【医師監修】パラシュート反射とは?赤ちゃんの時期特有の反射について

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。

パラシュート反射イメージ

 

赤ちゃんの時期特有の反射には原始反射と姿勢反射があります。赤ちゃんが成長するうえで大事なパラシュート反射は、成長するにしたがって表れてきます。では、パラシュート反射とはどのような反射なのでしょうか。また、いつごろからその反射は始まるのでしょうか。今回はパラシュート反射について解説します。

 

 

原始反射と姿勢反射

●原始反射とは
原始反射は脳幹や脊髄が司り、無意識のうちに起きる反射です。この反射は、おなかにいる5、6カ月くらいのときから始まり、中脳や大脳の発達に伴い消失します。そして、原始反射のあとに続いて出てくるのが姿勢反射です。

 

<主な原始反射>
1.把握反射
赤ちゃんの手のひらや足の親指の付け根を圧迫すると、赤ちゃんが指をぎゅっと曲げる反射です。手の把握反射は生後4~6カ月ころ、足の把握反射は生後9カ月~1歳ごろ消失します。


2.吸啜反射
赤ちゃんの口に乳首などが入ったとき、規則的にそれを吸う運動が出現する反射です。この反射は生後6カ月ごろ消失します。


3.モロー反射
振動や動き、音など、赤ちゃんの体に対する刺激で誘発される、何かに抱きつこうとする反射です。新生児に見られるもっとも代表的な反射で生後4~5カ月くらいまで見られます。


4.歩行反射
歩行反射は、まだ歩くことができない新生児の体を支えて立たせると、前かがみになった赤ちゃんが足を出して歩くような動きをする反射です。生後4~5カ月くらいにはなくなります。


5.非対称性緊張性頚反射
あお向けに寝かせた赤ちゃんの顔を横に向けると、顔が向いたほうの手足は伸び、もう一方の手足は曲がるという反射です。生後4~5カ月ごろまであります。

 

●姿勢反射とは

姿勢反射は体の姿勢や運動中の平行を調整・維持するための反射の総称です。体の平衡が乱れると、バランスが取れるように姿勢を調整します。人間が生きていくために、安全に体を支えられるように備わった反射のことです。

 

<主な姿勢反射>
1.パラシュート反射
両脇を支えた状態で水平を保ち、急に頭を下げると手を広げて体を支えようとする反射です。


2.ホッピング反射
体を前後左右に倒そうとしたときに倒れないように足を踏み出す反射です。体に力が加わった際や、姿勢が崩れた際に平衡を保とうとする反射です。


3.ランドウ反応
赤ちゃんの腹部を抱えてうつぶせの状態で水平にすると、赤ちゃんは頭を上げて水平を保とうとします。このときに、頭を下げると腰を曲げてハイハイをするような恰好をする反射です。

 

 

 

パラシュート反射とは

姿勢反射の1つにパラシュート反射があります。赤ちゃんの両脇を抱えてうつぶせの状態に水平の状態を保ちます。赤ちゃんの頭を急に下げると、両手を広げて体を支えようとする反射のことです。パラシュートで降りるときのように、両手を広げるのでパラシュート反射と言われているようです。

 

この反射があるおかげで、転んだときにとっさに手をついて骨折しないように体を守ることができます。

 

 

パラシュート反射はいつごろから始まるの?

パラシュート反射は、大脳皮質や中脳が発達する時期から見られます。中脳は、体の平衡や姿勢の保持、体の運動を起こす中枢、視覚反射や眼球運動反射、聴覚刺激に対する反射を司ります。

 

パラシュート反射の出現時期は生後6カ月~1歳ごろ、一般には生後8~9カ月ごろに集中的にできるようになります。ハイハイができるころにパラシュート反射ができるようになり、それは赤ちゃんは立つことができて、つたい歩きする準備ができているということになります。

 

 

パラシュート反射はいつごろなくなるの?

原始反射は大脳皮質や中脳が発達するにしたがって消えますが、姿勢反射は一生消えることがありません。ですから、パラシュート反射も一生続きます。転んだときにとっさに手をついて自分の体を守れるのはこの反射が備わっているおかげです。しかし、年齢を重ねるとこの反射が鈍くなり、転倒しても手が出ずに骨折してしまうということになるのです。

 

 

健診でのパラシュート反応の調べ方

パラシュート反応があるかどうかは10カ月健診のときに小児科の医師によって調べられます。

 

10カ月健診では、身体測定や全身のチェックだけでなく、発達のチェックもします。発達のチェックは、「パラシュート反射」のほか、「ハイハイ」「つかまり立ち」「小さい物をつかめるか」「おすわり」などを調べます。

 

パラシュート反射の調べ方は、赤ちゃんの脇を抱えてうつぶせの状態で体を持ち上げます。そして、頭が下がるような姿勢をとらせたときに、両手を開いて支えようとするかどうかをチェックします。健診では、赤ちゃんが怖がって泣いてしまい、正確に見ることができない場合があります。

 

 

パラシュート反射ができないときは?

パラシュート反射のできる時期には個人差があり、生後8、9カ月ではできないことがあります。10カ月健診でできなかったとしても医師からは経過観察を告げられるでしょう。健診でできなくても、家でゆっくりしたときにできることがあります。

 

正常児では1歳になると100%できるようになりますが、発達の遅れや神経症状をスクリーニングするための方法としてはそれほど鋭敏ではないとされています。

 

ハイハイやつかまり立ちに早い遅いがあるようにパラシュート反射もかなり遅くからできるようになる赤ちゃんもいます。たとえ、自分の子どもができていないとしても、ゆったりと構えてあげることが大切です。お母さんの焦りはすぐに赤ちゃんに伝わってしまいます。しばらくは様子を見てあげましょう。

 

 

まとめ

パラシュート反射は発達の1つの過程です。赤ちゃんによって個人差があり、発達の早さが違っています。赤ちゃんのできたことで気が付いたことは育児日記に書いておくと、健診のときに医師や保健師がみて、赤ちゃんの発達の状態を把握しやすいでしょう。小さなことでも記録に残しておくと、赤ちゃんがどのように成長していったか細かいことがわかります。焦らず、赤ちゃんを見守ってあげましょう。

 

 

 

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