はじめに 結婚内祝いとは?
1-1.「内祝い」とは結婚のお祝いに限らない言葉
「結婚内祝い」という言葉を耳にすると、「結婚のお祝いのお返し」と理解する方が多いでしょう。実際、現代においては「内祝いとは結婚などのお祝いをいただいた際に返すもの」という認識が定着しています。しかし本来の「内祝い」とは、家族や身内に良いことがあったとき、その喜びを親しい方々にも分かち合うために贈り物をする慣習を指していました。
たとえば、子どもが生まれたときや誕生日など、何らかの“めでたい出来事”があれば、周囲に対して「うちにもこんな良いことがあったんだよ、ぜひ一緒に祝ってほしい」という気持ちを込めて品物をおすそ分けする、という文化があったのです。それが時代を経るうちに、「頂いたお祝いに対してお返しする」という意味合いにシフトし、現在ではお祝いへのお礼=「内祝い」というニュアンスが主流となっています。
結婚の場合も同様で、結婚のお祝いをくださった方へ感謝と今後のお付き合いをお願いする気持ちを伝える贈り物が「結婚内祝い」です。地域差や個人の考え方にもよりますが、基本的には「結婚祝い 内祝い」「内祝いとは 結婚」などの言葉で検索されるように、多くの方が「ご祝儀やプレゼントをもらったら結婚内祝いを贈る」という認識を持っています。
1-2.結婚内祝いとは「結婚式内祝い」とは違う?
よく混同されがちなのが「結婚式 内祝い」という表現です。結婚式当日にゲストへ贈る引き出物も、一部では「結婚式内祝い」と呼ばれることがありますが、いわゆる“引き出物”と“結婚内祝い”は厳密には異なるシチュエーションで贈るものです。
- 結婚式内祝い(引き出物)
結婚式や披露宴に招待したゲストへ、当日お礼としてお渡しするもの。式に参列してくださった感謝を伝える意味合いが強い。 - 結婚内祝い
結婚のお祝いを頂いたのに式に招待できなかった方や、そもそも式を挙げないカップルが、お祝いのお返しとして贈るもの。
具体的には、「結婚式に出席してもらったゲストには引き出物」「出席しなかった方からのお祝い(ご祝儀やプレゼント)には結婚内祝い」という形で使い分けることが多いでしょう。式を挙げない場合はすべて結婚内祝いで対応することになります。
2.結婚内祝いを贈るタイミング
2-1.基本は「式後1ヶ月以内」あるいは「頂いてから1ヶ月以内」
結婚内祝いを贈る時期としては、結婚式を挙げた場合は挙式後だいたい1ヶ月以内、式を挙げない場合もお祝いをもらってから1ヶ月以内が一般的な目安です。結婚祝いを頂いたら、できるだけ早めにお返しを準備し、相手に「ありがとう」の気持ちを伝える必要があります。
結婚式当日にご祝儀をいただいたケースでも、式後に改めて結婚内祝いを贈るかどうかは状況によります。例えば挙式・披露宴に参列していただいた方には引き出物を渡しているため、ふつうは追加の内祝いは不要です。逆に、「式に招待できなかったがご祝儀やお祝いをいただいた相手」や「挙式には出席できなかったけれど後日プレゼントを送ってくれた方」には、結婚式の1ヶ月後を目安に内祝いを発送する、という流れが望ましいでしょう。
2-2.早すぎる返送は味気ない?遅れてしまったらどうする?
