昨年、常磐線内で出産したニュースが大きな話題を呼びましたが、思わぬ場所での出産というのは妊婦さんである以上、いつ起こってもおかしくないことなんです。出産を迎える日や時間はあらかじめ決められるものではなく、このような事例は毎年世界各国で報告されています。そこで今回、ベビーカレンダーでは、先輩ママさんたちが実際に経験した出産ハプニングをまとめてみました。
出産はコントロールできません!
常磐線のママさんは経産婦(3人目)だったということもあって、きっと異例のスピード出産だったのだと思います。さらに産気づいたのが電車内だったということも重なり、ニュースで取り上げられるほどのレアケースとなったわけですが、前述のように、こういったことはいつ誰に起こってもおかしくないんです。
出産とは予定日が約束されているものではなく、実際にいつ、どのくらいの時間で生まれるのかは本人含め誰にもわかりません。さらに、陣痛の痛みの程度も人それぞれで、なかには「おなかがちょっと張っているだけ」と勘違いしてギリギリまで気付かない人もいます。
出産の流れ
いざ産気づいたとき、まずはどうなるのか流れを知っておくことで急場も落ち着いて行動できます。
(1)おしるし(産徴)
粘液に血液が混じったおりもののようなものです。おしるしがあってから一両日中に分娩開始となることが多いようですが、なかには数日経過してから陣痛が始まった人もいます。個人差があるので、おしるしがあってもあわてないようにしましょう。
(2)陣痛
規則的な痛みを伴うおなかの張りをいいます。10分おき、あるいは1時間に6回以上になったら陣痛開始と判断されます。初産婦さんの場合、陣痛の間隔が10分おきになったら入院の目安となりますが、経産婦さんはもう少し早いタイミングでの入院になることもあります。産院の指示を仰ぎましょう。
(3)破水
赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が外へ流れ出ることをいいます。一般的に子宮口が全開大になる前後に起こりますが、陣痛が来る前に破水することもあります。陣痛が始まる前に破水すると赤ちゃんへの細菌感染が心配です。大きめの生理用ナプキンをあててすぐに病院に連絡しましょう。
(4)分娩第1期(開口期)
出産で一番大変な時間です。陣痛開始からから、子宮口が開くまでをいいます。呼吸法などで痛みをそらしましょう。パパや付き添いの人に背中や腰をさすってもらうのおすすめです。
(5)分娩第2期(娩出期)
子宮口は全開大になり、赤ちゃんが頭を回旋しながら産道をくぐり、誕生するまでをいいます。初産の人では約2〜3時間かかります。分娩待機室から分娩室に移り、分娩台に乗ります。いよいよ赤ちゃんが生まれるときです。合図があったら、いきみをかけて赤ちゃんの産道通過を応援します。赤ちゃんは頭を出したり引っ込めたりしながら、次第に会陰に頭を固定します。ここで合図があり、ママはいきむのを止め、短促呼吸に切り替えます。しばらくすると赤ちゃんの頭が出てきます。あとはスタッフの手で、スルリとトンネルをくぐるように誕生! 今までの陣痛がすっと消え、同時に赤ちゃんの元気な産声を聞きながら感激の対面です。
(6)分娩第3期(後産期)
赤ちゃん誕生後しばらくして、軽い陣痛が起きて胎盤が出ます。数分で済む場合もありますが、30分くらいかかることもあります。
※参考:ベビーカレンダー「出産までの流れ」【監修者:三鷹レディースクリニック院長 産婦人科医 天神尚子 先生】
お産ってどのくらい時間がかかるの?
