最近副業・兼業をする人、検討している人が増えています。副業・兼業の収入は少額の場合も多いのですが、継続できれば家計にもプラスになります。例えば、月に2万円でも1年継続できれば24万円、20年継続できれば480万円と、決して少なくない金額になります。その一方で、副業・兼業に関する勘違いや手続きのミス、トラブルなども少なくありません。
そのため、今回は副業・副収入の注意点についてお伝えします。
1.仕事をしている人は就業規則の確認を
すでに仕事をしている人が別の仕事をする場合を副業や兼業と呼びますが、働き方の多様化や新型コロナウイルス感染拡大による収入減などによって希望する人が増えています。
厚生労働省もガイドラインを定め、副業・兼業を促進していますが、以下に該当する場合には、就業規則で副業・兼業を禁止または制限をしても良いとしています。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
そのため、副業・兼業を希望する場合には、就業規則の中で、副業・兼業を禁止・制限されていないか確認をしましょう。禁止や制限がある場合に、それを無視して副業・兼業をした場合には、懲戒の対象になったり、人事考課に影響があったりする可能性も否定できません。中には、バレない方法を説明しているブログ等も散見されますが、100%バレないという保証もありませんので、慎重に行動されることをお勧めします。
2.扶養に入っている人は収入の金額・内容の確認を
仕事をしていない人や扶養の範囲内で働いている人が、副業・兼業をする場合には、別々に判定するのではなく、金額を合計して扶養の対象かどうか判定されます。
例えば、社会保険の扶養(健康保険・国民年金)の対象になるには、原則、年収130万円未満である必要がありますが、メインの収入が120万円であれば、扶養の範囲内ですが、これに加えて15万円の副業があった場合には年収135万円となり、社会保険の扶養を外れる必要があります。
扶養を外れることによって、国民健康保険料※・国民年金保険料に年間約30万円の支払いが必要となり、手取り額で考えると副業をすることによって、マイナスになってしまいます。 所得税の配偶者控除であれば年収103万円以内、配偶者手当・扶養手当等であれば配偶者の勤務先の年収基準とそれぞれの年収基準は合計の収入によって判定されますので、副業によってその金額が超えて扶養が外れる可能性はないか、扶養から外れてもプラスになるかを計算した上で、副業・兼業をする判断にしましょう。
※国民健康保険料は、運営している自治体等によって保険料の基準や計算方法が異なります。国民健康保険税と表記する自治体もありますが、ほぼ同じ内容です。
3.ポイントと税金について
ポイントについてはよほどの高額でない限り、2022年8月現在では課税の対象となった人はいないと思いますが、念のため、ポイントと税金(所得税・住民税における所得)について、簡単に整理します。物品を購入したりサービスを受けたりことに対する支払いに対してのポイント還元は値引きと同様に考えられるため非課税、マイナポイント等の国や自治体から支給されるポイントやキャンペーン等で当選したポイントは一時所得(年間50万以下であれば確定申告不要)ですが、アンケートや友達紹介等のポイントサイトや個人サイトやブログ等からのアフィリエイトでのポイント付与の場合は雑所得と判断されることがあります。
2022年8月現在では、詳細な基準や規定がないため、年間数万円程度であれば見逃されているのが実情ですが、今後は基準や規定が明文化される可能性がありますので、継続的にポイントが付与されている場合は、今後ポイントサービスや国税庁のサイトを確認すると良いでしょう。
現在でも年間20万円以上のポイントをポイントサイトやアフィリエイトで付与または使用をしている場合には、課税や確定申告の対象となる可能性もありますので、心配な人や気になる人は匿名で良いので、税務署に確認した方が良いかもしれません。
4.詐欺や犯罪に注意を
近頃始まったわけではありませんが、副業やポイント付与に関する詐欺・犯罪行為の情報や注意喚起が後を絶ちません。ポイントサイトを装った悪質なサイトでは、個人情報を入力したもののポイントが付与されなかったり、本来では必要のない登録料等を要求したりする例があります。
また、副業・兼業でも、犯罪行為を一般的な仕事に偽装するような募集をしたり、仕事紹介の登録料の請求や副業に必要なものと語って高額なマニュアルや機材を売りつけたりするケースもあるようです。一般的な水準をはるかに超える報酬や支払いを要求されるものは避けた方が無難でしょう。副業・兼業に限った話ではありませんが、上手い話には注意が必要です。
副業・兼業やポイ活は、以前からもそれなりにあったのですが、働き方やライフスタイル、IT化などで広がりを見せています。適切に取り組めば、家計にもプラスになることも多いのですが、扶養や税金の基準を誤って判断したり、犯罪行為に巻き込まれたりするとマイナスになることもあります。副業・兼業を始めよう・考えてみようと思った人は、今回お伝えしたポイントを踏まえて、無理のない副業・兼業に取り組むきっかけにしていただければと思います。