借用証書のようなものです。満期まで保有すれば元本が返済され、定期的に利息を受け取ることができます。
債券投資のメリット 株式に比べて価格変動が小さく、安定した収益が期待できます。特に国債は、国が発行するため信用リスクが極めて低く、60代の方の資産運用に適しています。
また、満期が決まっているため、資金計画が立てやすいのも特徴です。例えば、5年後に使う予定の資金は5年物の債券で運用するなど、ライフプランに合わせた運用が可能です。
債券の種類 主な債券には以下のようなものがあります。
- 国債:日本国が発行する債券で、最も安全性が高い
- 地方債:地方自治体が発行する債券で、国債より利回りが高い傾向
- 社債:企業が発行する債券で、企業の信用度により利回りが異なる
注意点 債券も市場で売買されるため、満期前に売却する場合は価格変動リスクがあります。また、金利が上昇すると債券価格は下落するため、金利動向にも注意が必要です。
個人向け国債
個人向け国債は、個人投資家専用に設計された国債です。1万円から購入でき、安全性を重視する60代の方に最適な商品の一つです。
個人向け国債の特徴 個人向け国債には、固定金利型と変動金利型があります。
- 固定3年・固定5年:満期まで金利が変わらないタイプ
- 変動10年:半年ごとに金利が見直されるタイプ
変動10年型は、金利上昇局面でもメリットを享受できるため、長期的な資産運用に適しています。また、最低金利保証(0.05%)があるため、どんなに金利が下がっても一定の利息は確保されます。
中途換金の柔軟性 個人向け国債の大きな特徴は、発行から1年経過後はいつでも中途換金できることです。ただし、中途換金する際にはペナルティとして、「直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685」が、額面金額と経過利子相当額の合計から差し引かれます。このため、受取額が投資元本を下回る可能性があります。元本が保証されるのは、あくまで満期まで保有した場合です。
購入方法 個人向け国債は、銀行、証券会社、ゆうちょ銀行などで購入できます。毎月発行されているため、いつでも始められるのも魅力です。
退職金定期預金プラン
多くの金融機関では、退職金専用の優遇金利定期預金を提供しています。通常の定期預金より高い金利が設定されており、退職金の一時的な運用先として活用できます。
退職金定期預金の特徴 一般的に、退職金定期預金は以下のような条件で提供されます。
- 優遇金利:通常の定期預金の10倍以上の金利が設定されることも
- 預入期間:3カ月~1年程度の短期間が多い
- 預入条件:退職金受取から一定期間内(通常1年以内)に預入
活用のポイント 退職金定期預金は、本格的な資産運用を始める前の「つなぎ」として活用するのがおすすめです。高金利の期間中に、じっくりと今後の運用計画を立てることができます。
ただし、優遇金利の適用期間が終了した後は通常金利に戻るため、その後の運用先を事前に検討しておくことが重要です。また、投資信託とのセットプランを勧められることもありますが、必要のない商品は断る勇気も必要です。
不動産小口化商品
不動産小口化商品は、複数の投資家が共同で不動産に投資する仕組みです。少額から不動産投資が可能で、管理の手間もかからないため、60代の方にも取り組みやすい投資方法です。
不動産小口化商品のメリット 通常の不動産投資では数千万円の資金が必要ですが、小口化商品なら100万円程度から投資可能です。また、物件の管理や入居者対応などは運営会社が行うため、投資家は配当を受け取るだけです。
不動産は実物資産であるため、インフレに強いという特徴もあります。物価が上昇すれば賃料も上昇する傾向があり、資産の実質的価値を維持できます。
商品の種類 不動産小口化商品には、主に以下の種類があります。
- 不動産特定共同事業:特定の不動産に直接投資する商品
- REIT(不動産投資信託):複数の不動産に分散投資する上場商品