頂いたお祝いに対し「なるべく早くお礼をしたい」と思うあまり、結婚式の前や、ご祝儀を頂いた当日すぐなどに内祝いを贈ろうとする方もいます。しかし、結婚内祝いは本来、一度自分たちで“めでたい出来事”を受け止めてから、改めてお礼をするものと考えられています。あまりにも早すぎると「ただの“返し”」という印象を与え、「内祝い」の本来の意味合いが薄れてしまうこともあるでしょう。
もし相手の都合で挙式までにだいぶ時間が空いてしまう場合は、頂いてから1~2ヶ月を目安に先行してお返しをするケースもあります。それでも時期を過ぎてしまった場合も、気づいたらすぐにお贈りするのがおすすめ。できるだけフォローのメッセージを添え、「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」など一言お詑びを述べることで、相手も納得してくれるはずです。
3.結婚内祝いの金額相場・予算の考え方
3-1.「半返し」が基本:結婚内祝い 金額の目安
多くの地域や慣習では、結婚内祝いの金額相場としては「頂いた額の半額程度(半返し)」が目安とされています。たとえば1万円のご祝儀であれば5,000円相当の品物、3万円のご祝儀なら1万5,000円相当の品物をお返しするイメージです。
「なぜ半返しなのか?」については諸説ありますが、相手から頂いた好意に対して“ちょうど半分”のお礼を返すことで、あまり大げさでもなく、また軽すぎもせず、バランスが良いとされているからです。
3-2.親族・上司など高額なお祝いを頂いた場合
とはいえ、親族や上司から10万円以上の高額なお祝いを頂くこともあるでしょう。その場合、きっちり「半額返し」してしまうとかえって相手に気を遣わせる可能性が出てきます。
- 親族の場合
両親や祖父母などからの支援も含むお祝いは、そもそも「内祝い不要」という考え方もありますが、全く何もしないとこちらとしても気が済みません。そこで、3~4割程度に抑えつつも、記念に残る品(フォトフレームや名入れアイテムなど)を添えるなど、形と感謝をきちんと示すのがおすすめです。 - 上司・目上の方の場合
高額なお祝いを頂いてしまうと、同じ職場内でのバランスなども考慮しなくてはなりません。半返しよりは少し低め、具体的には3分の1~4割程度の金額に抑えて、かつ質の良い品物やブランドギフトを贈ると、相手の負担感も軽減されます。
3-3.友人・同僚からのお祝いへの対応
友人や同僚など、比較的近しい関係者から1万円以下の現金や品物を頂いた場合は、やや融通が利きます。
- 1万円を超えない程度のものであれば、半返しよりもやや少なめでも問題ないケースが多いです。
- 友人同士で相互にプレゼントを贈り合う間柄なら、3分の1ほどの価格帯の品物にしておく方が互いに気楽という考えもあります。
また、職場で連名(数名~十数名)で頂いた場合は、頂いた総額の半分程度を目安に菓子折りを複数用意し、皆で分けられるように渡すと喜ばれるでしょう。
4.結婚内祝いを贈る際のマナー
4-1.のし紙・水引・表書き
結婚内祝いを贈る際には、のし紙を付けるのが正式なマナーです。結婚のお祝いは一度きりが望ましいことから、水引は**紅白の結び切り(または10本結び切り)**を選びましょう。
- 表書きは「内祝」もしくは「寿」と書くのが一般的です。
- 名前(新郎新婦の連名)はのし紙の下部に記載します。新姓のみを書く場合、連名で書く場合など地域差もありますが、現在は新郎フルネーム+新婦ファーストネームという形が増えてきています(例:「山田 太郎・花子」など)。
4-2.メッセージを添えると好印象
結婚内祝いには、簡単でも構わないので「ありがとうございました」というお礼のメッセージカードや手紙を添えるのが望ましいです。相手によって文体や長さを調整しつつ、「結婚式は無事に終えました」「新生活が始まりました」など、近況を伝えられるとより丁寧な印象になります。特に親戚や上司など目上の方には、改まった言葉遣いを意識しましょう。
友人など親しい間柄なら、多少砕けた表現でかまいませんが、不吉な言葉(「切れる」「終わる」「忙しい(亡くなるを連想)」など)は避けるのがマナーです。結婚は門出のおめでたい出来事であるため、ポジティブな言葉を選んでください。
4-3.贈り方:直接手渡し? それとも配送?
