妊娠報告をしたら悲しい反応
私は病棟の看護師として、3人の子育てをしながら働いていました。もう1人子どもがほしいなと考えていたとき、第4子の妊娠が判明。看護師の仕事はハードなので、胎児心拍が無事に確認されたら師長に報告することにしました。
その病棟の師長は、普段から気に入らない職員をいじめたり、突然怒りだしたり、とても威圧的な態度の人。パートで、子どもの熱で休むことがある私を、師長はいいように思っていないようでした。しかし、さすがに妊娠の報告は理解してもらえるだろうと思っていたのですが……。
師長と2人だけの部屋で妊娠の報告をすると、「なんで避妊しなかったん? 私はあなたの妊娠は喜べない。自分でみんなに報告して」と睨みながらきつい口調で言い放たれたのです。
あまりの言葉に私は開いた口がふさがらず、このとき「おなかの子を守れるのは私しかいない」と思いました。幸いにも他のスタッフは妊娠を喜び、体の心配をしてくれて、その後も勤務中にとても助けられました。
マタハラを受けたその後…
このまま師長の元で働き続けることは難しいと思い、師長から言われたことを部長に相談することに。部長は親身になって話を聞いてくれ、最終的に院長にもこの話が伝えられて、病院の今後の対策として『マタハラ報告書』というものが作成されました。
師長は、マタハラ報告書で反省文を書いたようですが、私に対する謝罪は一切ありませんでした。しかし、師長という役職からおろされる結果に。マタハラ後も師長は普段通り私に話しかけてきましたが、必要最低限の業務上の会話のみ。体調のことは理解ある主任にすべて話せたので、出産までなんとか働くことができましたが、精神的にとてもきつかったです。
その後、私は無事に第4子を出産。そして子どもが1歳になり、私は別の病院で仕事を再開させました。マタハラがトラウマになってしまい、師長のいる病院へは復帰できず退職したのです。4年経った今でも、師長に言われた言葉は鮮明に覚えています。
“マタハラ”という言葉を聞いたことはありましたが、まさか自分が受けるとは思わず、
妊娠初期の不安定な時期にとてもショックな出来事でした。妊婦さんが私のようなつらい経験をせずに安心して働ける職場が増えてほしい……、そしてマタハラがない世の中になってほしいと切に願っています。
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著者:さとう あおい
5人の子育て奮闘中の看護師ママ。育児休業中にライターとして活動を始め、育児の経験を生かし体験談を執筆している。