【歯科医監修】乳歯とあごの発達・歯磨きのポイント
子どもの口と歯の基礎知識
乳児:歯のないころ
はっきりしない言葉。まだ母乳・育児用ミルクしか飲めない。
▶月齢・年齢と歯の変化
最初は歯のない状態で生まれてくる赤ちゃん。新生児のお口の中は、食べるため、というよりおっぱいをじょうずに飲む(吸啜する)のに適した、特徴的な形をしています。
▶お手入れの注意点
歯のはえる時期が近づいたら、口をさわられるのに慣らすため、時々お口まわりや歯ぐきをそっと指でさわってあげましょう。指しゃぶりも歯磨きの準備段階として大事。
▶月齢・年齢と歯の変化
平均生後6~8カ月(個人差で3カ月~1歳ぐらいも)に最初の歯がはえ始めます。下の前歯からはえることが多いようです。口の中の変化と離乳食の開始によって刺激され、よだれも多くなります。
▶お手入れの注意点
まだ歯ブラシで磨かなければ落ちないような汚れはつきにくく、強く磨くと歯肉を傷つけたり、歯磨き嫌いの原因にも。ガーゼなどで手入れし、徐々に歯ブラシを口に入れることに慣らしましょう。
▶月齢・年齢と歯の変化
生後10カ月ごろから、上の前歯がはえ始める子が増えてきます。ここはよだれでは汚れが落ちにくい部分です。ただし上の前歯の歯肉はとても敏感な部分、上唇小帯や歯ぐきに歯ブラシを刺さないようにやさしく磨きましょう。
▶お手入れの注意点
1日1回の歯磨きを。ただし、まだきちんと磨くというより歯ブラシに慣れることが目的。本人用の短い歯ブラシ(転倒防止用のもの)と、仕上げ磨き用の歯ブラシ(毛が開いていない清潔な物)を用意し、けがをさせないように取り組みましょう。そして、楽しい歯磨きの時間をお子さんと共有するためにも、スキンシップの一環としてママやパパも笑顔でおこないましましょう。歯ブラシの使用が難しい場合は、まずはママやパパの指で歯茎やほっぺのマッサージからおこなうと良いでしょう!
口の機能の発達
口の機能を育てるには、歯やあごの順調な発育を促し、口まわりの筋肉(頬やあご・唇・舌)の協調した動きを覚えさせることが重要!
☆1歳6カ月児歯科検診
1割程度にむし歯が見られます。(上の前歯に多い)
▶月齢・年齢と歯の変化
1歳ごろ、前歯8本がはえ揃い、乳臼歯(奥歯)がはえ始めます。臼歯の噛む面の溝に歯垢がたまりやすくなり、むし歯菌も口の中に定着しやすくなる時期です。
▶お手入れの注意点
1日1回きちんと磨く習慣を。長時間おとなしく口を開けていられる年齢ではないので、手早く磨いてあげましょう。歯磨きを徹底的にというより、食事内容と食べ方でむし歯菌を増やさない工夫を。
▶月齢・年齢と歯の変化
2歳5カ月~2歳6カ月ごろ、最後の歯(第2乳臼歯)がはえ、全部で20本。3歳ぐらいには乳歯の噛み合わせが完成します。この後、6歳前後の永久歯(28本)へのはえ変わりの時期まで大きな変化はありません。
▶お手入れの注意点
はえ揃って何年かすると、自然に乳歯は隙間が開いてきます。発育空隙と言い、あごが発達して大きくなったことで歯の間が開いたもので心配いりません。
幼児:乳歯がはえ揃うころ
話す機能の発達、成人に近い食事も可能に。
☆3歳児歯科検診
▶月齢・年齢と歯の変化
6歳ごろ、乳歯の奥歯のさらに奥に第1臼歯(初めての永久歯)がはえてきます。はえ切るのに1年~1年半もかかり、奥に生えるために発見が遅く、むし歯になりやすいのが特徴です。
▶お手入れの注意点
もっともむし歯になりやすい歯。小さめの歯ブラシでこの歯の噛み合わせ面だけを選んで、少し長めに丁寧に磨きましょう。この歯は特に仕上げ磨きをしてあげると良いでしょう。