- 不動産クラウドファンディング:インターネットを通じて募集される商品
注意点 不動産市場の変動により、元本割れのリスクがあります。また、換金性が低い商品もあるため、余裕資金での投資が基本です。商品によっては運用期間が決まっているものもあるので、資金計画に合わせて選択しましょう。
外貨建て保険
外貨建て保険は、保険料の支払いや保険金の受取りを外貨(主に米ドルや豪ドル)で行う保険商品です。円建て保険より高い利回りが期待できる一方、為替リスクもあります。
外貨建て保険の種類 主な外貨建て保険には以下があります。
- 外貨建て終身保険:死亡保障と貯蓄機能を兼ね備えた商品
- 外貨建て個人年金保険:将来の年金として外貨で運用する商品
- 外貨建て養老保険:満期時に保険金を受け取れる商品
メリットとデメリット メリットは、円建て商品より高い予定利率が設定されていることです。現在の低金利環境下では、外貨建て商品の方が魅力的な利回りとなっています。
一方、デメリットは為替リスクです。円高になると、外貨建ての資産価値が目減りします。また、保険商品は一般的に手数料が高く、早期解約すると元本割れすることが多いため、長期保有が前提となります。
60代での活用方法 60代の方が外貨建て保険を活用する場合は、全資産の一部(10%程度まで)に留め、為替リスクの分散を図ることが重要です。また、定期的に分配金が受け取れるタイプを選ぶことで、年金の補完として活用することも可能です。
60代がやってはいけない老後の資産運用方法
資産運用で成功するためには、「何をするか」と同じくらい「何をしないか」が重要です。ここでは、60代の方が避けるべき資産運用の落とし穴について解説します。
計画を立てずに投資する
最も危険なのは、明確な計画なしに投資を始めることです。「みんながやっているから」「銀行員に勧められたから」という理由で始めると、失敗する可能性が高くなります。
計画を立てない投資の危険性 計画なき投資は、以下のような問題を引き起こします。
- 目的が不明確:何のための投資か分からず、適切な商品選択ができない
- リスク許容度の把握不足:どの程度の損失まで耐えられるか分からない
- 出口戦略の欠如:いつ、どのように資金を回収するか決まっていない
必要な計画の要素 投資を始める前に、以下の点を明確にしましょう。
- 投資の目的(老後資金、相続対策、趣味の資金など)
- 投資期間(5年後、10年後など、いつ使う予定か)
- リスク許容度(最大でどの程度の損失まで受け入れられるか)
- 目標リターン(年率何%程度のリターンを目指すか)
- 資産配分(どの商品にどの程度投資するか)
特に60代では、ライフイベント(医療費、介護費用、住宅リフォームなど)を考慮した資金計画が不可欠です。必要な時に必要な資金が用意できるよう、流動性も考慮した計画を立てましょう。
退職金を一括投資する
退職金をもらったからといって、その全額を一度に投資するのは非常に危険です。まとまった資金があると、つい大胆な投資をしたくなりますが、これは避けるべきです。
一括投資のリスク 退職金の一括投資には以下のリスクがあります。
- タイミングリスク:投資直後に市場が下落する可能性
- 集中リスク:特定の商品や時期に投資が集中する
- 心理的プレッシャー:大金を投資することによる精神的負担
実際、退職金を受け取った直後に金融機関から投資を勧められ、よく理解しないまま投資して大きな損失を被るケースが後を絶ちません。
退職金の適切な活用方法 退職金は以下のように段階的に活用することをお勧めします。
- 生活防衛資金を確保(生活費の1~2年分)
- 住宅ローンなどの借入金があれば返済を検討
- 残った資金を3~6カ月かけて分散投資
- 投資は少額から始めて、慣れてから金額を増やす
また、退職金のすべてを投資に回す必要はありません。安全資産(預貯金)として一定額を確保し、余裕資金の範囲で投資を行うことが、60代の資産運用の基本です。
