家計管理や貯蓄・資産運用の相談をお受けすると「貯金が思うようにできません」と言ったお話をお伺いすることが少なくありません。一時的に貯金ができないタイミングがあることはやむを得ないことですが、子育て世帯で貯金できない時期が継続することは、将来の教育費を準備する観点からすると避けたい状況でもあります。貯金を継続的にできるようにするには、無駄な支出を抑えることが必要です。今回は、家計の予算化についての初歩をお伝えします。
1.家計を改善するには、貯金額を固定化することです
家計を改善するためには、日々の節約と合わせて固定費を削減することが有効である場合が少なくありません。また、貯金をしっかりできる家計の基本的な考え方は「収入」-「支出」=「貯金」ではなく、「収入」-「貯金」=「支出」にすることです。そして、この「支出」を減らすには、家計を予算化して無駄な支出を抑えることで貯金できる金額を確定させることです。なお、固定費削減のポイントについては、過去の記事をご確認ください。
2.貯金額を固定化するには、家計の予算化が近道です
貯金額を固定化するためには、月に使う金額をあらかじめ決めておくこと=「家計の予算化」が近道です。住居費や保険料などの固定費は毎月または毎年決まっている金額ですので予算化しやすいのですが、光熱費や通信費、食費や交際費などの変動費は毎月決まった金額にしにくい場合もあります。しかし、今までの傾向や貯蓄する金額から逆算して予算を決めておくことで使い過ぎを防げます。
光熱費や交際費などは季節や行事などによっても変動するので、当初から季節や行事の変動分を見込むか、予備費を設定してある程度の金額は調整できるようにしておくと良いでしょう。
これから家計の予算化を始める人は、はじめの数か月は予算を超えたり、多く見積もって余らせたりする可能性もありますが、まずは1年程度継続し、季節や行事などを踏まえてお金の使い方の傾向を把握すると良いでしょう。
家計簿や細かい記録をつけるのが苦手な人は、「食費」「消耗品費」「通信費」「光熱費」「交際費」「お小遣い」「予備費」などに分けた封筒や財布などで1か月分の予算を先に振り分けるのも一つの方法です。慣れるまでは自分で決めた各項目を予算内で使うようにしながら、毎月決まった額を貯金できるように心掛けてみましょう。
3.強制的に貯金できる仕組みを作りましょう
家計の予算化がある程度できた場合、または決まった金額を貯金することを優先する場合には、強制的におかねを貯める仕組みを作ることを検討しましょう。勤務先に社内預金や財形貯蓄制度があれば、お給料から強制的に貯金ができます。勤務先に社内預金・財形貯蓄制度がない場合には、給与振替口座で積立預金(他の名称の場合もあります)を利用すると普通口座とは別に積立ができます。
価格が上下するリスクを取れる場合には、つみたてNISAや変額保険・変額年金(運用型の保険商品)などで積立をすることも強制的におかねを貯めることにつながります。将来のお子さんの教育費や住宅資金・老後資金などの目標がある場合には、強制的に貯金できる仕組みを使った方が目標金額に達成しやすくなる可能性が上がります。
限られた収入の範囲で、現在の生活を維持しつつ、将来へのおかねを貯めることは難しいように感じる人もいると思いますが、家計の予算化と強制的な貯金を実行できれば、なんとなく余った金額を貯金するよりは効果的に貯めることができます。家計に余裕のない人は家計の予算化から、おかねを貯めることができそうな場合は強制的な貯金を含めて、できることから始めていただければと思います。