聖母病院(東京都新宿区)産婦人科部長インタビュー
継続的におこなう手厚いメンタルケアが特長です
現在の産婦人科部長、増澤先生が部長に就任されたのが、2018年。以来、外来診療も担当されながら、妊婦さんがより安心で快適にお産に臨めるよう、日々聖母病院産婦人科のさらなる発展に奔走されています。さっそく増澤先生にお話を伺いました。
増澤先生「聖母病院は、マリアの宣教者フランシスコ修道会が母体となり開院したカトリック系の病院ということで、神父さんもシスターもいらっしゃいます。出産が終わった後には、赤ちゃんやご両親にお祈りをささげて祝福してくださるんですよ。洗礼ではないので、信仰にかかわらず、ご希望の方はどなたでも祝福を受けることができます。
またカトリックの精神に則った医療をおこなっていることから、メンタルケアに手厚いところも特徴ですね。助産師外来では妊婦健診や保健指導だけでなく、日常の心配事や出産に対する不安にも相談に乗り、精神的サポートをおこなっています。また出産後は精神的に不安定になりやすいと言われていますので、産後2週間健診を設け、母子の健診や育児相談だけでなく、母親の精神面の健康状態も確認し、母親が安心して過ごせるようにサポートしています」
妊婦さんや産後ママ向けの「周産期クラス」も充実
増澤先生「聖母病院産婦人科は助産師が多く在籍しているのも特徴で、『産前産後クラス』も充実しています。両親学級はもちろんのこと、マタニティヨガクラスや母乳育児の準備クラス、産後はベビーマッサージを指導する教室もおこなっています。
助産師がとても勉強熱心で“こういうことをしたい”という提案をしてくれるんです。自ら資格を取るなどして、ベビーマッサージやマタニティヨガを指導しているんですよ。また分娩のときには、お産の経過中、1人の産婦さんに対して1人の担当助産師が付き添って手厚くケアをしています。それも優秀な助産師が多く在籍しているから可能なことなんです」
基本は自然分娩ですが、和痛分娩やフリースタイル分娩もおこなっています
増澤先生「聖母病院では、基本自然分娩をおこなっていて、お産の8割はナチュラルバースですが、希望の方には、硬膜外麻酔法を用いた『和痛分娩』や畳の上でのお産などの『フリースタイル分娩』もおこなっています。産後は母子同室で母乳哺育をおすすめしていますが、母乳哺育についてはお母さんのご希望も聞き、臨機応変に対応しています。
また、聖母病院は大使館指定病院になっていることから、外国人の妊婦さんも多く利用されています。そのため、英語、フランス語、スペイン語の通訳者が常駐、中国語、韓国語についても対応できるようになっています。
少子化が進み、分娩数は減っていますが、それでも年間約1,500人の赤ちゃんを取り上げています。数多くの妊婦さんに聖母病院を選んでいただけてとてもうれしいです」
カウンセリング体制を整えた胎児診断外来の開設を予定しています
増澤先生「聖母病院は、長年地域に根差し、地域の連携病院としての役割を担っている医療施設なので、産婦人科では緊急帝王切開などの救急医療も365日24時間対応しています。けれども、NICU(新生児集中治療室)がないため、重度のリスクのある妊婦さんは、出産を迎える前に、大学病院などの周産期母子医療センターに送ることになります。
せっかく聖母病院を選んでくださった妊婦さんに、お産までサポートができないことがとても心苦しく、NICUを設置できれば……と常々考えています。とはいえ、NICUを作るというのは、設備的にも人員的にもとても大変なこと。すぐにというわけにはいかないでしょうが、近いうちに実現させるのが私の目標ですね。
それから胎児診断外来を開設するのも、目標の1つです。というのも、近年、採血のみで検査できる新型出生前診断検査が、産婦人科以外の医療機関など、専門医のカウンセリングが受けられない場所でも受けられるようになっていて、検査を受けた妊婦さんの混乱を招く事態が生じているんです。
現在、聖母病院では新型出生前診断検査を実施していませんが、希望される方は少なくありません。そこで、希望される妊婦さんに安心して検査を受けていただくために、来年には遺伝専門医や超音波診断の専門医を置き、カウンセリング体制を整えた胎児診断外来を開設する予定でいます」
生まれて数日たち、個性が出てくるころの赤ちゃんが大好きという増澤先生。妊婦さんがより快適にお産に臨め、産後のママや赤ちゃんが健康に過ごせるよう、サポート体制をさらに整えたいと熱く語っていらっしゃる姿がとても印象的でした。
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