【医師監修】妊娠中の頭痛薬の服用に関する注意点

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。

 

妊婦頭痛イメージ

 

妊娠中はホルモンバランスなどの影響で、頭痛が起きやすいです。妊娠によってさまざまな変化が起こるなか、さらに頭まで痛むとなるととてもつらいです。今回は、妊娠中の頭痛の原因や薬の服用について、対処法などについて解説します。

 

 

妊娠中の頭痛の原因と注意したい頭痛

妊娠中の頭痛には、大きく血管の拡張によるもの、筋緊張によるものがあります。そのほか、注意したい妊娠中の頭痛もあります。

 

筋緊張によるもの

妊娠によりおなかが大きくなることによって正しい姿勢をとることができず、首筋や肩のこりが生じる場合があります。それにともない、頭痛がおこることもあります。

 

血管の拡張によるもの

妊娠するとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が急増します。プロゲステロンは、妊娠を継続させるために働く大切なホルモンですが、血管を拡張させるという作用もあります。プロゲステロンによって頭の血管が拡張し、血管の拍動によって神経が刺激され頭痛が生じるのです。
また、精神的なストレスも頭痛の原因として知られています。妊娠中は体が疲れやすくなったり、出産準備に追われて忙しかったりと、知らず知らずのうちに疲労やストレスを溜めてしまいがちです。過度なストレスによって「セロトニン」という物質が大量に分泌されるといわれています。セロトニンにも血管を拡張させる働きがあるため、同様に頭痛が生じてしまいます。

 

注意したい妊娠中の頭痛

一般的に妊娠すると血圧は妊娠前と変わらないか、やや下降するといわれています。しかし、「妊娠高血圧症候群」を発症することよって血圧が上昇し、頭痛が生じる場合があります。
妊娠高血圧症候群では、高血圧の徴候として頭痛が見られることが多くあります。くわえて眼華閃発(がんかせんぱつ/目がチカチカする)などの症状は、妊娠高血圧症候群の悪化や子癇のサインでもあるため、治療が必要になります。
妊娠高血圧症候群を予防するには、適度な運動とバランスのとれた食事を摂ること、塩分の摂りすぎには十分注意することが大切です。

 

 

妊娠中に頭痛薬の服用について

妊娠中とはいえ、あまりに症状がつらいときは薬の助けを借りたいという方もいると思います。一般的な頭痛薬は「解熱性鎮痛剤」「消炎鎮痛剤」などとも呼ばれ、痛みを和らげる効果が期待できます。しかし妊娠中は、服用してはいけない頭痛薬もあるので、市販薬を自己判断で服用するのは危険です。必ずかかりつけ医の指導の下で服用するようにしましょう。

 

頭痛薬を服用するときに、特に注意が必要なのは妊娠初期と妊娠後期です。妊娠4週~妊娠7週にかけては、赤ちゃんの臓器が形成される大切な時期です。薬剤による影響をもっとも受けやすく、奇形を生じるリスクが指摘されています。そして妊娠後期にNSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)を使用すると、おなかの中の赤ちゃんの動脈管が収縮し、心不全や子宮内胎児死亡につながる恐れがあるため、妊娠中の内服は禁忌とされています。

 

妊娠中に処方される鎮痛剤に、アセトアミノフェン(カロナール®)があります。アセトアミノフェンは、妊娠中の第一選択薬となります。

 

 

薬に頼らない頭痛の対処法

頭痛の対処方法は、頭痛の原因によっても異なります。ここでは頭痛の原因別に対処法を紹介します。

 

筋緊張によるもの

筋緊張による頭痛は、血行をよくし、首や肩周辺をほぐすことが効果的だといわれています。血流を改善するためには、次の3つのポイントを押さえておきましょう。


・正しい姿勢を心がける
長時間悪い姿勢のままでいると、首や肩の筋肉が緊張してしまいます。日頃から正しい姿勢を意識しましょう。立ったり座ったりする際は、背筋をまっすぐ伸ばし、骨盤を立てるように意識しましょう。
・枕を見直す
体に合わない枕を使用するのは、首の筋肉がこわばる原因になります。枕に頭を乗せたときに、首や肩が不自然に浮いていないか、寝返りを打ち難くないかチェックしましょう。
・適度な運動をする
体を適度に動かして筋肉をほぐすと、緊張やこわばりが取れ、血流アップに効果が期待できます。マタニティヨガやウォーキングなど、軽い運動を習慣化しましょう。

 

血管の拡張によるもの

血管の拡張による頭痛は、運動やマッサージによって血流をよくすることが、かえって頭痛を悪化させてしまうことがありますので、ズキズキする部分を冷やすことで拡張した血管が収縮し、痛みが治まることがあります。

 

 

まとめ

妊娠中の頭痛はできるだけ早く治したいものですが、頭痛薬を使用する際は、必ず医師に相談しましょう。また、日頃から頭痛の予防対策に取り組むことも大切です。妊娠中の頭痛は生理的なものが多いですが、なにか疾患が隠れていることもあるので注意しましょう。

 

 

 

 

 

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