【医師監修】赤ちゃんの嘔吐の原因とは?
赤ちゃんの胃の形はもともと吐きやすい構造になっています。哺乳後に吐くことはよくあることです。吐いても特に機嫌が悪くなければ心配はいりません。風邪を引いたとき、咳で吐くこと(咳き込み嘔吐)は最も多いと思います。大泣きし過ぎて吐くこともあります。吐いたあとに元気で、また、母乳や育児用ミルクを飲んだり食べたりできれば経過をみても大丈夫です。
慢性便秘も嘔吐の原因になります。乳児は寝てうんちをします。力むことも苦手で力も弱いので慢性便秘になりやすいです。おなかが張っているときやおへそが出てきて出べそになっているときはガスや便がたまっていることが多く、綿棒浣腸をしてあげるとよいでしょう。
嘔吐がきっかけで見つかる重要な病気
食物アレルギー
食物が原因で起こるアレルギー症状。唇や舌、のどがかゆくなったり、じんましんや湿疹、下痢、嘔吐などの症状が現れます。呼吸困難や血圧が低下するアナフィラキシーショックになることも。
ウィルス性胃腸炎
ノロウィルス、ロタウィルスなど主に口から胃や腸に入り込み、下痢や嘔吐、発熱の症状が出ます。脱水症状になりやすく、ぐったりしたりけいれんを起こすことも。
胃食道逆流症
飲食した物が胃から食道に逆流して吐きます。乳幼児は口から胃までの距離が短く、胃の入り口の筋力が未発達なために起こります。
肥厚性幽門狭窄症
胃の出口である幽門が異常に厚くなる病気。胃の出口が狭くなるため、飲食した物が腸に流れず、逆流して噴水のように吐いてしまいます。生後1カ月ごろの赤ちゃんに多い病気です。
腸閉塞
腸管がふさがり、緑の胆汁を吐く、おなかが張るなどの症状があります。早く処置しないと、胆管が壊死したり、腹膜炎を起こす危険が。生まれつき消化器に病気を持った赤ちゃんに起こることが多く、健康な赤ちゃんがなることはまれです。
腸重積症
腸の中に腸の一部が入り込んでしまう病気。急に顔色が青白くなり、火がついたように泣いたかと思えば、ご機嫌になったりするのを10〜30分間隔で繰り返します。泣くたびに吐いたり、いちごジャムのようなうんちが出ることも。
インフルエンザ
ウィルスの飛沫・直接感染が原因。高熱が続き、全身のだるさや筋肉痛、下痢、嘔吐などの症状を起こします。肺炎やインフルエンザ脳症を併発すると後遺症の恐れも。
受診の目安
《以下の場合は緊急受診》
・けいれんが続く
・血液や胆汁(緑色)を吐く
《以下の場合は時間外受診》
・授乳のたびに噴水のように吐く
・吐いて激しく泣く
・唇が乾いて目がくぼんでいる
・活気がない
・ぐったりしている
・うとうとしている
・38度以上の熱がある
・生後3カ月未満
・水分がとれない
・けいれんのあとに吐く
・おなかが張っている
・12時間以上下痢がつづいている
・6時間以上おしっこが出ない
・血便が出た
・頭を強く打ったあとに吐いた
・いつもと違う様子で泣き止まない
おうちケアのポイント
嘔吐後30分〜1時間は何も与えずに様子を見ましょう。
吐かなければ、経口補水駅や湯冷しなどを小さじ1あげてまた様子を見てください。15分おきに小さじ1ずつ量を増やして、1〜2時間たって再度吐くことがなければ、母乳や育児用ミルクをあげても大丈夫です。離乳食が始まっている赤ちゃんは一旦、離乳食は中止しましょう。
嘔吐物の処理の仕方
嘔吐物がついた衣類やシーツは流水で洗ったあとに塩素系漂白剤につけ、ほかの物とは別にして洗濯しましょう。急いでいる場合は、大きめのゴミ袋にまとめて入れて口をしっかりしばっておきましょう。床は塩素系漂白剤を薄めた液を含ませた雑巾で拭いてください。ドアノブや壁なども拭くといいでしょう。片付けのあとは、必ず手を洗いましょう。