忙しい新婚生活の合間を縫って全員に直接会いに行くのは大変ですが、もし可能であれば、職場の上司や近場の親戚・友人には直接手渡しする方が、感謝の気持ちを伝えやすいでしょう。手渡しの場合は、のし紙は外のしにして「本日はありがとうございます。ささやかですが内祝いをお持ちしました」とお渡しします。
遠方の方やスケジュールが合わない方には、宅配便で送付しても失礼には当たりません。その場合は、のし紙を内のしにして、外側をギフト包装にするのが一般的です。発送後は「お品物を送りましたので、ご査収ください」とメールや電話でひと言連絡を入れるとより丁寧です。
5.ハイセンスな結婚内祝いの贈り方
5-1.贈り物選びの基本
結婚内祝いに選ばれるギフトは、タオルや洋菓子、和菓子、調味料、カタログギフトなどが代表的です。ここに少し工夫を加えることで、贈る相手の好みやライフスタイルに合った「ハイセンスな内祝い」に仕上げることができます。例えば、おしゃれなパッケージやオーガニック素材にこだわったもの、知る人ぞ知る地域限定の名産品など、「自分では買わないけれどもらうと嬉しい」アイテムを選ぶと、相手の印象に残りやすいです。
5-2.予算別おすすめギフトアイデア
- 3,000円~5,000円程度
- 今治産の高品質なハンドタオルセット+ミニソープ
- 有名パティスリーの焼き菓子詰め合わせ
- ドリップコーヒーと紅茶のアソートセット
- おしゃれな調味料セット(オリーブオイル、ハーブソルトなど)
- 5,000円~10,000円程度
- 人気ブランドのタオルセット(バスタオル・フェイスタオル)
- カタログギフト(総合版・グルメ特化など)
- 高級和牛や海産物など産地直送のグルメギフト
- 高品質の食器(ペアグラスやペアカップなど)
- 10,000円以上
- 高級シャンパンやワイン+グラスのセット
- 百貨店の上質カタログギフト(人気ブランドのアイテムが豊富)
- 体験型ギフト(スパやレストランチケット等)
- 名入れの特別アイテム(家族向け・親戚向け)
5-3.結婚式内祝いとの棲み分け
前述のとおり、結婚式を行った場合にはゲストへ引き出物を用意しているはずです。しかし、結婚式に出席いただけなかった方や二次会のみ参加の方、あるいは式を挙げずにご祝儀やプレゼントを頂いた方へは、改めて結婚内祝いを贈る流れです。
「結婚式内祝い」である引き出物と重複しないよう注意しつつ、相手の属性によってギフトを使い分けると、よりきめ細かな対応ができます。たとえば両親の友人世代には洋菓子やお茶漬け最中などを、若い友人にはセンスある雑貨+スイーツを合わせるなど、相手に合わせた選択を心がけると失敗がありません。
5-4.こだわりのメッセージ・ラッピング
ハイセンスな結婚内祝いを演出するうえで、ラッピングやメッセージカードのデザインにも注目しましょう。
- ラッピング
ショップの既製包装だけでなく、自分たちでこだわりの包装紙を選んだり、リボンやシールでアレンジするのも一案です。ただし、あまり奇抜にしすぎると目上の方には不向きなので、落ち着きのある色合いやシンプルなデザインを意識します。 - メッセージカード
写真入りのサンクスカードを作成するカップルも増えています。挙式の写真や新居での二人の写真など、相手に近況を伝えられる一枚を添え、「結婚内祝いを受け取ってくださりありがとうございます」と一言コメントを入れると、特別感がぐんとアップします。
6.よくある疑問Q&A
Q1.結婚祝いをもらったけど式には呼んでいない場合、必ず内祝いを返す?
A.はい。 祝儀やお祝いの品を頂いた場合は、基本的に結婚内祝いをお返しします。結婚式に呼べなかった友人や遠方の親戚など、式に出席しなかった方からの好意は、きちんとお礼をするのがマナーです。
Q2.「結婚式に出席してくれた人」にも結婚内祝いを贈る?
A.通常は不要です。披露宴に参列いただいたゲストには当日「引き出物」をお渡ししているため、それが結婚式内祝いの役割を果たします。ただし、ゲストが引き出物とは別に高額な品物を贈ってくださった場合は、改めて結婚内祝いを準備することがあります。
Q3.親に「内祝いはいらない」と言われたが、本当に何もしなくていい?
A.お返し不要と言われても、形に残る感謝を伝えるのがおすすめです。実際、「身内にお返しをするのはかえって失礼」という考え方の地域や家庭もありますが、まったく何もしないでいると気がとがめることも。たとえば記念品や旅行券など、両親への感謝を込めた贈り物をする方も多いです。
Q4.のし紙に書く名前はどうする? 旧姓しか相手が知らない場合は?
