【助産師監修】出産のとき、子宮口はどのように開く? 子宮口が開かないときは?

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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

陣痛イメージ

 

子宮口が10cm開大したらいよいよ出産ということを母親学級などで耳にした方もいらっしゃるでしょう。ですが、子宮口がいつ、どのように開大していくか、ご存知でしょうか? 分娩の経過とともに子宮口の変化を知っておくと、赤ちゃんが生まれるまでどのくらいかイメージしやすくなるかもしれません。そこで今回は、子宮口の開き方や子宮口の開きが悪いときの対処法などについてご説明します。

 

 

子宮口とはどの部分?

子宮は、大きく子宮体部と子宮頸部の2つに分けることができます。子宮体部が子宮頸部に移行する部分を内子宮口、子宮頸部の腟につながっている部分を外子宮口といいます。


分娩経過中、医師や助産師が内診をおこない、子宮口の開き具合を見ていきますが、そのとき見ているのは、外子宮口の部分です。初産婦さんと経産婦さんとでは、外子宮口の形状が異なります。また、初産婦さんより経産婦さんのほうが子宮口がやわらかく開大しやすいという特徴があります。

 

 

子宮口はどのように開く? 分娩第1期までの子宮口の変化

妊娠37週に入ると、妊婦健診で内診をおこなう産院が多いかと思います。内診で子宮頸部の変化を観察し、分娩開始の兆候がないか判断しています。その際、子宮口の開大度・子宮頸管の展退度(長さ・厚さ)・子宮頸部の硬さ・子宮口の位置・赤ちゃんの頭の位置を確認します。そしてその結果を点数で評価したものを、Bishop Score(ビショップスコア)といい、分娩開始後も分娩進行状況の指標の1つとして用いられます。

 

出産が間近に迫った妊娠後期には、分娩の予兆とも言えるさまざまな変化が訪れます。その1つが「前駆陣痛」です。前駆陣痛は分娩の直前に起こる、不規則で弱いおなかの張りを指します。時間の経過とともに本格的な陣痛に変わり、分娩となるケースが多いと言われます。この前駆陣痛が起こっているころ、少しずつ子宮口に変化が見られ始めます。

 

そして、いよいよ本格的な陣痛が始まります。規則的なおなかの張りが10分以内、あるいは1時間に6回以上みられるようになったときが陣痛開始となり、そこから分娩所要時間がカウントされていきます。分娩の経過は、分娩第1期~第3期に分けられており、分娩第1期に子宮口は大きく変化していきます。

 

分娩第1期は、、子宮口が10cm開大するまでの時期を言います。
分娩第1期は開口期ともいわれます。開口期は、潜伏期と活動期に分けられ、活動期はさらに加速期・極期・減速期に分けられます。


潜伏期は、子宮口がゆっくり開大し、2.5cmくらいまでになる時期を言います。活動期は、子宮口が加速度的に開大する時期をいい、加速期には2.5〜4cm、極期には急速に子宮口が開大し、減速期に9~10cm(全開大)となります。

 

また子宮口は開大するだけでなく、徐々に短くうすくなり、鼻翼くらいの硬さがマシュマロくらいに、そして位置も前の方に移動していきます。

 

分娩第1期に要する時間は、個人差はありますが、初産婦さんの場合は約10~12時間、経産婦さんの場合は約4~6時間ですが、微弱陣痛などにより30時間ほどかかる場合もあります。

 

 

子宮口がなかなか開かないときはどうする?

出産する際に欠かせない要素の1つに「産道」があります。そのなかに子宮口も含まれています。分娩の進行とともに陣痛が強く、短くなると同時に子宮口も開大し、赤ちゃんが下りてくるですが、なんらかの理由で子宮口が開かずなかなか分娩がすすまないということも起こりえます。


子宮口がなかなか開かない原因は以下のようなものがあげられます。


・難産道強靭(なんざんどうきょうじん)
・微弱陣痛
・疲労、ストレス          など

 

子宮口がなかなか開かないときは、何が原因かによっても対応が異なります。基本的には、母子の状態に問題がなければ、経過観察しながら子宮口が全開大するのを待ちます。

 

その際、あぐらをかいたり四つん這いになったりして、自分自身がラクな体勢で過ごすことが大切です。そして、いきみ逃しも忘れずにおこないましょう。子宮口が全開大になる前にいきんでしまうと、おなかの中の赤ちゃんにストレスがかかるだけでなく、さらに子宮口が開きにくくなってしまいます。なるべく、息を吐くことに意識を置いて、陣痛を乗り越えましょう。

 

また、水分補給や可能であれば食べられるものを食べたり、休めるときには休むなどして体力温存にも心がけましょう。ずっと安静にしているのも逆効果のこともあります。破水していないようであれば、歩いたり、入浴や足湯などでリラックスしながら体を温めたりするのも効果的です。

 

そのほか、微弱陣痛と判断された場合は、陣痛促進剤を使用することもあります。

 

このような対処をしながら子宮口が全開大するまで経過を見ていきますが、途中でおなかの中の赤ちゃんの心拍数が低下したり、ママの体力の消耗が激しいなどで、このままでは母子に危険が及ぶと判断された場合には、帝王切開に切り替わるケースもあります。

 

 

妊娠中にできることはある?

自分の出産がどのような経過をたどるのかは、やはり始まってみないとわかりません。ですが、少しでもスムーズな出産となるよう、妊娠中から準備しておくことも大切です。

 

妊娠中に体重が増えすぎたり、もともと肥満体型であったりすると、微弱陣痛などさまざまな合併症を引き起こす危険性があります。妊娠中は脂っこい食べ物などを控える、無理のない範囲で体を動かすと同時に、不足しがちな鉄分やカルシウムを積極的に摂り入れるようにましょう。妊娠中に激しい運動は禁物ですが、適度な運動は体力維持やストレス解消にも効果的だと言われています。臨月になったらウォーキングなどの有酸素運動やストレッチなどに取り組んでみましょう。

 

そして、特に初産の場合、分娩中の痛みや恐怖から、過緊張に陥ってしまう場合があります。妊娠中に分娩の進み方をよく理解しておき、日頃からイメージトレーニングをおこないましょう。また、緊張したときにはゆっくり息を吸って吐く、いわゆる呼吸法の練習もしておくとよいでしょう。呼吸法にはさまざまな手法がありますが、陣痛のタイミングに合わせてしっかり息を吐くことを意識しましょう。

 

 

まとめ

分娩の進み方、子宮口が開くタイミングや所要時間には個人差があります。妊娠中から体と気持ちのメンテナンスに取り組むとよいでしょう。陣痛中は痛みも伴い、長時間となることもあるため、ゆっくり深呼吸し、なるべくリラックスして過ごしましょう。

 

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