【助産師監修】妊婦さんはむくみやすい? 原因と解消法を解説

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

女性のふくらはぎ

 

むくみは、血液の循環が低下し、血液中に含まれている水分が血管の外ににじみ出て、組織間の水分が増えることで起こる生理的現象です。妊娠すると、体内環境が変化するため、妊婦さんはむくみが起こりやすく、異常につながることもあります。そのため、妊婦健診の項目の1つにもなっています。ここでは妊婦さんがむくみやすい理由について、妊娠中のむくみの解消法などについてお話ししたいと思います。

 

 

妊婦さんがむくみやすい理由

妊娠すると、胎盤を通じて赤ちゃんに栄養を届けるため、血液量がアップします。その際、赤血球の量も増加しますが、血液中の水分(血漿)量のほうがはるかに増加します。そして、エストロゲンやアルドステロンなどのホルモンが増加することによってナトリウムや水分の再吸収率が増えたり、大きくなった子宮の影響で血流が悪くなり、下肢にむくみが生じやすくなります。

 

さらに妊娠するとあまり動かなくなり、長時間同じ姿勢でいるという方が多いです。すると、血液の循環が悪くなり、むくみやすくなります。また、つわりや食べ過ぎなどによって、水分を体内にため込む働きがある塩分を過剰に摂りすぎてしまうことから、むくみを起こしやすいと言われています。

 

 

むくみは赤ちゃんに影響を与える? 注意が必要なむくみの特徴

妊娠中に起こるむくみのほとんどが軽度なもので、むくみそのものが赤ちゃんになんらかの影響を与えるということはないと言われています。

 

しかし、「妊娠高血圧症候群」という病気の症状としてむくみが現れている可能性があります。妊娠高血圧症候群は高血圧や蛋白尿が主な症状ですが、これらの症状に伴ってむくみが生じることが多く見られます。また、「深部静脈血栓症」の場合にも、経過とともにむくみが生じることがあります。

 

これらの病気は、ママや赤ちゃんに悪影響を及ぼし、時には両者の命にかかわることもあるため、注意が必要です。

 

そのため普段から自分がむくんでいるのかどうか、チェックしていくことも大切です。簡単にできる、むくみのセルフチェック方法を紹介します。


・下肢のむくみ
脛の部分を指で押して指の跡が残るか確認します。指の跡が残るようであればむくんでいると判断できます。


・手のむくみ
手がはれぼったく、指輪がきつい、指がこわばるなどの症状はむくみのサインです。


・顔のむくみ
まぶたがはれぼったく、額を指で押したときに指の跡が残るときはむくんでいると判断できます。


指の跡がくっきり残ったり、なかなか消えない場合は、注意が必要です。そのほか、1週間で500g以上体重が増加している場合も、むくみが原因のことがあります。気になる症状がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

 

 

妊娠中のむくみ予防・解消法

むくみの予防法

妊娠中でもできるむくみの予防方法を2つご紹介します。

 

・適度な運動
運動することで血流がよくなるため、適度な運動を心がけることでむくみが予防できます。無理をしないでおこなえ、気分転換にもなるウォーキングがおすすめです。ただ、医師からあまり動かないようにという指導を受けている場合は、医師の指示に従うようにしましょう。

 

・適度な塩分制限
体内の塩分濃度が高くなるほどむくみやすいため、妊娠中は塩分を摂りすぎないような工夫が必要です。妊娠中の塩分摂取の目安は、7~8gです。汁物は塩分が多めです。ラーメンのスープやみそ汁は、具だけを食べるようにしましょう。汁を飲みすぎないようにするだけでも塩分の摂取量を抑えることができます。また、よく使う調味料のしょうゆの塩分濃度は、16〜17%あると言われています。ポン酢がしょうゆの塩分濃度の約半分とされているため、ポン酢を使った料理などを取り入れるのもおすすめです。

 

むくみの解消法

妊娠中は、むくみが慢性化しやすいため、むくみを解消効果が期待できるグッズを利用してケアをおこなうのがおすすめです。

 

・着圧ソックス
締め付け感のあるソックスが着圧ソックスです。滞りがちな血液の循環を促進して、むくみを軽減してくれる効果が期待できるアイテムで、弾性靴下やストッキングタイプなどがあります。医学的根拠に基づいた段階着圧のマタニティ用ソックスなどもあるため、うまく活用するとよいでしょう。ただし履きっぱなしはよくないので、注意しましょう。

 

・マッサージ
脚は、重力の影響で血液が心臓に戻りにくいため、むくみやすい傾向があります。1日の終わりやゆっくりと過ごせるときに、足首から太もものほうへ手を滑らせるようにしてマッサージすると滞った流れを促すことができます。ただ、おなかが大きくなるにつれ、脚のマッサージもやりづらくなります。そのようなときは、無理をせずできる範囲でマッサージをおこなえば大丈夫です。パートナーに手伝ってもらうとよいかもしれません。

 

・足を心臓よりも高くする
横になったとき、クッションなどの上に足を置き、足が心臓よりも高い位置になるようにするのがむくみ解消に有効とされています。足が高くなることで、心臓に向かって血液が流れやすくなるためです。血行がよくなっている入浴後やマッサージの後におこなうとより効果的に心臓へ血液を流すことができるでしょう。

 

 

まとめ

これまでむくみを経験したことがなかった方でも、妊娠することでむくみに悩まされることがあります。ほとんどが心配のない軽度なむくみのため、妊娠中でもできるむくみの解消法や予防法を実践してうまく乗り切りましょう。ただ、なかには心配なむくみがあります。むくみがひどいと感じたら早めにかかりつけ医に相談しましょう。
 

 

 

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