A.原則として、結婚後の新姓を使い、新郎新婦の連名(例:「山田 太郎 花子」)とするのが基本です。相手が旧姓のまましか分からない場合でも、旧姓をのしに書くのは正式には好ましくありません。代わりに、同封するメッセージカードなどに「(旧姓:佐藤)」のように添えると良いでしょう。
Q5.結婚式をしない“ナシ婚”でも結婚内祝いは必要?
A.必要です。 結婚式を挙げる・挙げないにかかわらず、お祝いを頂いたら内祝いを贈りましょう。むしろ式をしない場合は、結婚を報告する機会が限られるため、内祝いを通じて改めて「結婚したこと」と「ありがとう」の気持ちを伝える良い機会になります。
7.結婚内祝いの準備をスマートに進めるポイント
7-1.リスト化して管理する
結婚内祝いを準備する際、「誰から、いくら(またはどんな品物)を頂いたか」「いつ贈る予定か」「実際に贈った日」などを一覧表にして管理しましょう。結婚準備や新居への引っ越しでバタバタしていると、お祝いを頂いた事実をうっかり忘れてしまったり、発送漏れが起きることがあります。
エクセルやスマホのメモアプリなど、何でも構いませんのでもらったタイミングですぐに記録し、内祝いを発送したらチェックを入れるとミスを防げます。
7-2.オンラインショップやギフトサービスを活用
百貨店やギフトショップに足を運ぶ時間がない方は、オンラインのギフトサービスを利用すると便利です。品揃えが豊富なサイトを選び、のし紙や包装紙、メッセージカードを付けられるか確認してから注文するとスムーズ。複数の送り先へ一括配送するサービスを提供している店舗もあるため、結婚内祝いの手配が楽になります。
とくにカタログギフトは1つ1つ品物を選ぶ手間が省ける点で人気がありますが、味気なさを感じる方もいるため、メッセージカードやプチ菓子を同封するなどの工夫をするとよいでしょう。
7-3.相手ごとに贈り分けができるとベスト
全員に同じ内容・同じ価格帯の結婚内祝いを贈るという方法もアリですが、やはり相手ごとの年齢・関係性・家族構成などに合わせて「贈り分け」をした方が、より満足度が高まります。
たとえば甘いものが苦手な方に洋菓子を贈ってしまうと困らせる可能性がありますし、健康志向の方には無添加の調味料セットを選ぶなど、ちょっとした配慮が「ハイセンス」と感じてもらえるポイントです。贈り分けが面倒に感じるかもしれませんが、大切な方々へのお礼ですから、できるだけ丁寧に選びたいですね。
まとめ 結婚内祝いで伝えたい「ありがとう」の気持ち
結婚内祝いは、結婚のお祝いを頂いた方へ「本当にありがとう、これからもよろしくお願いします」と伝える大切な機会です。「結婚内祝い 相場」を気にしつつも、相手との関係性や予算、そして自分たちの感謝の気持ちをどう表現したいかを考えながら準備を進めることがポイントとなります。
- 贈るタイミングは挙式後1ヶ月以内、またはお祝いを頂いてから1ヶ月以内。
- 金額相場は半返しが基本だが、高額の場合は3割程度~、相手によって調整。
- のし紙やマナーはフォーマルに、紅白結び切りの水引を使用し、「内祝」または「寿」と表書きする。
- ハイセンスな贈り物を選ぶには、相手の好みやライフスタイルを考慮しつつ、メッセージやラッピングにも気を配る。
結婚内祝いは、単に「頂いた額の半分を返す」という金銭的な行為ではありません。そこには、お祝いを受け取った喜びを周囲におすそ分けし、これからの人生をともに歩んでいく仲間として温かい関係を築いていきたいという想いが込められています。贈り先の方が受け取ったとき、思わず笑顔になってくれるような素敵なギフトと、手書きのメッセージやお礼の言葉を添えて、ぜひ充実した結婚内祝いを実現してください。
今後もさまざまな場面で贈り物をする機会はあるかもしれませんが、新たな門出を祝福してくれた人たちに対する最初のお返しこそ、一番気持ちを込めたいもの。今回のガイドを参考に、あなたらしさと感謝の心を伝える結婚内祝いを用意しましょう。きっとその気持ちは相手に伝わり、より良い人間関係を築くきっかけとなるはずです。