【助産師監修】母乳育児のメリット・デメリット
「赤ちゃんが生まれたら母乳で育てたい」と思っているママも多いのではないでしょうか。平成27年の乳幼児栄養調査によると、「赤ちゃんが生まれたら母乳で育てたい」と思っている妊娠中のママの割合は約93%。その一方、産後1カ月時の授乳状況を見ると、母乳だけで赤ちゃんを育てているママは約51%となっています。
実際、母乳育児を始めてみると、思うようにいかないことがたくさん出てくると思います。そのような状況を少しでも減らすためには、妊娠中からの準備が必要です。母乳育児の準備を始めましょう。
母乳育児のメリット
母乳育児をすることは、赤ちゃんだけでなくママにとってもメリットがたくさん。だからこそ、母乳育児を希望されるママが多いのだと思います。
=赤ちゃんにとってのメリット=
・赤ちゃんの成長に必要な栄養がすべて含まれている
・消化、吸収機能が未熟な赤ちゃんにとって、負担が少ない
・善玉菌が多くなる
・免疫物質が多く含まれている
・乳幼児突然死症候群の発症率が少ない
など
=ママにとってのメリット=
・手軽である
・子宮の回復がよい
・産後のダイエットにもなる
・経済的である
・避妊効果が期待できる
・乳がん、子宮がん、卵巣がん、骨粗しょう症になりにくくなる
など
母乳育児のデメリット
その一方で母乳育児のデメリットもあります。
=赤ちゃんにとってのデメリット=
・母乳を介して感染するウイルス(HTLV-1)や汚染物質が移行するおそれがある
・ビタミンKが不足しやすい
など
=ママにとってのデメリット=
・育児用ミルクに比べて授乳回数が多い
・乳頭や乳房のトラブルが起きやすい
・どのくらい飲んでいるかわからず、不安になる
・食事、薬などに注意をしなければならない
・赤ちゃんが哺乳瓶での授乳を嫌がり、人に預けるのが難しい場合も出てくる
・外出先で授乳する場合、気を使ってしまう
など
母乳育児についてママの希望は? パパは? 周囲の人は?
母乳育児を希望しているママの多くは、「母乳が出れば母乳で育てたい」と思っています。それでは、パパの希望はどうでしょうか? そして産後ママをサポートしてくださる方は?
やはり赤ちゃんにかかわる人たちの考え方がバラバラだと、母乳育児をしたいと思っているママにとってはストレスにもなりますし、母乳育児をあきらめてしまう要因にもなりかねません。妊娠中にどのような授乳方針でいくのかパパと話し合っておくと安心だと思います。
ママのサポートをしてくれるであろうばあばやじいじの時代は、粉ミルク全盛期と言ってもいいかもしれません。ですので、考え方で衝突する可能性もなきにしもあらずです。そのようなときは、母親学級に一緒に参加したり、自治体で祖父母教室をおこなっているところもあるので参加をすすめたりするのもいいと思います。
出産予定の産院の母乳育児の方針は?
妊娠が確定したら、次は産院選び。その際注目するのは、施設のきれいさ? お食事?出産スタイル?……いろいろあると思います。
こだわるポイントは人それぞれかと思いますが、母乳育児をしたいと思っているママは、やはり産院の授乳方針はどうなのかチェックしておいたほうがよいと思います。母乳育児を推進している産院では、熱心に指導してくれるでしょう。しかし、そこまで母乳育児にこだわらないママにとっては、スパルタに感じるかもしれません。事前の情報収集が大切です。
まとめ
先ほど、「母乳が出れば母乳で育てたい」と思っているママが多いとお話しさせていただきました。多くのママがお産が終われば、すぐに母乳が出るようになると思っているのではないでしょうか? 実際はなかなかそうもいかないのです。 次回は、母乳育児がうまくいくためにはどうしたらよいか、お話ししたいと思います。
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◆母乳育児に関するQ&A
- Q.産後、左の乳房のいろいろなところが痛みます
- Q.授乳中ですが胸の奥に鋭い痛みを感じます
- Q.乳腺炎になると母乳の味がまずくなるの?
- Q.乳腺のつまりについて
- Q.混合栄養から完全母乳にしたいのですが
- Q.左右の乳の出が違います
- Q.母乳を停止しても再開できますか
- Q.乳ガンの母乳を飲んだ子どもは、何か影響が出るものなのでしょうか?
- Q.乳が張ってしこりがありますが、どうしたらいいでしょう
- Q.母乳育児を長く続けたいのですが、搾乳機を使ってもOK?
◆授乳の体験談
最初の授乳は出産直後に助産師さんが吸わせてくれました。小さくて必死な姿が本当にかわいかったです! それからは母子同室で、おっぱいの吸わせ方がわからず助産師さんに何度も手伝ってもらい授乳しましたが、体重を測ると2gしか増えておらず、育児用ミルクを足すよう指導され、夜中泣きました。それからは軌道に乗って完母でトラブルなく過ごせています! 助産師さんと頑張って吸ってくれたかわいい息子にに感謝です!
たいがママ さん
現在、2人目授乳中です。正直、上の子の初授乳は覚えていません。そして今回は生まれてまもなく、分娩台の上での初授乳でした。それまでずっと自分の指をチュパチュパ吸っていたので、助産師さんにお願いして吸わせてみました。誰からも教わってないはずなのに夢中でおっぱいを吸うわが子に妙に感心したのを覚えています。
きょん×2 さん
1人目の最初の授乳からだいぶ経つのですが、感激した感覚をまだ覚えています。私自身も可能であれば母乳で育てたいと思っていたので、病院選びの際に母乳育児に力を入れているということもポイントの1つとしていました。
私は産後入院中は母乳がろくに出なくて、赤ちゃんも自分も授乳に慣れていないので格好も定まらず、明らかに不自然な格好で授乳していました。産後の疲れた体でヘトヘトでしたが、乳首を吸わせる刺激で出るようになるということで、入院中にスパルタ教育をしてもらいました。
生まれる前から授乳への意気込みが強かったため、このままずっと出なかったらどうしようと不安にも思いましたが、幸い、よく出るようになってよかったです。
ぽぽ さん