【医師監修】子宮内膜症の痛みとは?治療方法や生理痛との違い
子宮内膜症の2大症状として、「痛み」と「不妊」があります。ここでは子宮内膜症の痛み焦点を当てて解説します。
- 【目次】
- ・子宮内膜症とは
- ・子宮内膜症の痛みとは
- ・痛みが出たときの対処方法と子宮内膜症の治療法
- ・まとめ
子宮内膜症とは
子宮の内側には子宮内膜があり、月経周期に合わせて厚くなったり剥がれ落ちたりします。子宮内膜症は、子宮内腔以外の場所に子宮内膜に似た組織ができてしまい、痛みや過多月経、不正出血などを起こします。20〜40代の女性に多く、時には不妊の原因ともなる病気です。
子宮内膜症の原因はさまざまな説がありますが、今のところ明らかになっておらず、確固たる予防法がありません。
子宮内膜症の痛みとは
子宮内膜症の症状の1つに痛みがあり、生理を重ねるごとに強くなる生理痛、慢性的な骨盤の痛み、性交時に生じる痛み、排便の際に生じる痛みなどがあげられます。
生理痛の重さには個人差があり、ただの生理痛だからと我慢してしまう人もいます。しかし、生理痛は思春期を過ぎて月経周期が安定すると痛みが減っていくことがほとんどですが、子宮内膜症の場合はだんだん生理痛がひどくなっていきます。さらに立っていられないくらいの痛みや、生理痛に効果がある鎮痛剤が効かず、痛みで失神してしまう場合もあります。生理のとき以外でも、下腹部の辺りに痛みが出てしまうこともあります。
痛みが出たときの対処方法と子宮内膜症の治療法
痛みが出てしまったらまずは安静にすることです。また、生理のときには下腹部を温めることで痛みが緩和されることもあります。NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)を服用するという方もいるでしょう。これらの方法で症状が一時的に緩和できたとしても、子宮内膜症が良くなったというわけではありません。
子宮内膜症の治療は、症状の強さや子どもを希望するかどうかなどを考慮し、方針が決定されます。
子宮内膜症の治療方法は、大きく分けて薬物療法と手術療法に分けられます。
・薬物療法
LEP(低用量ピル):排卵を抑え、経血量を減らす
黄体ホルモン(ジエノゲスト):子宮内膜組織の増殖を抑える
GnRHアゴニスト:排卵を抑え、閉経と似たような状態にする
ダナゾール:生理を止めるが副作用も多くある
・手術療法
(1)保存手術
保存手術は特に妊娠を希望している方へ推奨される手術です。開腹手術ではなく腹腔鏡手術も増えており、傷も小さく術後の回復が早いと言われています。卵巣や子宮などにある病巣のみを切除するため、妊娠する機能は失いません。しかし保存手術だけでは、約3割の人に子宮内膜症が再発してしまうという結果もあります。そのため保存手術をして出産をしたのち、根治手術をおこなう場合もあります。
(2)根治手術
根治手術は、病巣の根っこである子宮や卵巣を摘出するため、妊娠を希望しない方へ推奨される方法となります。場合によっては、最初から根治手術をしなければいけない例もあります。妊娠を望む場合は、先に卵子を採取しておき体外受精をおこなうという方法もあるため、早めに相談へ行きましょう。
まとめ
子宮内膜症の症状の1つに痛みがあり、生理を重ねるごとに強くなる生理痛、慢性的な骨盤の痛み、性交時に生じる痛み、排便の際に生じる痛みなどがあげられます。安静や鎮痛剤を飲むことは対処方法としては良いのですが、子宮内膜症が治るわけではありません。そのため、早めに治療方針を考えていく必要があります。子宮内膜症の治療方針は、妊娠を希望するか否かによって大きく異なります。自分のライフスタイルに合わせて治療をしっかりと考えていきましょう。
参考:
・メディックメディア 「病気が見えるVol.9 婦人科・乳腺外科」
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