【助産師監修】初乳の特徴(成分・色)や出ない場合の対処法を解説
「初乳」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 初乳というのは、読んで字のごとく、お母さんが赤ちゃんを産んで、最初に出るお乳のことです。赤ちゃんが生まれたら、まずは初乳を飲ませることが大切だと言われます。それはいったいなぜなのでしょうか? そもそも初乳というのは何なのでしょうか? 今回は、赤ちゃんにとって大切な初乳についてまとめてみました。
初乳って何? どのような特徴があるの?
妊娠中期から母乳は作られ始め、産褥2日目ごろから初乳が分泌されるようになります。初乳は、黄色味がかったクリーム色をしています。そして、少しとろみがかっていることが多いです。
初乳には消化しやすいタンパク質を多く含み、とても栄養価が高いのが特徴です。そして、産褥5日目ごろより移行乳、7日から10日ごろから成乳と、母乳の呼び方も成分も変化していきます。成乳になると、色も青みがかった乳白色になり、さらっとしてきます。
初乳に含まれる成分
ヒトの母乳に含まれるタンパク質の濃度は、哺乳類のなかで最も濃度が低いと言われています。しかし、このタンパク質のなかには、赤ちゃんにとって重要な成分が含まれていて、成乳よりも初乳のほうに多く含まれています。
母乳を酸などで固まらせると、カゼインとホエイに分かれます。ホエイには、免疫グロブリンをはじめ、ラクトフェリンやリゾチームなど、免疫のために働く成分が含まれています。母乳に含まれる免疫グロブリンの代表はIgAですが、IgAは赤ちゃんの腸を覆い、細菌が付着するのを防御しています。
一方、ホエイには多くの酵素が含まれていて、消化を助ける働きを持っています。ホエイは消化されやすく、カゼインは消化されにくいという特徴がありますが、初乳には消化されやすいホエイが多く含まれており、赤ちゃんの成長に伴って、徐々に同じくらいの比率に変化していくのです。
ヒトの母乳はタンパク質の濃度だけでなく、脂肪の量も相対的に低く、初乳に含まれる脂肪は成乳に比べて少ないということがわかっています。初乳は脂肪分が少なく、消化しやすいホエイが多く含まれているため、胃にとどまっている時間が少なく、すぐに赤ちゃんがおっぱいを欲しがるようになっているんですね。
早産で生まれた赤ちゃんこそ初乳を
同じ母乳でも時期によって成分が変わるだけでなく、正期産で赤ちゃんを産んだお母さんの初乳と早産で赤ちゃんを産んだお母さんの初乳でも、少し成分が違っています。IgAやリゾチームなど、感染防御を担う成分が早産で赤ちゃんを産んだお母さんの初乳の方が多く含まれているとのこと。
やはり、正期産で生まれた赤ちゃんに比べて、早産で生まれた赤ちゃんは、感染症に罹りやすいというリスクがあるという点から考えても、初乳を与えるということは大切なのですね。早産で生まれた赤ちゃんの場合、直接おっぱいを吸ってもらうことは難しいかもしれないので、お母さんが母乳を搾ってあげましょう。
初乳が出ない場合はどうしたらいいの?
初乳は誰でもすぐに出るものなのでしょうか? 産後スムーズに赤ちゃんに初乳を与えるためには、臨月に入ったころから乳頭マッサージをするなどして、乳管を開く準備を入念にしておいたほうが良いでしょう。母親学級などでも教えてくれます。
そして、初乳を出すためには、赤ちゃんに、とにかく頑張ってたくさん吸ってもらうことが重要です。なぜかというと、赤ちゃんが乳首を吸うことでホルモンが刺激されて、それにより母乳が出てくるという仕組みだからです。
とはいえ、生まれたばかりの赤ちゃんはまだまだ吸う力も弱く、そのためなかなか刺激も伝わらず、思うように出てくれないことが多いのです。それでも、生後3日間くらいまでは育児用ミルクを足さずに、頻回授乳し、初乳を飲ませることができるといいでしょう。それほど量にこだわる必要はなく、少しの量でも初乳の効果は期待できますので、授乳を続けましょう。
出産後の疲れた体のお母さんにとっては、夜中に何度も起こされて授乳するのは大変ですが、最初の3日間は少し頑張ってみましょう。助産師さんも手助けしてくれますので、気軽に相談してみてください。赤ちゃんに少しずつでも初乳を与えることができるといいですね。
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