ハイリスクな株式投資をする
個別株への集中投資や、信用取引、FX(外国為替証拠金取引)など、ハイリスクな投資は60代には不適切です。大きなリターンを狙える反面、資産を大きく減らすリスクもあります。
ハイリスク投資の問題点
- 回復時間の不足:損失を取り戻す時間的余裕がない
- 収入源の限定:給与収入がないため、損失の補填が困難
- 精神的ストレス:価格変動による不安が生活の質を低下させる
- 専門知識の必要性:適切な投資判断には高度な知識と経験が必要
適切な株式投資の方法
- 投資信託を通じた分散投資を基本とする
- 個別株投資は全資産の10%以下に抑える
- 配当重視の安定した大型株を選ぶ
- 信用取引やレバレッジ商品は避ける
株式投資は長期的には高いリターンが期待できる資産クラスですが、60代では安定性を重視し、過度なリスクは避けることが賢明です。
現金化に時間がかかる商品に投資する
60代の資産運用では、流動性(換金性)の確保が極めて重要です。急な医療費や介護費用が必要になった時、すぐに現金化できない商品ばかりでは困ってしまいます。
流動性が低い商品の例
以下のような商品は、現金化に時間がかかったり、制約があったりします:
- 不動産現物投資:売却に数カ月かかることが一般的
- 一部の保険商品:解約に時間がかかり、早期解約では元本割れ
- 仕組債:満期前の売却が困難または不利な条件
- 私募ファンド:解約可能時期が限定されている
流動性リスクの問題
流動性が低い商品への過度な投資は、以下の問題を引き起こします。
- 緊急時の資金調達ができない
- 不利な条件での換金を強いられる
- 投資機会の喪失(良い投資機会があっても資金が動かせない)
適切な流動性管理
60代の資産運用では、以下のような流動性管理が重要です。
- 生活費の1年分以上は普通預金で確保
- 3年以内に使う予定の資金は定期預金や個人向け国債で運用
- 投資商品も、上場投資信託など流動性の高いものを中心に
- 流動性の低い商品は全資産の20%以下に抑える
特に、健康状態に不安がある方や、介護が必要な家族がいる方は、より保守的な流動性管理を心がけましょう。
まとめ
60代からの資産形成は、人生100年時代を豊かに過ごすための重要な取り組みです。しかし、若い世代とは異なるアプローチが必要であることを理解することが成功の第一歩となります。
本記事で解説したように、60代の資産形成では「増やす」ことよりも「減らさない」ことを重視し、安全性と流動性を確保しながら、着実に資産を育てていくことが大切です。
60代の資産形成の基本原則
- リスク管理の徹底:ハイリスク商品は避け、元本の保全を最優先に考える
- 分散投資の実践:複数の資産クラスに分散し、特定のリスクに偏らない
- 流動性の確保:緊急時にすぐ使える資金を十分に確保する
- 計画的な運用:明確な目的と期間を設定し、計画的に資産運用を行う
- 継続的な収入確保:可能な限り働き続け、年金以外の収入源を持つ
おすすめの資産運用方法の活用
本記事で紹介した6つの運用方法は、それぞれ特徴が異なります。自分のライフスタイルやリスク許容度に合わせて、適切に組み合わせることが重要です。
- NISAの投資信託:税制優遇を活用した長期的な資産形成
- 債券投資:安定した利息収入の確保
- 個人向け国債:元本保証で安心できる運用
- 退職金定期預金:退職直後の資金の一時的な運用先
- 不動産小口化商品:インフレ対策としての実物資産投資
- 外貨建て保険:為替分散によるリスクヘッジ
これらを適切に組み合わせることで、リスクを抑えながら着実な資産形成が可能になります。
避けるべき落とし穴の再確認
一方で、以下の点は必ず避けるようにしましょう。
- 無計画な投資
- 退職金の一括投資
- ハイリスクな商品への集中投資
- 流動性の低い商品への過度な投資
これらの落とし穴を避けることで、大切な老後資金を守ることができます。