*遷延分娩とは:相当な時間が経過しても児が娩出されないこと。胎児に悪影響が及ぶため、状況に応じて緊急帝王切開に移行する
分娩所要時間の一般的な平均は初産婦さんで12~15時間、経産婦さんで5~8時間といわれています。もちろん、最初から1時間程度で産んでしまう人もいれば、何人目でも10時間以上かかるという人もいます。
※比較表引用:『病気が見える vol.10 産科』(メディックメディア)(P.247「初産婦と経産婦の比較」をもとに編集部作成)
驚異のスピード&びっくり出産エピソード
前駆陣痛だと思っていたら実は本格的な陣痛が始まっていて、あっという間に子宮口全開、 即分娩台、即出産という終始ドタバタのお産や、ちょっとめずらしいできごとにびっくりしたお産のエピソードをご紹介します。
「陣痛と気付くのが遅く、自宅で破水。産院に向かう車内で頭が出ていて車を降りて病院のインターフォンを押したときに全身が出た。日曜早朝の出産で、分娩室が2階(エレベーターなしの産院)だったため、1階の待合室でへその緒を切って自力で階段を上った」
「2人目のときです。産気づいて入院。まだかかりそうなのでいったん旦那さんには帰ってもらいました。子宮口が5cm、だいたい5分間隔になってきて『そろそろ家族呼んでもいいけど、まだかかると思うからどっちでもいいですよ』といわれ、まだ我慢できる痛さだったけど一応来てもらおうと思い、夜中1時半に電話しました。旦那さんが来るまで助産師さんと下の階までお茶を買いに行って、部屋に戻ると嘔吐レベルの激痛の陣痛!! なんとお茶を買いに行ってお産が一気に進んだらしく、10分の間に子宮口が5cmから8cmに!! 旦那さんが来るまでにまさかの分娩室移動となりました。旦那さんは無事に立ち会えましたが、本格的に産気づいてから最後まで陣痛間隔が5分から縮まることなく2時間半で出産という超安産でした! しかも出てきたのは52cm、3,845gのビッグベイビー!!(笑)股はちょっと裂けただけで回復も早かったです。さすが2人目。早いとは聞いていましたがここまでとは……」
「上の子のとき、自宅の布団で横になっていると、明け方におなかの中で風船が割れたような音がし、破水しました。あわててトイレに駆け込んだけれど、廊下から床は水浸し。隣で寝ていた夫を起こしつつ、とりあえず拭かなきゃと床を拭いていると、夫に床はいいから病院に電話しろと怒られました。病院に着き、分娩台に上がってから数時間で生まれたので、初産にしては早かったですし、自宅で生まれなくて何よりでした」
「出産予定日までまだ日にちがあったのと、初産なのでまだだと思っていたので、痛みが出てきたんですが、前駆陣痛だと勘違いしてやりすごしていました。明日の朝、病院に電話してみようと思って寝たら、朝6時、起きた瞬間に破水とおしるし! 慌てて夫を起こして病院に電話し、急いで準備して向かいました。すぐ診てもらったらもう5cm以上子宮口が開いているということで即分娩台、その後2時間とかからず出産しました(笑)」
「病院に着いた途端、車の中で破水しました。そのときにぐっと赤ちゃんが降りてきた感じがして、おしりを押さえながら『なんか出ちゃう!』と言いながら陣痛室へ。ベッドに上がったときにはもう頭が半分くらい出ていたそうです。力入れないでね、ゆっくり息を吐いて~っと言われて『ふう~』と息をしたら生まれました。1回もいきんでいません」
「出産予定の3週間前に妊娠に気付き、気付いてから2週間後に無事出産しました」
「娘が生まれたとき、うんちを口に含みながら生まれたらしくて、ビックリした。あと、5分間隔の陣痛まではそこまで痛くなかったが、パパが到着すると電話がきた途端激しい陣痛とともに子宮口も開き、初産なのにすぐに出てきた。パパ待ちしてたんだねと言われて、こんなことってあるんだなと思った」
ちょっと笑っちゃうような出産エピソード
最後に、お産のときにパニックでちょっと変わった行動をしてしまったママさんやご家族のエピソードを集めてみました。そのときは命がけで真剣だったけれど、あとから思い出すとちょっと笑えちゃうこと、ありますよね。
「カキフライを揚げていたら、陣痛が来てしまい、やめるわけにもいかずなんとか揚げ続けました。揚げたてを食べたくて、お風呂も入っておかなきゃと、風呂場でカキフライを食べ、産院についた瞬間までカキフライを手離すのを忘れ、破水したときにカキフライを手に持っていることに気付きました」
「出産時のいきみ方として、呼吸を整えるといいと先輩ママから聞いたので、ヨガの達人の片岡鶴太郎さんが出産時頭から離れなかった」
「いきんでもいきんでもなかなか生まれず、大変さに心が折れて、助産師さんに『何か別の方法はありませんか?』と交渉した」
「全開から1時間! 何回いきんでもなかなか出てこない息子ちゃん! 不安な気持ちになって近くにいた助産師さんに手を繋いでもらったり、不安すぎてさわさわとおしりまでなでていたらしい! 出産後、すごい触って来たね~と言われたときは恥ずかしすぎました」
「破水かと思い病院に行くが、結局尿漏れだったため、帰ることになった」
「子宮口がまだ全開じゃなかったため、いきみ逃しをしながら耐えていたのですが……。どうしても下半身に力が入ってしまい、いきんじゃダメ! ふーっだよ! ふーっと、助産師さんに言われながらも、ふーっといきんでしまったら、羊水がまだ残っており、助産師さんたちに向かってピュー!!! と飛んでいました……。助産師さんたちはあらあらーって感じだったけど、私は死ぬほど痛い中死ぬほど恥ずかしかった。しかも1回だけじゃなく3回ほど飛ばしていた……。出産後、周りの先輩ママたちに聞いたけど、誰もそんなふうになったことがないみたい……誰か仲間いませんか?(笑)」
先輩ママさんたちもみんな紆余曲折乗り越えて赤ちゃんをお迎えしてきたんですね。何が起こるかわからない、人生の一大イベント。正期産の時期に入ったら、いつでも大丈夫と言えるような心構えで毎日を過ごしたいですね。
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