毎年10月を過ぎたころから新年の家計簿が店頭に並びますが、家計簿をつけたことのない人や挫折してしまった人もいらっしゃると思います。家計簿をつけることだけでは、家計の改善はできませんが、家計簿をつけることによって家計の問題点やくせが分かり、家計の改善点を見つけやすくなります。
今年こそ家計簿を付けようと思っているのに踏み切れない人に向けて、家計簿のつけ方や活用方法についてお伝えします。
1.はじめに自分に向いている家計簿を選びましょう
家計簿は日々の収入・支出を記録し、家計の現状を把握するためのものです。毎日記録するか、ある程度の期間をまとまって記録するかの違いはありますが、1カ月単位で収入・支出の内容を確認することが一般的です。
最近では昔ながらの帳簿タイプの家計簿だけでなく、スマートフォンのアプリもありますので、自分に合ったものを使ってみましょう。すべての人が使いやすいものはありませんので、最初は使い勝手や費用等から考えてみるといいですよ。以下、主な家計簿の種類です。
①帳簿タイプの家計簿(書店やコンビニエンスストア、100円ショップ等で売っています)
②スマートフォンのアプリ(マネーフォワード、らくな家計簿、Zaim、家計簿レシーピ等。レシートを撮影すると項目ごとに仕訳してくれるものもあります)
③大学ノートや現金出納帳等に自分で書き込む(自分で項目を設定できる反面、項目を考える必要があります)
④エクセル等に自分で入力する(自分で項目を設定するのが前提ですが、テンプレートがウェブ上にもあります)
⑤その他(ゲーム機用ソフト、PCでの家計簿サイトを使う人もいらっしゃいます)
家計簿をはじめて付ける人や慣れていない人は、帳簿タイプの家計簿かスマートフォンのアプリを選ぶことをおすすめします。
2.まずは1年間記録をつけましょう
家計簿の目的は、家計の問題点やくせを探すことですので、1年間の記録をつけるとより家計の問題点やくせが分かりやすくなります。たとえば、光熱費は夏・冬に高くなり、春・秋は安くなるご家庭がほとんどです。これは多くのご家庭で冷暖房を使うためです。しかし、それぞれのご家庭やお住まいの地域によって光熱費が高くなる時期や内容が異なります。たとえば、オール電化のご家庭と石油やガスのボイラーを使うご家庭では光熱費が高くなる時期や金額が異なります。家計の内容を把握するためにも、まずは1年間記録をつけるようにしましょう。
また、細かく記録すること自体は目的ではありません。項目を迷った場合には自分で一定のルールを決めておけばいいです。たとえば、メイク落としを日用品の項目にするか、美容品の項目にするか迷った場合にはどちらの項目に入れても大きな問題にはなりません。できれば、最初に決めて項目は継続してその項目で記録するようにしましょう。
3.一定期間ごとに内容を見直し、改善をしましょう
家計簿をつけるだけでは、直接的な家計の改善はできません。家計簿をつけることによって、ムダな出費を発見したり、食費や通信費等を前月分と比較したり、家計の中で割合が大きい出費を把握したりといろいろなことがわかるため、お金の使い方を考えるようになることが家計簿をつける目的です。家計のご相談をお受けすると、家計簿は数年にわたってしっかり記録できているのに、家計の改善ができていない人も一部いらっしゃいます。
貯金・節約をしようと考える人は、将来のお子さんの教育費や住宅購入等の目標へ向けて貯めたい人が多いと思いますので、家計の記録をするだけではなく、支出を抑えることができないか考え、行動に移すことが必要となります。最終的には、「収入-支出=貯蓄」ではなく、「収入-貯蓄=支出」になるように、家計簿の記録とともに心がけてみましょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。