【医師監修】子宮頸がん検診の症状
妊娠前の女性が必ず受けておくべき検診は、「子宮頸がん」の検診です。子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスなどの影響により子宮の入り口部分にできるがんで、性交渉年齢の若年化により20代前半の女性にも見られるようになりました。そのため、自治体の検診では基本的に満20歳以上が対象になっています。ただし、自治体などでは通常2年に1回しか受けられないことが多いため、自己負担でも毎年受けることが大切です。
また、2009年12月末には日本でも子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス®︎(グラクソ・スミスクライン社)」の施行が始まりました。これは、日本で60%を占める発がん性HPVハイリスクグループの16型と18型(20〜30歳では80〜90%を占める)に対するもので、当日、1カ月後、6カ月後の3回、筋肉注射をします。HPV16型、18型に6型と11型を加えた「ガーダシル®︎(MSD社)」は当日、2カ月後、6カ月後です(費用は保険対象外です)。
しかしながら、ワクチンの副反応として原因不明の持続的な痛みや運動障害がみられたとの複数の報告があり、厚労省は2013年6月に「積極的な勧奨はしない」としてその有効性とリスクの情報をきちんと伝えていないのが現状です。もちろんこのワクチンですべての子宮頸がんを予防することはできないため、細胞診による検診は必要ですが検診は早期発見に有効でもそのあとには手術が必要となります。従って、がんの予防としてのワクチンと検診の併用によって、子宮頸がんはほとんど予防できるのです。
子宮がん検診には、子宮内部のがんである「子宮体がん」の検診もあります。これは妊娠可能年齢の女性には比較的少ないがんであるため、医師が必要だと判断した場合に実施されることが多いようです。妊娠してから子宮頸がんが見つかった場合、妊娠週数や進行期に左右されますが微小浸潤癌なら病巣部をレーザーで焼くか子宮頸部を円錐状に切除して子宮口を縛り、妊娠を継続させます。進行している場合は、妊娠時期によっては人工妊娠中絶を選択することになりますが、そのまま妊娠を継続させ出産後に加療することもあります。子宮体がんの場合には、残念ながら初期でも多くの場合には子宮全摘出となります。