【助産師監修】妊婦帯をするのは何のため? 帯祝い・戌の日の由来は?
日本では、古くから安産祈願として「腹帯」を巻く習慣があります。最近ではさまざまな形の腹帯があり、それらを妊婦帯と読んでいます。マタニティインナーとして定番になりつつある妊婦帯。実際にはどんなメリットがあるのでしょう? 今回は、妊婦帯について詳しく解説します。
妊娠中、妊婦帯は必要なの?
妊娠・出産で大きく変化する妊婦さんの体。なかでも子宮のサイズアップは目覚しく、妊娠前、妊娠後期で比べると、大きさは約5倍、重さは15倍近くにも! 容量に至っては、10mlから5L近くまで増加するのです。これを支えるとなると、背中や腰に負担が生じるのは当然のこと。妊婦さんが腰痛に悩む理由がわかります。
●子宮の大きさ・重さなどの変化
妊娠初期 | → | 妊娠後期 | |
大きさ(子宮腔長) | 約7cm | → | 約36cm |
重さ(胎児を除く) | 約50g~60g | → | 約1,000g |
容量 | 約10ml | → |
約5L |
妊婦帯は、大きく重い妊婦さんのおなかを下からサポートする作りなので、着用することで安定感が増すメリットがあります。また、おなか全体をすっぽり保護するデザインで、冷えや外部からの衝撃を守る効果も期待できます。
さらしからベルトタイプまで。妊婦帯のいろいろ
●種類
・さらしタイプ
岩田帯と呼ばれる、さらし木綿の帯。体に巻きつけて使います。安産祈願の儀式用として人気があります。
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・ボトムタイプ
おなかを下からしっかり支えるパワーネットを使ったタイプ。ホールド力があり、着用中もズレにくいのが特徴。下着のラインが目立たないので、デスクワークが多い妊婦さんにおすすめです。
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・腹巻きタイプ
伸縮性があり、しめつけがないのでつけ心地がゆったりソフト。お尻のしたまでしっかりカバーする股のないデザインです。おなかが目立たない妊娠初期から使えます。
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・ベルトタイプ
おなかの大きさに合わせて自在に調節できるのが特徴。横で留める仕様で着脱が簡単なので、トイレのときもラクチンです。おなかが大きくなってからの使用がおすすめ。骨盤矯正機能があるタイプもあります。
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帯祝いは日本だけの行事? 戌の日におこなう理由は?
帯祝いとは多産で安産だと言われる犬(戌)にあやかって、妊娠5カ月ごろの戌の日(十二支の11番目の日にあたり、カレンダーで12日毎に訪れる日)に、岩田帯と呼ばれる腹帯をおなかに巻き、家族で安産を祈るもので、「着帯祝い」と呼ばれることも。江戸時代に広くおこなわれていた行事で、他の国には存在しない日本固有の風習だそうです。
休日の戌の日に、人気がある神社やお寺に行くと、朝から妊婦さんが行列を作っている光景を目にすることもありますが、混雑はできるだけ避けて。戌の日にこだわらず妊婦さんの体調を優先して、無理のない範囲で予定を立てるようにしましょう。服装は普段着で問題ありません。
当日は、夫婦、または親や友人と行き、安産祈願の後に食事をするのが一般的ですが、地域によっては、紅白の餅やアワビを食べたり、実際に帯を巻く儀式をおこなうところも。安産祈願の時期や内容は地域によって異なることが多いので、事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
妊婦帯は必ず着けないといけないものではありません。安産祈願の腹帯は、あくまで儀式的なもので医学的な理由はないと言われています。大きくなるおなかを支えてくれるため、腰痛に悩む妊婦さん、デスクワークが多い妊婦さんなどは、妊婦帯を着けて快適に感じる人も多いでしょう。逆に、体型に合わないものをつけてストレスに感じるという人もいます。妊婦帯を使うかどうか判断に迷ったときは、マタニティ専門店で一度試着してみるのがおすすめです。
参考:
日本文芸社 「家族で楽しむ 子どものお祝いごとと季節の行事」
MEDIC MEDIA 「病気が見える vol.10 産科」