吉祥寺「鮨屋みこし」大将の山本さん直伝!「アサリの砂抜き」
◾️鮨屋みこし 大将 山本朗さん
18歳で鮨屋業界に入った"この道50年"のベテラン板長。
吉祥寺で営業する「鮨屋みこし」は、2025年現在44年目の老舗。趣味は魚釣りと海遊び、アウトドア全般。
下準備
まずは活貝を見分けましょう。
手のひらに5〜6個アサリをのせて振ってみた際に、活貝はカラカラとした音が鳴ります。
活貝でない場合は、この音がにぶい音に変わります。砂を吐き出すのは活貝だけなので、絶対に砂抜きをしたい際にはチェックしてみてくださいね。
(運が悪いと"砂爆弾"状態のアサリにあたってしまう、なんてことも……!)
手順①塩水を作る
まずは2.5〜3.0%の塩分濃度の塩水を作ります。これで海水を再現できます。作る量はアサリ全体が浸る程度。
大将によると、潮干狩りで取ってきたアサリの砂抜きをする場合は、その海の海水を使用するのがおすすめだそうです。
必要な分の海水をペットボトルに入れて持って帰ってきてください。
手順②塩水にアサリを浸ける
ボウルにザルを重ね、そこにアサリを入れます。ボウルとアサリの間にザルを入れることで、吐き出した砂を再び吸ってしまうことを防げるとのこと。
ザルはボウルよりもひとまわり小さいものを使用すると、安定感があって使いやすかったですよ。
手順③そのまま一晩おいておく
極力薄暗い状態にしてそのまま一晩浸けておきます。薄暗くすることで、アサリがリラックスしてくれるとのこと。
薄暗い状態になるなら、使用するものは新聞紙やまな板、雑誌などなんでもOKです。筆者はちょうどいいサイズのお皿でボウルに蓋をしました。
この時の注意点!
完全にピッタリ密封してしまうとアサリが窒息してしまうこともあるため、隙間は開けておいてください。
画像のようにお皿を使う場合、フタする際に割り箸などを隙間に挟むようにするとよいでしょう。
保管場所に指定はなかったため、筆者はそのままキッチンに常温の状態で置いておくことに。この日の室温は20℃前後でした。
翌朝、蓋を開けると、アサリがふにゃふにゃと動いている姿が見られました。これはきっと砂を吐き出してくれているはず!
アサリとザルを取り出してボウルの中を見てみると、全体的に汚れていて、砂がいっぱい入っていました。自然と期待が高まります。
手順④砂が出なくなるまで洗う
アサリをザルから取り出し、水が入ったボウルで洗います。周りの砂を落とすように洗い、砂が出なくなったら砂抜きは完了!
酒蒸しにして食べてみた!
完成した酒蒸しを食べてみると、しばらくジャリジャリは感じません。おお、いいですね。
10個目に差しかかろうかという頃、口の中で「…あっ」となるあの音が。そう、砂がまだ少し残っていたんです。
貝の蝶番部分は溝が深いので残ることも。絶対に落としたい場合は、蝶番部分をハブラシなどでこすっておくとよいでしょう。
でも今回の結果は、15個に1個ジャリっとするかどうか程度。つまり、90%以上はストレスなくおいしく食べられたということ!
1つだけ大きめの砂が残っていたアサリがあり、口の中で“ジャリッ”とした瞬間はありましたが、ほとんどの砂はごく小さく、気になるほどではありませんでした。
アサリには個体差もあるため、完全な砂抜きはなかなか難しいもの。でも今回は、大多数がしっかり砂抜きできていた印象です。
時には全てのアサリに砂が入っていたという経験もあるため、この砂抜きの方法は試してみる価値あり!
一晩置いておく必要があるので、少し時間はかかりますが、手間は一般的な砂抜きと大差ありません。
プロが教えるアサリの砂抜き
塩水さえ作ってしまえば、あとはアサリを浸けておくだけでOK!特別な道具も技術も必要ないため、誰でも手軽に試せます。
しかも、ほぼほとんどの砂がしっかり取り除けました。
今度アサリを購入した際は、ぜひこの方法で砂抜きを試してみてくださいね。