「お母さんのせいじゃない」
診察してくれた医師や看護師さんに言われたひと言です。今回の流産は母体に原因があるわけではない、という医学的な意味の言葉であることは頭では理解していても、「母親なのに自分の子に何もしてやれなかった」という無力感を覚え、たまらなく悲しい気持ちになりました。
流産の診断を受けた診察室で一度言われたきりですが、思い出しては涙が止まらなくなるひと言でした。
「まだ若いんだから」
当時20代だった私に向けられる言葉として不適切な要素はないはずなのですが、言われてうれしい言葉ではありませんでした。「若いんだから、また妊娠のチャンスはある」という意味なのだと想像はできても「若いから、何? だから?」と必要以上に攻撃的な気持ちに当時はなったのです。
妊娠の喜びから一転、おなかの子を失いまだまだ気持ちの整理がつかない状態なのに、もう次の妊娠の話題を持ち出されているような気がして拒否反応が出たのかもしれません。
「どうして?」
流産を報告した相手に原因を聞かれることが何度かありました。「どうして流産したのか」と何度も自分自身に問いかけ、そしてどこにも答えがありませんでした。聞かれるたびに「どうしてなんて、こっちが知りたい」と暗い気持ちになったものでした。
もちろん悪意をもって質問されているわけではなく、相手は純粋に疑問に思っているだけなのは十分わかっていましたが、それでもやはり面と向かって言われるとこたえました。
どの言葉も決して悪意からではなく、むしろ傷ついた私を励まそうとして発せられた言葉です。相手を恨むような気持ちはありませんが、当時は痛みを感じてしまいました。きっと私自身も似たような言葉を発して誰かに痛みを与えてしまっているのかもという思いに至り、以降はつらい状況にある人に対して無理に励まそうとせず「つらかったね」「悲しかったね」と共感に留めるようになりました。
著者:川木みさ/女性・主婦。7歳差の1男1女を子育て中。英検1級、児童英語指導者TEYL取得。海外サイトの翻訳や子育て体験談の執筆活動中。
イラスト:しおみ なおこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています