病気やケガによる医療費への備えとして、多くの人が医療保険への加入を検討します。しかし、医療保険には終身型と定期型があり、どちらを選ぶべきか迷う方も少なくありません。
特に終身医療保険は、一生涯にわたって保障が続くという特徴がある一方で、定期型と比べて保険料が高くなる傾向があります。そこで本記事では、終身医療保険の基本的な仕組みから定期型との違い、メリット・デメリット、そしておすすめの人まで詳しく解説します。
医療保険選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
終身医療保険とは?定期型との違いも解説
医療保険とは、病気やケガで入院や手術を受けた際に給付金を受け取れる保険です。医療保険には大きく分けて「終身型」と「定期型」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
一生涯に渡って保障が続く医療保険
終身医療保険とは、保険期間が一生涯続く医療保険のことです。加入時から死亡するまで、ずっと同じ保障内容で医療費をカバーできるのが最大の特徴です。
一方、定期型医療保険は保険期間が定められており、10年や20年など一定期間で契約が満了します。保険期間が終了すると、契約を更新するか新たに加入し直す工程が必要です。
終身医療保険の「終身」という意味は、文字通り「身が終わるまで」、つまり一生涯を指します。保険期間がいつまで続くかという点で、定期型との大きな違いがあります。
終身型は保険料が上がらない
終身医療保険の重要な特徴の一つが、保険料が加入時から変わらないということです。20代で加入した場合、その時の保険料が一生涯続きます。
例えば、25歳で月額3,000円の終身医療保険に加入した場合、50歳になっても70歳になっても月額3,000円のままです。これに対して定期型医療保険では、更新のたびに年齢に応じて保険料が上がっていきます。
保険料の金額や相場については、年齢や性別、保障内容によって大きく異なりますが、一般的に終身型は定期型よりも加入時の保険料が高く設定されています。しかし、長期的に見ると保険料が上がらないメリットは大きいといえるでしょう。
満期や更新がない
終身医療保険には満期がなく、更新の手続きも必要ありません。一度加入すれば、特別な手続きをすることなく一生涯保障が継続されます。
更新型の定期医療保険の場合、契約期間が終了するたびに更新手続きが必要になり、その際に保険料の見直しや健康状態の告知が求められることがあります。健康状態によっては、更新を断られる可能性もゼロではありません。
終身医療保険では、このような更新に関する煩わしさがないため、安心して長期間継続できるのが魅力です。
解約払戻金はないものが多い
多くの終身医療保険は掛け捨て型で、途中解約しても解約払戻金はないか、あってもごくわずかです。これは保険料を抑えるための仕組みで、解約払戻金がない分、保険料が安く設定されています。
ただし、一部の終身医療保険には解約払戻金がある貯蓄型の商品もあります。これらの商品は途中解約時にお金が戻ってきますが、その分保険料が高く設定されています。
解約を検討する際は、加入している保険が解約払戻金ありの商品なのか、掛け捨て型なのかを事前に確認することが大切です。
掛け捨て型と貯蓄型がある
終身医療保険には、大きく分けて掛け捨て型と貯蓄型の2種類があります。
掛け捨て型は、支払った保険料が戻ってこないタイプで、その分保険料が安く設定されています。純粋に医療保障だけを求める場合に適しており、多くの終身医療保険がこのタイプです。
一方、貯蓄型は解約時にお金が戻ってくるタイプで、保障と貯蓄の両方の機能を持っています。ただし、掛け捨て型と比べて保険料が高くなるため、「掛け捨てじゃない」ことを重視する方に選ばれています。
どちらを選ぶかは、保険料の負担と貯蓄性のバランスを考えて決めることが重要です。
死亡保障付きの終身医療保険もある
一般的な終身医療保険は医療保障のみですが、中には死亡保障が付いた商品もあります。これらの商品では、医療給付金を受け取らずに亡くなった場合に、遺族が死亡保険金を受け取ることができます。
死亡保障付きの終身医療保険は、医療保障と生命保険の両方の機能を一つの契約で備えられるのが特徴です。ただし、死亡保障がない商品と比べて保険料が高くなります。
死亡保障が受けられる条件は商品によって異なりますが、多くの場合、それまでに受け取った医療給付金の総額を上回る金額が死亡保険金として支払われる仕組みになっています。
終身医療保険の終身払いと有期払い
終身医療保険では、保険料の支払い方法を選択できます。主に「終身払い」と「有期払い」の2つの方法があり、それぞれ特徴が異なります。
終身払いとは
終身払いとは、保険料を一生涯にわたって支払い続ける方法です。保険期間と同様に、保険料の支払いも終身まで続きます。
終身払いの最大のメリットは、月々の保険料が安く抑えられることです。長期間にわたって保険料を分割して支払うため、1回あたりの負担が軽くなります。また、保険料払込免除特約を付けていれば、三大疾病などで所定の状態になった場合に、以後の保険料支払いが免除されながら保障は継続されます。
一方で、長生きすればするほど総支払保険料が増加する点がデメリットです。また、年金生活に入ってからも保険料を支払い続ける必要があるため、老後の家計に負担をかける可能性があります。
有期払いとは
有期払いとは、一定期間で保険料の支払いを終了する方法です。「短期払い」とも呼ばれ、60歳払済、65歳払済、60歳払込満了、65歳払いなど、様々な払込期間を選択できます。
有期払いでは、払込終了後も保障は一生涯続きます。つまり、現役時代に保険料を払い終えて、老後は保険料負担なしで医療保障を受けられるのが大きなメリットです。
また、一括払いや一時払いという選択肢もあります。これは契約時に保険料を全額支払う方法で、総支払保険料を最も安く抑えることができます。
ただし、有期払いは終身払いと比べて月々の保険料が高くなるケースがほとんどです。払込期間が短いほど月々の負担は大きくなるため、家計に余裕がある場合に選択すべき方法と言えるでしょう。
終身医療保険のメリットとデメリット
終身医療保険への加入を検討する際は、そのメリットとデメリットを十分に理解することが重要です。
終身医療保険のメリット
終身医療保険の主なメリットは以下の通りです。
保険料が一生涯変わらない
加入時の保険料がずっと続くため、将来の保険料上昇を心配する必要がありません。定期型のように更新のたびに保険料が高くなることがないため、長期的な家計管理がしやすくなります。
一生涯の保障が得られる
病気やケガのリスクが高まる高齢期まで、同じ保障内容で医療費をカバーできます。年齢を重ねても保障がなくなる心配がないため、老後の医療費への備えとして安心です。
更新手続きが不要
定期型のような更新手続きがないため、面倒な手続きなしで保障を継続できます。また、健康状態が悪化しても保険を継続できるため、いざという時の安心感があります。
保険料払込免除特約が付けられる
多くの商品で、三大疾病などの重大な病気になった場合に以後の保険料支払いが免除される特約を付けることができます。そのため、病気になっても経済的負担を軽減しながら保障を継続できます。
終身医療保険のデメリット
一方で、以下のようなデメリットもあります。
加入時の保険料が高い
定期型と比べて、加入時の保険料が高く設定されています。特に若い世代にとっては、月々の保険料負担が重く感じられることがあります。
医療制度の変化に対応しにくい
一度加入すると保障内容を大幅に変更することが難しく、将来の医療制度の変化や新しい治療法に対応しにくい場合があります。
インフレリスクがある
給付金額が固定されているため、将来インフレが進行した場合、実質的な保障価値が目減りする可能性があります。
解約時の損失が大きい
掛け捨て型の場合、途中解約してもお金は戻ってきません。貯蓄型でも、早期解約では元本を下回ることが多く、損失が発生します。
医療保険は終身と定期のどっちがおすすめ?
終身型と定期型のどちらを選ぶかは、個人のニーズや状況によって異なります。それぞれに適した人の特徴を比較してみましょう。
終身型がおすすめの人
以下のような人には終身型医療保険がおすすめです。
長期的な保障を重視する人
一生涯にわたって安定した医療保障を求める人には、終身型が適しています。特に、老後の医療費が心配な人や家族に病歴がある人などは、終身型で長期的な備えをしておくと安心です。
保険料の上昇を避けたい人
定期型のように更新のたびに保険料が上がることを避けたい人には、終身型がおすすめです。家計の長期計画を立てやすく、将来の保険料負担を予測できます。
手続きの煩わしさを避けたい人
更新手続きや保険の見直しが面倒な人には、一度加入すれば手続き不要の終身型が向いています。
ある程度収入が安定している人
終身型は定期型より保険料が高いため、安定した収入がある人に適しています。特に30代以降で収入が安定してきた人におすすめです。
定期型がおすすめの人
一方、以下のような人には定期型医療保険が適している場合があります。
保険料を抑えたい人
特に若い世代で保険料負担を最小限に抑えたい人には、定期型が適しています。浮いた保険料を貯蓄や投資に回すことも可能です。
保障内容を柔軟に見直したい人
ライフステージの変化に応じて保障内容を見直したい人には、定期型の方が適しています。結婚や出産、転職などのタイミングで保険を見直しやすくなります。
一定期間のみ保障が必要な人
住宅ローンの返済期間中や子供の独立までなど、特定の期間のみ手厚い保障が必要な人には定期型がおすすめです。
貯蓄が十分にある人
すでに十分な貯蓄があり、将来の医療費をある程度自己負担できる人は、安い定期型で基本的な保障を確保する選択肢もあります。
終身医療保険はもったいないしいらない?
「終身医療保険はもったいない」「いらない」という意見を耳にすることがあります。このような意見が出る理由と、終身医療保険の必要性について考えてみましょう。
終身医療保険が「もったいない」と言われる主な理由は、掛け捨て型の場合、支払った保険料が戻ってこないからです。健康で過ごせば給付金を受け取る機会がないため、「保険料を無駄に支払った」と感じる人もいます。
また、日本には健康保険制度があり、高額療養費制度によって医療費の自己負担額に上限が設けられています。このため、「公的保険で十分」と考える人も少なくありません。
さらに、医療技術の進歩により入院日数が短期化しており、従来の「入院1日あたり○○円」という給付方式が現実に合わなくなってきているという指摘も見受けられます。
しかし、終身医療保険にはこれらの批判に対する反論もあります。
まず、医療費は高額療養費制度があっても、差額ベッド代や食事代、交通費など保険適用外の費用は自己負担です。また、入院により仕事を休んだ場合の収入減少もカバーする必要があります。
さらに、高齢になるほど病気やケガのリスクは高まり、医療費の負担も重くなります。若いうちから保険料を固定できる終身型は、老後の医療費リスクに対する有効な備えと言えるでしょう。
結論として、終身医療保険が必要かどうかは、個人の価値観や経済状況、健康状態によって異なります。公的保険だけでは不安を感じる人や、確実な医療保障を求める人にとっては、決して「もったいない」保険ではありません。
終身医療保険への加入は何歳から何歳まで可能?
終身医療保険への加入可能年齢は、保険会社や商品によって異なりますが、一般的な傾向を紹介します。
加入開始年齢
多くの終身医療保険は、0歳から加入可能です。子供が生まれてすぐに親が契約者となって加入することができます。ただし、商品によっては満3歳からや満6歳からといった制限がある場合もあります。
20代での加入
20代は最も保険料が安い年代で、終身医療保険への加入にはメリットが大きい時期です。若いうちに加入すれば、その後一生涯同じ安い保険料で保障を受けられます。
50代・50歳での加入
50代になると保険料は上がりますが、まだ多くの商品で加入可能です。この年代では健康状態にも注意が必要で、持病がある場合は加入できない商品もあります。
高齢者の加入
60歳、70歳、78歳、80歳まで加入可能な商品もありますが、選択肢は限られてきます。高齢者向けの終身医療保険も販売されており、簡単な告知で加入できる商品もあります。
加入上限年齢
多くの終身医療保険の加入上限年齢は、70歳から85歳程度です。ただし、年齢が高いほど保険料も高くなり、健康状態による制限も厳しくなります。
加入を検討している場合は、年齢が若いうちに検討することをおすすめします。なぜなら、健康状態も良好で保険料も安く、長期間の保障を得られるメリットが大きいからです。
終身医療保険を選ぶときのポイント
終身医療保険を選ぶ際は、以下のポイントを考慮することが重要です。
基本的な保障内容の確認
入院給付金の日額、支払限度日数、手術給付金の内容を確認しましょう。1日あたりの給付金額は、一般的に5,000円から15,000円程度で設定できます。支払限度日数は60日、120日、180日、無制限など様々な選択肢があります。
通院保障の有無
現在の医療は入院期間の短縮化が進んでおり、通院による治療が増えています。通院保障がある商品を選ぶことで、より実情に合った保障を受けられます。
入院一時金の充実
入院した際に一時金として受け取れる給付金です。入院時の諸費用や収入減少をカバーするのに役立ちます。
がん保障の特約
日本人の死因上位を占めるがんに対する特別な保障です。がん診断給付金や抗がん剤治療給付金など、がん治療に特化した保障を追加できます。
先進医療特約
公的保険が適用されない先進医療を受けた場合の技術料をカバーする特約です。先進医療は高額になることが多いため、付けておくと安心です。
保険料払込免除特約
三大疾病などの重大な病気になった場合に、以後の保険料支払いが免除される特約です。病気になっても経済的負担なく、保障を継続できます。
契約内容の見直しやすさ
将来のライフステージの変化に応じて、保障内容を見直せる仕組みがあるかも重要なポイントです。
持病がある場合の対応
持病がある人でも加入しやすい商品があります。引受基準緩和型や無告知型の商品も検討してみましょう。
請求手続きの簡便さ
給付金の請求手続きが簡単で、迅速に対応してもらえる保険会社を選ぶことも大切です。
保険会社の信頼性
長期間にわたって保障を受けるため、財務基盤が安定した信頼できる保険会社を選ぶことが重要です。
これらのポイントを総合的に検討し、自分のニーズに最も適した終身医療保険を選択しましょう。また、複数の商品を比較検討することで、より良い選択ができます。
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今回は、終身医療保険の基本的な仕組みや選び方について詳しく解説してきました。実際に医療保険を選ぶ際は、複数の商品を比較検討することが重要です。
各保険会社から様々な特徴を持った終身医療保険が販売されており、保障内容や保険料、付帯サービスなども大きく異なります。あなたのライフスタイルや予算、重視するポイントに合わせて、最適な医療保険を見つけてください。
医療保険選びは、一度決めれば長期間続く重要な決断です。十分に検討して、安心できる医療保障を手に入れましょう。